第170回(12月16日)越年国会で成立 厳しい予算編成
 臨時国会は来年1月15日まで1ヶ月再延長され、新テロ対策特別措置法案の攻防は14年ぶりの越年国会で決着することになりました。野党が審議を引き延ばしても、憲法規定の「否決したものと見なす」との60日間の再議決ルールを適用し衆院に差し戻し、与党3分の2勢力で再可決・成立を図る段取りです。通常国会も08年度予算と関連重要法案を150日の会期内に成立させるため18日に召集、これも60日ルールで成立できるよう3月中に衆院通過させる方針です。国会は臨時と通常の切れ目がほとんどない通年国会の様相を呈し、その合間に予算編成作業を続けるという綱渡りを演じることになりました。参院で多数を占める野党は、首相の問責決議案提出を視野に徹底抗戦する構えです。同決議に解散・総辞職の法的拘束力はないものの、首相の決意次第では、「出会い頭解散」の事態も想定され、越年国会は緊迫します。皆様のご支援ご鞭撻をお願い申し上げます。

裏切り警戒、1カ月再延長
 福田首相は新テロ対策特措法案の本格的審議が始まった4日、「(15日までの)会期中に何とか結論を出して欲しい」と記者団に審議促進を強調しました。これに対し民主党の鳩山由紀夫幹事長も、「(審議時間の確保など)世論が納得する環境が整えば、採決は十分にあり得る」と年内の法案採決を容認する意向を示しました。これには、 @小沢一郎代表が国会会期中の6〜8日、菅直人代表代行ら党幹部を含め国会議員45人の大訪中団を率いて訪中、胡錦濤国家主席らと会談したことが、国民には国会軽視と映った A2週間程度の再延長なら参院での審議時間が衆院並みの約40時間を超える Bそれでも採決に応じなければ世論の批判を浴びかねない C年越して衆院で再議決されれば、冒頭解散含みの展開になる D新テロ対策特措法案を早めに決着させ、生活関連を争点に選挙を戦った方が得策だ ――など色々と懸念する声が党内にあり、年内に限った再延長はやむを得ないと判断したからです。こうした民主党の党内事情を読んで自民党内には「再延長を年内にとどめ、予算編成に全力を上げるべきだ」との意見もありましたが「民主党が裏切って採決に応じなかったら元も子もない」と警戒する声が多く、用心深く1カ月の再延長としました。

野党が握る4大宝刀
 民主党内では、衆院小選挙区の候補者擁立作業が遅れ気味なことから、「問責決議案を参院に出しても、政府与党が無視して衆院で再議決を強行すれば、問責の値打ちはなくなる。自民党が参院選で公約した『来年3月までの年金記録の名寄せ作業完了』が実現しない場合とか、提出にふさわしい事態に備え決議案を温存すべきだ」と、出会い頭解散を回避したがる若手も多いようです。参院で首相問責決議案が可決されるとその後参院に送られる重要法案は否決され、衆院で3分の2以上で再議決してもなかなか世論の支持が得られなくなります。その場合、衆院で内閣信任案を逆提出、圧倒的多数で可決すれば敢えて解散に踏み切る必要はありません。中川秀直元幹事長は「憲法で認めたあらゆる手段を行使するのが与党の責任」と強調しています。だが、先の参院選がもたらした衆参「ねじれ国会」は、 @法案否決権 A参院先議権 B国政調査権 C首相問責決議案の提出・可決権――という厄介な四大宝刀を野党に与えてしまいました。通常国会でも乱発の恐れがあります。

争点は暮らし・子育て・教育
 例を挙げれば、
 @11月14日の参院本会議で56年ぶりに国会同意人事の3機関候補が否決されたように、通常国会で税制など重要法案が全て参院では否決される 
 A民主党は臨時国会に年金保険料流用禁止法案、農業者個別所得補償法案など多くの先議案件を提出した
 B民主党は国政調査権を発動しての資料提出や、全会一致の慣例に従わず守屋武昌前防衛事務次官らの証人喚問を与党の反対を押し切り参院委員会で可決した――など早くも今国会で実践しています。最も、小沢代表が「山田洋行」から600万円の政治献金を受けたことなどで衆院の証人喚問に呼ばれることを恐れてか、守屋氏とセットだった額賀福志郎財務相の証人喚問は最終的に取り下げ、全会一致の慣例を守る姿勢を見せました。しかし、通常国会は原油高騰が諸物価に影響する中で、 @暮らし  A子育て  B教育  ――が争点となり、中でも3月末に期限が切れる揮発油税の暫定税率の扱いが最大の攻防となります。約2倍の暫定税率を維持するには、60日ルール適用の再議決で関連法案を成立させるしかなく、そのため早期の国会召集となりますが、国会は冒頭から緊迫し解散含みです。

過半数獲得が勝敗ライン?
 「自民、民主両党がただ対立に終始していたのでは、国民生活に関する法律や外交案件もスムーズに成立しない」――。首相は11月1日のメル・マガに書いて以来、各党党首会談を開くなど低姿勢で政策協議の対話路線を続けてきましたがもう限界。解散が濃厚です。我が派会長の古賀誠選挙対策委員長は、6日の山梨県連を最後に参院選惨敗による党勢立て直しのための地方行脚を終えました。古賀委員長は10月上旬から地方組織回りを始め42都道府県連を訪問、九州担当の副幹事長である私も九州各県連にはお供し、党支持団体のほか、公明党の地方幹部とも意見を交換、次期総選挙での連携強化を話し合いました。古賀氏は6日の派閥総会で「参院選の嵐のような逆風は収まっていない」と地方行脚の感想を述べ、「福田政権の安心感と安定感が国民にしみ通る時間が必要だ」として、解散・総選挙を先送りすべきだとの考えを改めて示しました。確かに前回の選挙は小泉元首相の奇策で小泉チルドレン83人が当選しましたが新人の生き残りは厳しく、伊吹文明幹事長が「過半数の241議席が責任ライン」というように、激しい闘いとなりそうです。

政界再編狙う超派閥勉強会
 あってはならないことですが、仮に自民党が過半数割れになった場合は、先の小沢民主党代表との党首会談で幻と消えた「大連立」構想が復活し、政界再々編成も進行すると思われます。それを見越して郵政造反で離党したままの平沼赳夫元経済産業相は、次期総選挙後、新党結成を視野に自民、民主両党の橋渡し役を務める意向をもらしています。これに呼応するように、中川昭一元政調会長、中曽根弘文元文相、古屋圭司氏(以上伊吹派)、島村宜伸元農相(元同派)、奧野信亮氏(町村派)戸井田徹氏(津島派)ら派閥横断の29人と平沼氏参加の勉強会が4日に発足しました。伊吹幹事長は「勉強会は結構だが、党の結束を乱さないようにやって欲しい」とクギを刺しましたが、旧中曽根派の流れを汲む幹事長派の伊吹派が中核だけに、党内では注目を集めています。また、総選挙の結果を憂慮して、解散キーワードの1・4・7月でなく、2年後の任期満了選挙を唱える幹部も表れています。このように厳しい年の瀬であり、重ねて皆様のご支援をお願い申し上げます。