北村からのメッセージ

 

 第17回(5月1日) @小泉政権誕生  新人が活躍する舞台

 自民党総裁選は、国民的人気抜群の小泉純一郎元厚相が地方予備選で地すべり的に圧勝し第20代総裁に就任。公約通り派閥順送りをやめ、若手、女性、民間人を起用するなど、超派閥・適材適所の“救国内閣”を電光石火に組閣、小泉政権は4月26日に船出しました。

 日本を変える

、開かれた総裁選は、崖っぷちに立たされた党の現状に危機感を抱く党員、党友の地域組織が「自民党を変える。日本を変える」という小泉候補の旗下に決起し、構造改革派の強力なリーダーを選出したこと。その結果、新総裁のもとで我々若手政治家が派閥のしがらみに捕らわれず自由に政策を論議し活躍する党再生の舞台が整ったことが大きな特色です。

 地殻変動

 「マグマが噴火し地殻変動が起きた」と小泉首相は自信を深めていますが、6月の東京都議選、7月の参院選は、自民党の存亡をかけた天王山です。全ての予算関連法案が成立すれば、私も党の遊説局次長として全国の遊説に飛び回る覚悟です。小泉内閣は田中真紀子外相ら女性、竹中平蔵経済財政担当相ら民間人、石原伸晃行革担当相ら若手の、国民が期待するフレッシュ閣僚を大幅に登用し参院選シフトを構築しました。過去の参院選で野党の女性党首は「山が動いた」と勝利宣言しましたが、我々はそれ以上に「地殻変動の地鳴り」を全国に巻き起こして2大選挙を圧勝、自民党政治への信頼を回復したいと念じています。

 変人

 “変人、凡人、軍人”の名付け親・田中真紀子代議士は、事実上、参院選の前哨戦となった総裁選で、小泉候補とペアを組み「私が変人の生みの母であり、妻であり、娘であります」と街頭演説し小泉ブームをあおりましたが、小泉首相は「変革の人の“革”を抜けば変人」と平然。政治記者によると「変人は“入れ墨逓信大臣”の祖父の遺伝」だそうです。

 信念居士は祖父譲り

 祖父の又次郎氏は戦前の民政党幹事長を務めた実力者。軍人志望だったが、父親に家業の鳶職を継げといわれて大いに悩み「全身に入れ墨すれば徴兵検査ではねられるので、きっぱり軍人への諦めがつく」と忠孝心から入れ墨をしたという一徹者。首相は信念居士の祖父を敬愛し、かつて後援会報にこうした祖父の伝記を載せております。有言実行の首相の行動力と指導力、先見性は、国民の共感と支持が得られるものと、私は確信しています。

 5大改革

 問題は21世紀に改革・革命を起こす政策をどう実現するかです。首相は自民党が挑む「5つの基本方針」を公約に掲げました。それは@地方党員の声を生かし総裁選は党員投票を重視、首相公選制の検討に着手など自民党改革A3年以内に金融、産業の再生に目処をつけ構造改革の断行など経済・産業の改革B日米友好を機軸に近隣諸国との友好強化など21世紀の外交・安全保障C次世代に借金のツケを回さないよう国債発行の抑制など行財政改革D小学校教育の基礎学力強化やごみゼロの循環型社会建設など社会・教育改革――の5つが改革の柱です。

 新しい酒

 いずれも構造改革を持論とする私の政策と合致する5大目標ですが、お題目ばかり唱えても中身が乏しければ国民の信頼は得られません。私は若い世代を代表して、専門分野である農業水産、安保、雇用対策、地方分権、消費者対策などを徹底的に煮詰め、“新しい皮袋には新しい酒”の具体的政策を提言するとともに、これら政策を議員立法化し、国民の要望に応えたいと思っております。フレッシュなリーダーの下、新人若手政治家が活躍する出番が訪れました。皆さんのさらなるご支援をお願いします。


 北村からのメッセージ第17回(5月1日) A輸入野菜特集第2回 世界で農業構造変化

 野菜輸入はなぜ急激に増えたか。理由は簡単です。冷戦の崩壊で計画経済の社会主義国家が市場経済に軌道を修正、発展途上国が外向きの経済政策に踏み切るなど、経済面で南北の壁がなくなり、世界レベルで産業構造が大変化を遂げつつあるからです。

 安価・豊富な労働力

 特に中国など共産圏の19億人が開放経済に向かったことは、安い労働力を提供するだけに先進国の工業製品ばかりか、農業など第1次産業を脅かしています。近隣アジア諸国でも、日本企業が安価で豊富な労働力と資源調達の容易さを狙って海外投資や開発輸入を促進、良質なものを豊富に生産して逆輸入するなど、日本産業の空洞化を招いてきました。

 アジア通貨危機

 90年代後半には、タイのバーツ急落を契機に連鎖的なアジアの通貨危機が起き、途上国の産業、経済に大打撃を与えました。そこで近隣アジア諸国は工業製品から農産物に路線を切り替え、4兆円といわれる日本の野菜消費市場を目指して輸出攻勢をかけてきました。世界経済のグローバリゼーション化がもたらす変化で、輸入比率の急上昇は当然です。

 中国は日本の27倍

 前回は近隣諸国からの輸入野菜を数量、品目別に説明しましたが、今回は輸出急増の中国、韓国について野菜の生産状況と輸出戦略を紹介しましょう。中国の野菜の作付面積は1,335万ha(ヘクタール)でわが国の27倍。経済成長に伴う食生活の向上・多様化などで野菜需要が増えて全般的に野菜は増加基調にあります。地域別では山東、広東、河南、湖北、広西自治区の上位5省で全体の4割を占めています。

 ハウス栽培は18倍

 中国の主要品目は、きゅうり、白菜、玉葱、ネギ、にんじんで過去5年間に作付面積、生産量ともに倍増。園芸用ガラス室、ハウス室など施設栽培の面積は、90年の14万haが昨年は93万haも増加、日本の5.4万haに比べ約18倍です。このように、ハウス栽培は急伸していますが、生産動向は、最近の人口増加による大量栽培で黄河流域の土壌が劣化したのに加え、上流の灌漑施設が発達したことで下流が干上がり、河口流域では深刻な水不足、塩害など新たな問題に悩んでいます。

 輸出基地を建設

 中国共産党は昨年10月、第15期中央委第5回全体会議で「第10次国民経済・社会発展5ヵ年計画」を採択しました。その中では、@家畜、家禽、水産物、果物、野菜、花卉と加工品など労働集約型製品、特産品、有機食品の輸出を重点的に支援し拡大A輸出製品の品質向上に努め、ブランド品を育て、新製品を開発、輸出構造を改善B基礎と潜在力ある地域、企業を集中的に支援し高規格、ハイレベルの農産物輸出基地を建設C無公害農産物生産システムの確立、無疫病畜産品輸出保護区の早期建設――などを掲げ、農業の対外開放を拡大し、国際競争への積極的な参加を打ち出しています。

 収入65%を輸出依存

 農産物輸出の規模が最も大きい山東省では、煙台地域を外貨獲得農業モデル地区に指定、野菜・果実の栽培面積が昨年に29万ha と90年の2倍に広がり、地区内の農家収入の65%が農産物の輸出、加工に依存するなど指定地区は発展を遂げています。

 韓国は日本海沿岸が主産地

 韓国の野菜作付面積は38万haで日本の8割程度ですが、輸出向けを中心に施設野菜が増加傾向にあります。地域別では、全羅南道が全体の18%、慶尚北道が同16%、慶尚南道が同11%と、対日輸出が盛んな日本海沿岸のこれら3道が主生産地。それに首都ソウル近郊の京畿道の11%が加わり、以上の4地域が韓国野菜の5割以上を生産しています。

 ハウス面積は急増

 主要品目は、唐辛子、白菜、大根、スイカですが、近年はトマト、イチゴ、きゅうりなどの施設栽培が作付面積、生産量ともに増加が著しく、ハウスなどの施設面積は1900年の2.4万haから最近では4.5万haまで増加、日本の1.2倍の規模になっています。このため、ハウス建設の補助事業は成果をあげたとして昨年に終了、融資事業に切り替えています。

 日本を集中攻略

 韓国の輸出戦略は、2月に農林部長官が金大中大統領に報告した01年度主要業務計画に示されました。報告では@世界ブランドの高麗人参、宗主国イメージのキムチと野菜・花卉、豚肉等5大戦略輸出農産物を集中育成A野菜・花卉の輸出団地で高品質商品を安定的に供給B最大輸出市場の日本を集中攻略するため光陽、馬山地域に農産物輸出物流センターを設置し日本4大圏域別に大型流通業者と直接取引し輸出拡大――を挙げています。

 政府出資の国営会社

 韓国の農水産物物流公社は、67年に設立された韓国政府が全額出資の国営会社。当初はニンニク、唐辛子など国家貿易品目の一元管理をしていましたが、90年代半ばから予算27億円で輸出振興事業を開始、農家の指導、貿易の斡旋、PR活動を推進しています。

 渋谷で電光掲示PR

 職員は489人で東京、大阪を初め米国、オランダ、中国、シンガポールにも支店を持ち、東京支店では日本の流通事情調査、卸売市場の価格動向把握、卸売企業から年間100件程度の農産品斡旋、渋谷の電光掲示板を使って年間2000万円程度の農産物広告などを行っています。
 
 4,50年代は漬物

 このように、日本の市場をターゲットにした近隣アジア諸国の輸出ドライブは一段と激しくなっています。40年、50年代の野菜輸入は漬物(中国)、冷凍野菜(米国)、国産が不作時の玉葱(米国、台湾)、国内端境期のカボチャ(NZ、メキシコ)、アスパラガス(米国、メキシコ)などの品目が常識でした。なぜ生鮮野菜の輸入は増えたのでしょうか。

 開発輸入の増加

 ネギ、ブロッコリーなどアジアから輸入の生鮮野菜は、91年(平成3年)、93年、98年の国内価格高騰時に増えました。これは日本の商社やスーパーなど大手量販店、外食産業などが開発輸入に乗り出し、海外の生産地で加工する日系企業の進出が近年目立ってきたからです。ニンニクを平気でかじるなど消費者の嗜好が変わったことも一因です。

 値下げ競争の外食産業

 都会では、250円の牛丼、300円を切るハンバーグサンドなどが出回り、コンビニのおにぎりに打撃を与えていますが、吉野屋やマクドナルドなど外食産業が、牛丼用の玉葱、フライドポテト原料の冷凍馬鈴薯を中国、米国、カナダから安く輸入するからです。

 加工企業は山東省

 日系の加工企業は中国野菜の最大産地・山東省に91年から93年にかけて、全体の約8割が集中的に進出、冷凍、塩蔵、乾燥野菜など1次加工品を中心に生産してきましたが、90年代半ばからは調理食品のような製品の多角化と高付加価値化を進めています。山東省は沿海部に位置し、日本へ輸送するのに便利なため、早くから加工企業が進出しましたが、いずれも資本金、従業員数ともに零細な小規模企業が多いようです。

 加工企業は安定供給

 加工企業はレタスを栽培して外食、量販店のカップサラダ用に販売したり、ゴボウ、玉葱、ブロッコリー、アスパラガス、生姜などを惣菜に加工、馬鈴薯、ほうれん草、枝豆を冷凍食品に加工するなど、国内産の不作時に消費者へ一定価格で安定供給しています。

 ネギ輸入増は商社のせい

 問題なのは商社による開発輸入です。政府は4月、中国からのネギ、い草、生椎茸に国内初の一般セーフガード(緊急輸入制限措置)を暫定発動、中国側が反発しましたが、中国が指摘するようにネギの輸入増には日本商社の本格的な開発輸入が背景にあるからです。

 1級品だけ輸出

 商社は日本で長年培った種子を中国農家に提供し技術指導を行います。生産されたネギは食品公司(野菜加工会社)に直接集荷され厳しい選別のうえ、1級品は対外貿易公司を通じ対日輸出に回し、2級品は中国国内に出荷する仕組です。商社は輸入ネギを日本各地の卸売市場や外食産業、量販店に販売しますが、厳格な選別で国産品と区別がつきません。

 小売りは国産の半値

 さて、国産と開発輸入のネギ1キロ当たりの価格差を見ましょう。99年11月の調べだと、国産品は生産者手取り(庭先価格)101円。これに包装荷造り経費80円、運賃と団体・市場手数料59円、仲卸経費34円、小売り経費154円が加わり小売価格は428円。これに対し、開発輸入は中国農家の受取価格17円。これに輸出業者のマージンや加工・国内運賃など61円、CIF(船賃・保険込み)14円、関税・薫蒸・マージンなど24円、小売りマージン98円が加わっても、小売価格は214円で国産の半額です。

 庭先価格は6分の1

 このように開発輸入は、中国の生産者手取りが日本の6分の1と低いうえ、運賃まで積み上げたCIF価格が92円で、日本の庭先価格以下とあっては、競争しようにも勝負になりません。セーフガードの発動を保護貿易と批判する向きもありますが、どうすれば農業のグローバル化に立ち向かえるか。対応策は次回に検討したいと思います。