第169回(12月1日)再延長し特措法成立へ 解散KWは「1・4・7」
 臨時国会は会期末の15日まで後2週間。福田首相は各党党首会談で局面を打開しようとしましたが決裂。やむなく1カ月程度再延長して懸案を処理する決意を固めました。政府与党は、野党が最大の焦点である補給支援特措法案を会期内に参院で否決、または審議を引き延ばす場合は憲法の60日ルールで否決されたと見なし、衆院3分の2の勢力で再議決し成立を図ろうとしています。これに野党は首相問責決議案の参院提出を視野に抵抗する構えです。問責決議が可決されても内閣総辞職、国会解散のいずれも法的拘束がないため、与党は逆に衆院に内閣信任決議案を提出して対抗する考えもあります。ただし、参院で不信任状態のまま通常国会が開催されると08年度予算案審議は荒れ模様となる恐れがあり、首相は開会冒頭の解散・総選挙に打って出ることも予想されます。また、予算が成立しても税制など重要法案が野党多数の参院で否決されるため、第2弾は4月の話し合い(政策協議)解散が想定されます。攻防が激化する越年国会の中で予算編成を進めねばならず厳しい局面を迎えました。常在戦場で働いていますが、何卒よろしくご支援下さい。

政策協議の党首会談決裂
 首相は11月22日、民主党の小沢一郎代表ら各党党首と会談、小沢氏には補給支援特措法案の会期内成立への協力を要請。同時に、自衛隊海外派遣の恒久法など安全保障と年金をテーマの「国民会議」的な社会保障に関する政策協議機関の設置を提案しました。
これに対し、小沢氏は「憲法に反するという基本的な考えは変わりない」と特措法案に改めて反対を表明。「防衛省の官僚トップの疑惑解明を徹底してやらないと国民の理解を得られない」と防衛省疑惑追及が最優先だとの方針を示しました。政策協議についても、「国会の場で、各党の論戦の中で意見をまとめていく。特定政党で協議会を作ることには応じられない」と拒否しました。また、首相は「会期内で参院の判断を明確に示して貰いたい」と審議促進を要請しましたが、小沢氏は明確に答えず「審議の遅れは安倍前首相の退陣など政府・与党側の事情だ」と反論しました。会談は公明、民主、共産、社民、国民新の順に個別に行い、町村信孝官房長官と各党幹事長、国対委員長が同席しましたが、野党は事前に幹事長会談を開き、政策協議が提案されても拒否するよう足並みを揃えていました。

民主は身勝手国会対策
 民主党が委員長を占める参院外交防衛委員会では、補給支援特措法案が衆院から送付されても審議に入らず、同党が提出したイラク特措法廃止法案の審議を優先させて時間を稼ぎ、衆院並み審議時間との見合いで会期内の採決が不可能になると見るや、11月28日に補給特措法案の審議入りに応ずるなど、身勝手な国会対策を続けています。審議入りと同時に、それまで棚上げしていた廃止法案の方も実質1日の審議で採決しました。与党は、会期末の15日までに参院が否決する見通しが立たない以上、衆院での再議決は無理で、60日ルールを念頭に、来年1月半ばまで1カ月程度再延長するしか特措法成立の道はありません。首相も党首会談では、政策協議などは拒否されるのは織り込み済みで、ねばり強く野党を説得する姿を国民に見せ、法案再議決の手順を尽くす狙いがあったのでしょう。臨時国会の会期再延長はリクルート事件で法案が滞った88年以来19年ぶりのことです。

法的拘束ない問責決議
 28日に収賄容疑で逮捕された守屋武昌・前防衛事務次官は衆参両院の証人喚問で、軍需専門商社「山田洋行」の元専務(業務上横領容疑で既逮捕)に8年間で、300回以上、1500万円ものゴルフ接待を受け、防衛庁長官経験者2人との宴席にも同席したと証言しました。インド洋上で給油活動を続けていた補給艦は11月下旬、「きりしま」が佐世保に、「ときわ」が横須賀にそれぞれ帰港しましたが、40度もの灼熱地獄で日焼けし、立派に任務を終えて帰国した海自隊員の労苦を思えば、防衛官僚トップの便宜供与疑惑は士気に影響し、再延長国会で徹底追及されても仕方ないことです。また、安倍前首相が国際公約に掲げた特措法案について、首相は16日の日米首脳会談で、「早期成立に全力を尽くす」とブッシュ大統領に約束しました。国際社会で貢献度が高い給油は、今国会で特措法案を必ず成立させ、早急に再開する必要があります。そのためにも再延長はやむを得ません。与党が衆院での再議決に踏み切れば、民主党は参院に首相の問責決議案を提出し、国会が混乱するのは目に見えています。しかし、可決されても国会解散か内閣総辞職を迫られる衆院の内閣不信任案と違い、問責決議には法的拘束力がありません。なぜなら問責決議の度に解散するなら、参院任期の6年間、衆院は毎国会の解散を余儀なくされるからです。

「3非常識解消」と幹事長
 首相は21日、訪問先のシンガポールで「何のための問責なのか。僕を問責できる人はいるのかな」と同行記者団に語り、強気の姿勢を示しました。伊吹文明幹事長は10月15日の記者会見以来、「与党が多数を占めるからスケジュール通り法案を通すという常識、どうせ通るのだから野党が何でも反対するという常識、国民・マスコミも議院内閣制だから絶えず与党政権を批判し非を鳴らせばいいという常識。この3つの常識は非常識になった」とねじれ国会の運営では「3非常識の解消」を繰り返し訴え、党利党略のために審議を引き延ばすのではなく国益のために真摯に議論するよう対話路線を強調しています。確かに民主党が参院第1党の逆転国会になった以上、従来の対決姿勢だけでは立法府は機能しません。野党は参院財政金融委で額賀福志郎財務相と守屋前次官の証人喚問を3日に行うことを異例の多数決で決定しました。守屋逮捕で喚問は額賀氏1人となりましたが、全会一致の慣例に従わない多数決喚問は院の権威を投げ捨て、参院の品位を汚す暴挙であるとして与党は抗議。共産、国民新両党からも異論が出たため江田五月参院議長の斡旋で、自公民3党参院議員会長会談した結果、額賀財務大臣の証人喚問も見送ることを決めました。

盆も正月もない通年国会
 参院は「衆院のカーボンコピー」から脱却し、「良識の府」としての存在が強く求められています。「解散に追い込む」一点張りの民主党も、内実は80人程度の候補者選定が遅れていると言われていますし、予算編成期と重なる年末年始の解散・総選挙は与野党ともに本意ではないはずです。解散のキーワードは「1・4・7」月です。早ければ通常国会冒頭、遅ければ7月の洞爺湖サミットの成功後で、最も確率が高いのは重要法案の審議が行き詰まる4月の話し合い解散です。国政選挙ばりに闘った大阪市長選は与党が推した現職市長が敗れました。油断できません。会期再延長後はまさに「盆も正月もない」通年国会に入ります。私は精一杯活動していますが、皆様の一層のご声援をお願い申し上げます。