第167回(11月1日)テロ新法成立微妙 守屋氏証人喚問
 臨時国会の最大焦点である新テロ対策特措法案は、私の属する衆院テロ対策特別委を舞台に審議中で、与野党が激突しています。現行法は11月1日に期限切れとなり、国際信用を失墜しましたが、野党は給油継続の是非よりも前段階の海上自衛隊がインド洋で給油した燃料のイラク戦転用疑惑や、海自補給艦から米補給艦への補給量データ隠蔽などを「文民統制の本質にかかわる重大問題」として追及。おまけに軍需専門商社の元専務からゴルフ接待を受けた守屋武昌・前防衛事務次官の証人喚問を行うなど、同法案成立の見通しは暗くなっています。大幅に会期を延長して今国会で成立を図るか、それとも衆院で可決後、参院で継続審議として年明けの通常国会に先送りするか。予算編成が絡むだけに決断を要するところです。国会では、来年度予算成立後の話し合い解散説が流れていますが、総選挙は我々政権政党の存亡を懸けた厳しい戦いとなります。緊迫化した中で私は新テロ特措法案の審議と予算編成に精一杯取り組んでおり、選挙区の皆さんと親しくお目に掛かる機会も少なくなっていますが、何卒、旧来以上のご声援を賜りますようお願い申し上げます。

大幅延長か通常国会先送り?
 「年内に法案を処理しなければ、通常国会の2月か3月まで、給油活動の貢献は全く出来なくなる。来年度予算案を必ず年内に編成する前提で、国民世論を作りながら法案を通したい」――。伊吹文明幹事長は10月20日、札幌市の講演で、会期延長を視野に国民世論を盛り上げ、今国会で新・テロ対策特措法案(補給支援特措法案)の成立を目指す考えを強調しました。しかし、同法案は10月23日の衆院本会議の趣旨説明から審議入りしたものの、守屋前次官の証人喚問が審議の前に立ちふさがり、衆院テロ対策特別委の論戦は26日からようやく始まるなど、実質審議は大幅に遅れました。11月10日の会期内に衆院を通過しても、野党が多数を占める参院で否決されます。否決または慎重審議で60日間経過する場合、衆院の3分の2以上で再議決すれば成立は可能ですが、そのためには12月中旬まで2ヶ月間の会期延長が必要となり、予算編成に支障を来たします。
与党内には、審議が守屋氏の接待疑惑に広がりを見せたことや、新法不成立の場合は民主党の責任が明確に出来るため、敢えて国会を延長しなくともよいとする意見も出ていますが、首相の訪米も予定されているため、3週間から1ヶ月程度の延長が検討されています。

ISAFなら参加と小沢氏
 新しい補給支援特措法案は,先々号で紹介した通り、インド洋上での活動を給与・給水に絞り、国会の事後承認の規定を削除、期限を1年間に限定するものです。民主党は新法に強く反対、特に「国連中心主義」を掲げる小沢一郎代表は党機関誌で、給油活動は「明白な集団的自衛権の行使であって憲法違反」だが、アフガニスタンに展開する国際治安支援部隊(ISAF)は国連安保理の決議に基づくものなので、「参加を実現したい」と表明しています。その論拠には、「アフガン戦争は国際社会の合意無しに米国が勝手に個別的自衛権の行使として始めたもので容認できないが、国際社会が協力する治安支援は別次元のもの」との考えがあります。鳩山由紀夫幹事長も「陸上自衛隊(の派遣)は1つの選択肢としてあり得る」と一時同調しましたが、党内の反対論に出会ってテレビ番組では「自衛隊を(アフガンに)出す、と党内で議論をまとめることは、まず出来ない。そうするべき時ではない」と述べ、同党の対案へ自衛隊の派遣盛り込みは見送る考えを示しました。

過剰接待の守屋前次官追究
 それよりも野党が一致して厳しく追及しているのは、守屋前次官の過剰接待と便宜供与の有無を巡る問題。小池百合子元防衛相と激しい人事バトルを繰り広げて8月末に退官した守屋前次官は、約4年間、防衛省のトップを務めた同省のドン。在任中はイラク特措法を制定し、初めて自衛隊をイラクへ派遣したり、防衛庁を省へ昇格させるなど自衛隊組織に歴史的な節目を開きました。その一方で旧防衛庁は、98年の調達実施本部背任事件、06年の防衛施設庁幹部を巻き込む官製談合事件などの不祥事を引き起こしています。守屋氏はこの間約20年に渡り、軍需専門商社「山田洋行」の宮崎元伸・元専務から年に20〜30回、計200回以上ものゴルフ・飲食・麻雀の接待を受け、次女の米国留学の便宜を受けていました。守屋氏は同商社が会員のゴルフ場では偽名を使い、妻を同伴することも多かったといいます。伊吹幹事長は「あまりに常識はずれ。自民党はかばい立てする気は一切ない。倫理規定がある中で、毎週ゴルフ場に通ったことになる。防衛省とはそんなに暇な役所なのか」と皮肉たっぷりに批判しました。防衛省は戦車、戦闘機、護衛艦などの装備で巨額の金が動く組織です。昨年度の防衛省の調達費は1兆3200億円(地方を除く)で、その7割に当たる9400億円が競争入札を経ないで決める随意契約でした。

自衛隊倫理規定もなんのその
 山田洋行は米国メーカーなどの代理店として次期輸送機のエンジンなどを受注しており、過去5年間の受注総額は、地方機関発注分を除き、117件で約170億円に達しています。元専務は06年6月に山田洋行から独立し、同年9月に設立した「日本ミライズ」の代表取締役に就任しました。「自衛隊員は利害関係者と共にゴルフをしてはならない」と自衛隊員倫理規定にありますが、特定業者との癒着が疑われるような行動は厳に慎まなければなりません。守屋氏の逸脱ぶりは言語道断です。トップがこんな体たらくだから、小泉内閣当時、首相は官房長官、石破茂氏は防衛長官でしたが、4年前に揃って、誤った給油量データに基づき、80万ガロンを20万ガロンと国会答弁したにもかかわらず、訂正の報告もせずデータを隠蔽した海上幕僚監部防衛課長がいたり、補給艦の活動を巡り、保存すべき航泊日誌を破棄したりするなど、文民統制上ゆゆしきミスを犯しています。石破防衛相は「防衛省全体の信頼に大きくかかわるものだ」と守屋氏の証人喚問を容認、退職金の返還を求めました。29日の衆院テロ対策特委での証人喚問で、野党側は「日本ミライズ」に対する守屋氏の職務権限行使の有無を厳しく質したほか、守屋氏と上記の関わりを洗いざらい追及しました。参院でも守屋氏、元専務ら3人の証人喚問を要求しています。

過酷な任務の隊員に報いたい
 朝日新聞は24日、給油中断による海自佐世保基地の戸惑いの声を取り上げました。01年11月の1次隊派遣から、同基地は延べ22隻をインド洋に送り、最も派遣回数の多い補給艦「はまな」は今年8月までに6回の派遣で、計216回、約13万キロリットルの燃料を補給してきたと伝えています。2回の派遣経験のある隊員は「国民のためと思って働いたのに、なぜ今になって悪いことをしてきたように論じられるのか」「周囲を警戒する監視のローテーションは過密。いつ終わるとも知れない任務に隊員は疲れている」と述べたことを朝日は報じています。炎天下45度を超える洋上で過酷な任務に従事した隊員のご苦労を思えば、隊員の皆さんの国際貢献の努力が確実に身を結ぶことを願わざるを得ません。会期は残り10日間ですが、私は一刻も早く新法を成立させたいと念じています。