第163回(9月1日)派閥領袖集め重厚布陣 挙党態勢確立
 インドなど南アジア3国訪問から帰国した安倍首相は8月27日、自民党3役人事と内閣改造を断行しました。「人心一新」を図るため、自民党の幹事長に麻生太郎外相、政調会長に石原伸晃幹事長代理、総務会長に二階俊博国対委員長を、内閣の要である官房長官に与謝野馨元経済財政相、外相に町村信孝元外相、防衛相に高村正彦元外相、財務相に額賀福志郎元防衛庁長官を起用、伊吹文明文部科学相は留任させました。額賀氏は津島派会長代理ですから党・内閣の重要ポストには麻生、二階、町村、伊吹、高村、津島派の派閥領袖級6人の重鎮を配して重厚な布陣を敷き、挙党態勢を固めました。与謝野氏は通産相や党政調会長などを歴任し「政策職人」の異名を持つほどの政策通。首相は「政策実行内閣」を自慢していますが、政策調整能力の高い与謝野氏を「経済の司令塔」として政権の浮揚、立て直しを図ろうとしています。私は首相の最も信頼が厚い麻生幹事長の下で2度目の副幹事長を拝命、執行部の一員として麻生氏と同じ九州ブロックの行財政や安保、農林水産行政に微力を捧げることになりました。引き続きご支援、ご鞭撻をお願い申し上げます。

ナイスからダブルAの親友内閣
 一連の人事で、不評だった「お友達内閣」は「ナイス」から「ダブルA」の「親友内閣」に代わりました。「安倍チーム」の砦とされた首相補佐官は5人から2人に削減され、NAIS(根本、安倍、石原、塩崎)のうち、トップダウンの「官邸主導」で絶えず与党と対立した塩崎恭久官房長官と根本匠経済財政担当補佐官は、世耕弘成広報担当補佐官とともに官邸を去りました。外交政策などの路線が近く、首相の信頼する麻生氏は、参院選開票後真っ先に官邸へ駆けつけ「大敗しても続投するよう」進言、その直後から安倍、麻生の「ダブルA」で人事構想を練ったようです。石原政調会長は98年の金融国会で金融再生法案をまとめ上げ、「政策新人類」と呼ばれていますが、首相と個人的に親しい「ナイス」の仲間。首相は麻生氏と同様に絶大な信頼を置いて、改革と同時に国民の目線に合った党の政策立案を託しました。

舛添、増田氏起用のサプライズ
 内閣改造では、重厚な布陣のほか、伊吹文科相、甘利明経済産業相、公明党の冬柴鉄三国土交通相ら5人も留任させて閣僚経験者は10人になり、前内閣11人の新人は7人に減り、女性は2人、平均年齢60・4歳でやや若返りました。「サプライズ人事は首相の続投だ」と民主党の鳩山由紀夫幹事長は揶揄しましたが、敢えてサプライズと言えば、都市と地方の格差問題に取り組む総務相に増田寛也前岩手県知事、年金問題担当の厚生労働相に舛添要一党参院政審会長を抜擢したことでしょう。「新経済成長戦略を進めることが必要だ。参院選の結果で反省すべき点は反省しながら、党改革路線を継続し、地域活性化にも力を入れた布陣をとる」――。首相はマレーシアのクアランプール会見で「地方軽視」と指摘された改革路線を多少修正する意向を示しました。その証が民間人の増田氏起用です。増田氏は三重の北川正恭氏、鳥取の片山善博氏とともに「改革派知事」3羽ガラスの1人。地方活性化に向けての目玉人事となりました。首相の政権運営を批判し続けた舛添氏の起用は、党内の不満に首相が耳を傾ける姿勢を印象づけたもので、批判派の懐柔策と見られますが、舛添氏は実母を長年介護した体験記を出版したり、党で年金問題と取り組んできた社会福祉のベテラン。新人とはいえ、いずれも適材適所の人材ばかりです。

支持率上がり具体策創出へ
 幹事長代理に細田博之元官房長官(町村派)、国対委員長に大島理森元農水相(高村派)、選対総局長に菅義偉総務相(古賀派)、衆院議運委員長に笹川尭党紀委員長(津島派)が起用されました。改造に伴う副大臣や党の人事は麻生氏にほぼ一任されました。今回の人事によって各紙の世論調査は、内閣支持率が約10%上がり、30〜40%台に持ち直しています。首相は厳しい政局に向け、何とか再出発するシフトを組み上げましたが、政権の求心力を回復するには、小泉構造改革の影の部分、負の遺産である地方・雇用の格差を是正する具体策などを、来年度予算編成で我々が創出しなければなりません。