北村からのメッセージ

 

 第16回(4月16日) @自民党総裁選  開かれた選挙

 自民党総裁選は皆さんご存知の通り、24日に国会議員346人と地方代表各3人の141人、計487人で争われます。橋本龍太郎行革担当相、小泉純一郎元郵政相、亀井静香政調会長、麻生太郎経済財政担当相の4人が立候補しましたが、ほとんどの都道府県では「予備選」に突入、党内は熱気をはらんでいます。

 強力なリーダーシップを

 マスコミは森内閣を“密室・談合”で生まれた政権と批判しましたが、今回は地方代表を3倍に増やし予備選も行う“国民に開かれた”選挙です。党の活力が甦る理想の総裁選といえましょう。数を頼りに構造改革路線を棚上げ、脱派閥で郵政民営化、減税含め景気回復最優先、世代交代目指し構造改革推進――。4候補者は、それぞれ個性豊かに戦っていますが、21世紀を切り拓く保守政治の理念と政策を掲げて国民の前で堂々と論争し、強力なリーダーシップを発揮して日本再生に取り組んでほしいものです。私も政治に対する国民の信頼回復を最優先に考え、皆さんから付託された重たい1票を指導力、実行力あるリーダーに投じたいと思っています。

 北村からのメッセージ A輸入野菜特集 第1回  セーフガード発動

 政府は4月10日、中国からの輸入が急増しているネギ、い草(畳表)、生椎茸に、国内初の一般セーフガード(緊急輸入制限措置)を暫定発動する方針を決め、23日に発動します。これは、先号で報告した通り、私の所属する衆院農林水産委員会が3月28日、全会一致で決議した「セーフガード発令の促進」を受け政府が決定したものです。生産農家の防衛は我々農林水産委員として当然の責務ですが、輸入野菜の課題は山積しています。
 そこで、激動政局をしばし離れ、今回から3回に分けて輸入野菜問題を報告しましょう。第1回は輸入野菜の現状、第2回は輸入の原因と背景、第3回は生産農家の対応策です。

 消費の部屋

 永田町の熱気をよそに季節は春うらら。司馬遼太郎の名作「菜の花の沖」は、NHKが正月、BSデジタル放送開始を記念して制作した番組でした。菜の花は今、名作の舞台となった淡路島はもとより全国で満開です。
 「菜の花はビタミンB・C、カロチン、カルシウムが豊富で栄養価の高い野菜の一つです。お浸し、辛子和え、ゴマ和えなどで冬に不足したビタミン類を補給して下さい」――。
 農林水産省は3月中旬、同省1階の「消費の部屋」で春野菜を紹介、地場野菜と健全な食生活、などの展示コーナーを開きました。

 国産野菜奨励

 同省が「消費の部屋」を開設したのは、「北村の政治活動 第11回」で紹介したように、約3年前から輸入野菜が激増し、日本の生産農家に大打撃を与えているのを重視、「野菜を食べて元気な毎日」をキャッチフレーズに国産野菜の奨励に乗り出したからです。

 近隣アジア諸国

 輸入野菜の急増は、前にも述べた通り近隣アジア諸国が日本を有望な市場と見て洪水的な輸出に励んでいるせいですが、輸入増は近隣諸国の安い労働力を活用して日本の商社やスーパーが開発輸入を競っているのも一因です。問題なのはこれが野菜価格を引き下げており、一面では消費者に喜ばれていることです。

 難しいパズル

 自民党団体総局の労働・消費者、地方自治担当の副委員長を務める私の立場からは、物価の側面も無視できません。生産農家と消費者がともに喜ぶ解決策はあるのか。このパズルを解くのはなかなか難しいですが、それには私の持論である構造改革を農業の面でも進める以外にはなさそうです。これは特集第3回で述べるつもりです。

 輸入量は倍増

 野菜の国内生産は平成3年の1,527万トンから同11年の1,388万トンへ減少。逆に輸入量は、この間110万トンから220万トンへ2倍も増加、特に生鮮野菜の輸入は過去10年間に3倍の伸びを見せています。過去5年間に限っても中国からが2.7倍、韓国からが5.2倍と急増、生野菜輸入に占める両国の増加量は87%に達しています。

 中国ネギは約5倍

 生鮮野菜の品目別輸入量は、平成8年から同12年の5年間で、ネギが4.6倍、ピーマン4.1倍、トマト25.9倍と急増、中国、韓国を主要な輸入先にしている品目の伸びが顕著です。中国からの輸入状況は、この5年間でネギが8,707トンから41,750トンへと4.8倍、タマネギが7,208トンから27,078トンと3.8倍、加工品の冷凍野菜も1.4倍にふえています。(初めのトン数は8年、後のトン数は12年)

 韓国トマト35倍

 韓国からは、同じく5年間でトマトが320トンから11,262トンへと35倍、パプリカなどジャンボピーマンが234トンから6,725トンへと29倍、スイカが166トンから2,044トンへと12倍、キムチなど野菜加工品も急増しています。中国、韓国以外のアジア諸国では、タイのアスパラガス、ショウガなどが近年増加しています。

 米、豪はタマネギ

 その他の国からは、同じ5年間に米国のタマネギ、ブロッコリー、メロンの総量が209,994トンから276,679トンへと1.3倍、ニュージーランドのタマネギ、人参、カボチャの総量が124,816トンから160,502トンへと1.3倍、豪州のタマネギ、人参、アスパラガスの総量が21,724トンから18,085トンへと0.8倍増えています。平成12年は、出荷時期が重なった北海道産のタマネギが不作だったことが輸入増の原因です。

 WTO協定で承認

 こうした洪水的輸入を防ぐため、政府は10日、中国からの輸入が急増しているネギ、い草、生椎茸について、初めて一般セーフガードの発動を決めました。これは、割安な外国産の工業製品や農産物の輸入急増に対し、政府が一定期間、輸入量の制限や関税率引き上げで国内産業を保護できる緊急輸入制限措置で、WTO(世界貿易機関)の協定でも発動が認められています。これまでに世界で31件発動されており、別に日米繊維摩擦に伴う貿易規制を発端とする繊維セーフガードもあります。

 期間は最大8年

 通常の発動要件は、@外国の価格低落その他予想できない事情の変化による輸入増加A輸入増加で国内産業に重大な損害が生じるB国民経済上緊急に必要――と認定した場合で、発動期間は原則4年以内、延長しても最大8年以内(暫定期間を含む)です。発動前にはまず農水省が実態調査の開始をWTOへ通報。農水、財務、経済産業3省が1年以内に関係団体の実態調査と利害関係者の意見聴取を行って、発動の是非を協議します。

 暫定発動

 しかし、より緊急を要する場合は関税率に限って暫定発動が出来る仕組みで、今回は農水省が「輸入急増で国内価格が下落し、生産者に致命的な被害を受けている」と発動を主導しました。経済産業、財務両省は当初、発動すれば価格が急騰し消費者へ不利益を与え、中国も反発するとして慎重姿勢を取っていましたが、衆参両院での与野党一致の国会決議を受けて、3省の大臣が6日、暫定発動に合意し、10日の閣議で了承されました。

 中国、消費者に配慮

 今回の暫定措置は23日に発動されますが、長期の数量制限などを課す本発動ではなく、200日を限度に関税を引き上げる措置です。それは@最近の年間輸入量に見合った分までは現行の低い関税率Aそれを超えた分に高い関税をかけるーーという2段階方式をとるなど、中国や日本消費者の利益に配慮しています。つまり年間輸入量に見合った分まではネギ3%、い草6%、生椎茸4・3%の現行関税率を適用、それを上回った分に106―266%の高率関税をかけます。これに対し中国が自主規制してくれたらよいのですが、WTO未加盟の中国が報復措置をとることも予想され、2国間協議は難航しそうです。

 輸入野菜は半値以下

 ネギは千葉県長生郡や埼玉県深谷市、い草は熊本県八代市、生椎茸は群馬、大分県などが主生産地。昨年の卸売市場の平均価格を1キロ当たりで比べると、生椎茸は国産品が930円に対し輸入品は331円と3分の1、白ネギはほぼ半分程度。「日本一のネギ産地・千葉県の知事選で敗れたのはセーフガードの発動が遅れたからだ」との声が聞かれます。

  農業の構造改革
参院選を前に生産農家を救済し、競争力を取り戻してもらうことは、我々農水委員の使命です。同時に安価で安全、安定した農産物を消費者に提供することも重要です。それには思い切った農業の構造改革と中長期的な施策が不可欠です。次回は輸入野菜が激増する原因、開発輸入の実体などに触れたいと思っています。

生鮮野菜の輸入量、倍率など品目別の推移と主要輸入先国〔単位トン〕――農水省調べ

品目名 8年 12年 倍率 主要輸入先国と平成12年のトン数
タマネギ 184 262 1.4 米国(169)NZ(53)中国(27)
カボチャ 144 133 0.9 NZ(91)メキシコ(20)トンガ(14)
ゴボウ - 82 - 中国(69)台湾(13)豪州(0・2)
ブロッコリー 74 79 1.1 米国(68)中国(10)豪州(0・6)
ショウガ 31 48 1.5 中国(45)タイ(2)インドネシア(0・1)
人参 30 44 1.4 中国(21)NZ(12)台湾(6)
ネギ 9 42 4.6 中国(42)豪州(0・3)ベルギー(0・2)
メロン 27 34 1.2 メキシコ(22)米国(11)NZ(0・5)
ニンニク 24 29 1.2 中国(29)アルゼンチン(0・1)
アスパラガス 22 25 1.1 豪州(6)米国(5)メキシコ(5)
キャベツ 3 21 7.9 中国(20)インドネシア(0・7)台湾(0・6) 
エンドウ 14 21 1.5 中国(21)タイ(0・1)
里芋 26 20 0.8 中国(20)
ピーマン 4 16 4.1 オランダ(6・8)韓国(7)NZ(2・3)
トマト 0.5 13 25.9 韓国(11)米国(2)カナダ(0・1)