第154回(4月16日)統一前半戦は9勝 2法案審議促進
 4月8日投票の13都道県知事選は、石原慎太郎都知事が280万票で圧勝、3選を果たすなど自民党が推薦や実質的に支援した9都道県で勝利し、参院選へ弾みをつけました。しかし、道府県議選では民主党が大幅に躍進、弱かった地方に反転攻勢の足場を築きました。22日は統一地方選後半戦の市区町村長選、市区町村議選と参院福島・沖縄補選が実施され、前半戦の好調を維持できるかどうか。夏の参院選を占う試金石となるため、我々は総力戦を展開しています。

 安倍首相は11日から3日間、来日した温家宝首相との日中首脳会談で「戦略的互恵関係」を再確認、環境問題で協力する共同宣言を発表しました。26日からの訪米では、ブッシュ大統領と会談し最近ぎくしゃくしている日米関係を修復したい考えです。イラク政策で行き詰まったブッシュ政権は昨秋の中間選挙敗北後、政権運営に苦慮していますが、米政権を支援するのがイラク特措法改正案と米軍再編推進特措法案です。両法案とも私が理事を務める衆院安全保障委員会で審議中ですが、今月内に是非とも成立させ、首相訪米の手土産にしようと、選挙戦の合間に努力しているところです。

民主、県議・指定市議選で躍進
 「神奈川は(民主党出身の知事が)推薦を辞退したから、知事選は3勝1敗1ドローだ。圧倒的な勝利で参院選に追い風が吹いた。無党派層は政治意識が高い保守中道だ」――。中川秀直幹事長は、無党派層を敵に回さず、参院選を勝ち抜く自信を深めています。
 タレント知事当選の“そのまんま東現象”を意識して、各知事候補は政党の推薦を辞退し、無党派票の取り込みを図ったが、政党隠しの裏ではがっちり政党の支援を受け、5都道県で与野党が激突した結果、自公与党は北海道、東京、福岡を制し、民主党は岩手、神奈川と4政令市長選のうち札幌市を抑え、表向きは星を分けました。

 だが、「現職志向」が強いことから、民主党は参院選で重視する「1人区」の奈良、鳥取、島根、徳島、佐賀、大分6県では独自候補を擁立することが出来ず、三重、福井2県で相乗りし、福岡では地元県議らが現職の麻生渡知事支援に傾くなど足腰の弱さを露呈しました。自民党内では「参院1人区で民主党が取れるのは“小沢王国”の岩手だけ」との楽観論すら上がっています。
 しかし、油断は禁物。民主党は道府県議選で前回の205人を大幅に上回る375人を当選させたうえ、15政令指定市議選でも、名古屋(愛知)、川崎(神奈川)両市で自民を上回って第1党になり札幌、仙台、横浜、神戸などの大都市で自民党と互角の戦いをしました。

要注意は慰安婦・歴史認識問題
 22日の統一地方選後半戦では、市区町村の首長と議員の選挙が行われますが、これら地方議員は夏の参院選の実働部隊となるため、後半国会の攻防とともに、心を引き締めて選挙戦に臨まなければなりません。「訪日を成功させ、氷を溶かす旅にしたい」と、11日に来日した温家宝中国首相は、安倍首相との会談で北朝鮮問題や経済発展に伴うエネルギー、環境、省エネ問題などで「戦略的互恵」の具体化を話し合い、地球温暖化対策などで協力することを盛り込んだ共同声明を採択しました。

 ただ、要注意なのは、温首相が来日直前の10日に訪韓し、廬武鉉大統領との会談で、日本の歴史認識問題についても意見を交換した模様であることです。韓国は安倍首相の従軍慰安婦問題での発言に反発し、米国議会の動きと連携しつつあります。小泉・ブッシュ時代に“蜜月関係”を誇った日米関係が、さざ波立ってきたことは、3月16日のHP「北村の政治活動」で述べた通り、「米国のイラクでの治安維持・復興政策は非常に幼稚だ」(麻生太郎外相)、「イラク開戦の判断は間違っていた」(久間章生防衛相)など主要閣僚の米批判発言に触発された点は否めません。


中間選挙敗北後に対北朝鮮軟化
 だが、本質的には、昨秋の中間選挙で共和党が敗北後、北朝鮮の体制転換を唱えるラムズフェルド国防長官、ボルドン国連大使ら新保守主義(ネオコン)の強硬派が政権を去り、北朝鮮政策の「軟化」が目立ってきたことにあります。6カ国協議で米国は「マカオの銀行バンコ・デルタ・アジア(BDA)の凍結資金を全額解除する」と日米間の根回し抜きに突然言い出したり、2日に妥結した米韓自由貿易協定(FTA)でも、韓国が共同開発中の北朝鮮の開城工業団地製品を韓国産と認める方向を打ち出したり、国務省のテロ支援国家リストから北朝鮮を削除する動きを示すなど、「軟化」の姿勢は強烈です。

 さらに、米下院では、従軍慰安婦問題を「奴隷制」「人身売買」と非難し、日本政府に謝罪を求める決議案の審議が進んでいます。決議案の代表提出者は、日系のマイケル・ホンダ民主党議員。同議員は中国系や韓国系住民が急増しているカリフォルニア州の出身で、選挙対策もあってこれまでにも数回提出していますが、中間選挙後に女性の下院議長が誕生したことから、安倍首相の訪米直後にも採択されることを期待して動いています。

20万人「強制連行」の誤解
 政府が93年8月4日に発表した調査報告書では、昭和7年(32年)ごろ中国・上海に慰安所が設けられて各地に広がり、多くは民間業者に経営されていたとの記録があり、当時の河野洋平官房長官は「いわゆる従軍慰安婦としてあまたの苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われた全ての方々に心からおわびと反省の気持ちを申し上げる」との謝罪談話を発表。安倍首相も06年10月5日の衆院予算委で河野談話を基本的に引き継ぐ考えを示しています。

 慰安婦の約4割は日本人で、当時は日本の植民地だった台湾の出身者などの女性が約3割、同じく朝鮮半島出身者は約2割、その他フィリピンやインドネシアなど現地女性が確認されています。慰安婦問題が蒸し返される根底には、官憲による組織的な「強制連行」があったという誤解で、96年に国連人権委員会のラディカ・クマラスワミ氏がまとめた特別報告書によると、「北朝鮮による説明」であるとして、「朝鮮半島出身者だけで20万人が連行された」と記載されています。

性犯罪・性病・軍事機密を防衛
 これには中西輝政京大教授が「奴隷狩りのように銃剣で脅して20万人も連行すれば、周囲の男性が黙認するわけがないし、何らかの記録が残っているはずだ。当時の学卒者の俸給は75円だが、慰安婦は300円の手当を受け厚遇されていたと聞く」とテレビ番組で語り、現代史家の秦郁彦元日大教授も「戦前の日本に定着していた公娼制度の戦地版と位置づけるべきだ」と述べています。

 読売新聞によると、慰安婦や慰安所を必要とした理由は @占領地の女性の強姦など将兵の性犯罪を防ぐ A検診を受けていない現地の売春婦と接することで軍隊内に性病が広がることを防ぐ B将兵の接する女性を限定し、軍事上の秘密が漏れることを防ぐ――とされています。確かに軍規の乱れた旧ソ連の赤軍兵士はドイツや旧満州を占領した際、強姦、略奪の限りを尽くしました。

 戦後進駐した米軍は日本側の用意した慰安施設を利用したから、性犯罪が減少できたと言えるでしょう。首相は折角の訪米する機会ですから、「セックス・スレイブ」(性的奴隷)などと曲解された従軍慰安婦について、「自由な意志に基づく行為。戦時中の必要悪的な国際慣例」であって、「強制連行」などはなかったと明解に説明、この問題を鎮静化させて欲しいと願っています。