第152回(3月16日)統一地方選の前半戦ゴング 首都決戦は参院選に影響大 
 「暑さ寒さも彼岸まで」ですが、今年は3月21日の「春分の日」前にも関東以西は桜が狂い咲きしそうな暖冬異変。これは急激な環境悪化に地球が鳴らした警鐘・半鐘といえるでしょう。その半鐘や村の鎮守の銅葺き屋根、墓のステンレス製線香皿まで盗まれるという神仏を恐れない犯罪が目立っています。来年に中国で開催する五輪の建設ブームで高騰する銅・ステンレス・鉄鋼材に目を付けた日本の暴力団が外国人を交えた窃盗団を組織し、無防備な日本の村落から手当たり次第に盗んでいるとの説があります。

 小中学生のいじめ・自殺、少年暴走族の集団リンチ殺人、無差別に老人夫婦を襲う強盗殺人など幼から老まで情け容赦のない事件が日常多発。「安全神話」の日本社会が脅かされ、大きく揺らいでいます。日本の伝統、国の品格はどこへ行ったのか。今ほど教育の再生、中央・地方政治の在り方が問われている時はありません。統一地方選前半戦の13知事選がいよいよ3月22日に告示され、道府県議選、政令市長・市議選とともに4月8日に投開票されます。

自公与党と民・社野党が対決
 同22日には後半戦の市区町村長選、市区町村議選と参院福島・沖縄補選が実施され日本列島は選挙一色に染まります。政権政党半世紀の実績を誇る自民党か。無責任な野党か。日本の将来は国民の選択にかかっていますが、自民党は皆さんのご支援を得て必勝を期しています。約1千万人の有権者を抱え、予算規模は世界の国と比べても10位以内、北朝鮮の4、5倍の13兆7千億円という東京都。首都決戦は7月の参院選に大きな影響を及ぼします。

 都知事選は3選を目指す石原慎太郎知事に、浅野史郎前宮城県知事が挑戦する形になりました。双方とも“そのまんま東現象“を意識してか、無党派層を取り込もうと政党の推薦・支持を辞退しました。このため、自民、民主両党とも表向きは派手な応援を慎んでいますが、裏ではがっちり自民、公明が石原氏を推薦、民主、社民も浅野氏を支援しており、事実上の一騎打ち。与党と民・社野党が直接対決、これに共産が絡む図式です。

3選阻止派は「公私混同」批判
「東京から日本を変える」と石原知事はディーゼル車排ガス規制、新銀行東京の創設、羽田空港の拡張、都立大の再編、都立高の学区撤廃など即断即決の独自政策を次々と打ち出したことで、前回は有権者の3割という都知事選最高の得票率で再選されました。  しかし、多額の出張費・交際費や4男の画家を文化振興施策「トウキョーワンダーサイト(TWS)」事業に関与させたことが「公私混同」の批判を浴びています。

 これを浅野氏は「(再選で得た)300万票の傲慢さが出てきた」と批判、情報公開制度の拡充や地域福祉施設の大幅増設などを柱に17項目の公約を発表。 出馬予定の建築家・黒川紀章氏も「都政は荒廃している」と3選阻止を唱え、 共産党推薦の元足立区長・吉田万三氏も「都政の私物化」と非難し、石原流「トップダウン」の政治手法を攻撃しています。 
 
 都知事選の実態は、無党派票を奪い合う“そのまんま東現象”に巻き込まれた形ですが、政治記者から最近面白い話を聞きました。それは2月に千秋楽を終えた新橋演舞場を観劇した某社の政治部長から“又聞き”したと言う次のオフレコ(部外秘)話です。“お笑いの一席”を披露しましょう。


飫肥藩とダブル宮崎知事選
 新橋演舞場の演目は、「殿のちょんまげを切る女」。幕末の日向、飫肥(おび)藩(現宮崎県)を舞台に、歌舞伎俳優の中村勘三郎扮する飫肥藩主・伊東祐相(いとうすけもと)が大政奉還、廃藩置県など維新の荒波に翻弄されながらも市井人の代表として宮崎県知事になるまでを描いた人情喜劇。それだけに観客の笑いを誘うセリフが頻繁に出てきますが、観客をどっと沸かせたのは、妻役の藤山直美が殿様の勘三郎に向かって「そのまんま知事になって」と説得する場面と、跡継ぎがいない殿様の「お家断絶」を懸念する周辺が子づくりに励むよう陰に陽に奥方を促すのに対し、藤山直美が放つ「私は子供をつくる機械ではありません」と言うセリフでした。

 シナリオは1月の宮崎知事選前に書かれていますが、そのまんま東(東国原英夫)知事の誕生や柳沢伯夫厚生労働相の「子供を産む機械」舌禍事件後に急遽、アドリブのセリフを挿入したため、笑いの渦は大きく広がったそうです。タレント知事誕生とドラマ性が重なり合って俄然注目を集めたため、東国原知事も自ら2月中旬に表敬訪問し、役者を激励したとか。<これは参考資料で某社の“部外秘”扱い>

支持率低落はニッパチ現象?
 安倍首相も予算案が衆院を通過した徹夜国会明けの10時過ぎには蒙古の英雄物語「蒼き狼 地果て海尽きるまで」を昭恵夫人と観劇し、タフネスぶりを発揮しています。首相であれ、政治部長であれ「忙中閑あり」で“息抜き”する姿勢には余裕が感じられ、好ましいことです。注目されるのは、安倍人気についてその政治部長が「2月は内閣支持率が一番下がる時期」と見ていることです。

 芝居でも商売でも「ニッパチ現象」といって2月、8月は不景気が常識。政治部長は「小泉内閣だけを見れば、政権を担った5年半の間に5回を数える2月の世論調査はいずれも前月を下回っている。しかし、その後1カ月から半年かけて支持率を回復させ長期政権につながった。果たして安倍内閣に支持回復の粘り腰があるだろうか」と疑問を感じつつも好意的な見方を下したそうです。首相は「支持率に一喜一憂しない。まだコップにこれだけ水があると思えばよい」と粘り腰を見せています。

負けても退陣必要ないと小泉氏
 支持率低下に苛立っているのが中川政直幹事長で、自らのHPに「何らかの思惑で官邸と党との『すきま風』、『溝』という印層を与えたがっている官僚がいる。その人物は特定されている」とやや神経過敏ですが、当の首相は「中川さんは体格がいいから、すきま風が入る余裕はない」と冗談で記者団をかわし、参院の予算案審議でも「支持率のために政治をやっているわけではない。私の内閣支持率に心配頂くよりも民主党の支持率を考えて頂いた方がいいのではないか」と余裕たっぷりに堂々と反論。小泉純一郎元首相の言う「鈍感力」を発揮しています。

 小泉氏は7日夜、首相、幹事長と会食し、「すきま風どころか俺の時は暴風だった。官邸と党が一体となって台風をどんどん吹き荒らせばいい。(参院選に)万が一負けても政権選択の選挙ではない。胸を張って押し当たれ」と激励しました。
 首相は9日の参院予算委で、「小泉氏(の改革)は副作用を伴う劇薬も含む薬ではないか。私はじわじわ効く漢方薬で、気がつくと成果が出ている」と述べ、平然としています。

身勝手な小沢戦略・行動は裏目
 それに引き替え、民主党の小沢一郎代表は、予算案の衆院通過を遅らせるため、衆院予算委員長の解任決議案を提出し、2日から3日未明に審議引き延ばしが成功したと見るや、延会後の深夜に再開した本会議場には姿を見せず、3日後も衆院本会議を欠席して参院選応援の長崎遊説に出かける始末です。国民新党の亀井静香代表代行は、3日未明に民社党が別の財務金融委員長解任決議案を他野党に相談なく取り下げたため、「眠いから辞めるなんてとんでもない。(党首が)退席して後は野となれ山となれ、ではかなわない」とカンカンで国会共闘を拒否しました。

 確かに予算採決の本会議欠席は国会軽視。党首としてこれほど身勝手、無責任な行動はありません。5日から参院予算委でも民主党議員は「政治とカネ」を巡り事務所費問題で松岡利勝農水相と伊吹文明文科相を追及しましたが、自民党の片山虎之助幹事長がすかさず質問で応酬。小沢氏の資金管理団体による10億円を超す不動産の所有について「政治資金規正法が禁じる政治資金の運用ではないか」と厳しく指摘、その方が遥かに迫力満点でした。首相も答弁で「多額の不動産を持っているのは事実上、小沢氏1人だけだ」とけん制。小沢氏の戦略・行動は全て裏目に出ているようです。

七月本番に響く福島・沖縄補選
 一連の選挙の中で最重要なのは福島、沖縄の両参院補選です。青木幹雄参院議員会長が「沖縄が負けると大変だ」というように、4月5日告示、22日投開票の両選挙結果は、7月参院選での与野党勝敗ラインに直結するだけに各党は総力戦で臨んでいます。3年前は民主党が自民党を1議席差に抑えて勝ち、さらに郵政解散で自民党から離党議員が出たため、非改選議席は民主党48議席に対し、自民党は46議席です。参院選での過半数維持には、与党は65議席以上の獲得が必要ですが、補選で2勝すれば勝敗ラインは「63」に下がって、公明党が改選13議席を維持すれば、自民党の必要議席は50となります。

 だが、最近5回の参院選で自民党が50議席を越えたのは1992年と2001年の2回だけ。民主党が仮に補選で2勝すると民主党は4議席も差をつけて7月本番を迎えることになります。このため、自民党幹部は「補選で最低でも1勝し、勢いをつけることが必須条件」と告示まで20日を切った両補選にゲキを飛ばし、参院選は事実上始まっています。


防衛関連法案成立に一汗かく
 このように各党とも選挙戦に全力を挙げており、予算案が年度内成立の見通しを得てからは事実上、“政治休戦“ムードになりました。しかし、安倍首相が教育国会と意気込んでいるように間もなく教育改革関連3法案が提出されるほか、憲法改正の手続きを定める国民投票法案や予算関連の重要法案が山積しており、参院選で会期延長が困難なため、これらの審議も促進しなければなりません。

 特に私が属する衆院安保委員会は、イラクでの航空自衛隊の空輸活動を2年間延長するイラク復興支援特措法改正案と在日米軍再編推進特別措置法案を抱えていることから、私は早急な成立に向け一汗をかこうと考えています。