第148回(1月16日)半年間は政治の季節 改憲、教育改革で戦う
 防衛庁が9日から防衛省に昇格しました。佐世保基地で働く自衛隊・家族の皆さん、重ねておめでとうございます。半世紀の宿願が叶い、これほど喜ばしいことはありません。これを機に私は、在日米軍再編に伴う普天間飛行場移設など、基地の振興・改善対策にさらなる努力を傾注したいと念じています。さて、1月25日から通常国会が開幕、4月の統一地方選を挟んで7月22日の参院選まで半年間、日本列島は政治の季節を迎えます。21日投票に向け、官製談合で出直しの宮崎と任期満了の山梨、愛媛の3県知事選が、プレ統一選として戦われています。首相は政権100日後の4日、年頭記者会見で「私の内閣で憲法改正を目指す。通常国会では教育、社会保険庁改革法案の成立を期す」と決意を表明、改憲を参院選の公約に掲げました。昨年末の本間正明政府税調会長、佐田玄一郎行政改革相の相次ぐ辞任で内閣支持率が急落したため、首相は政権の信頼を回復しようと教育改革など“安倍カラー”を強く打ち出す法案を提出、これに懸案の憲法改正に必要な国民投票法案を加えて重要法案として成立させ、政権の求心力を高めようとしています。首相は9日から1週間の欧州4カ国訪問、フィリピンでの東アジアサミット出席を終え15日に帰国しました。サミットでは日中韓首脳会談も開き、北朝鮮対策での協力体制を確認、またも外交成果を高めています。これに対し、民主党は「参院選に勝利し、弱者切り捨ての政治に終止符を打つ」と対決姿勢を強めており、国会は冒頭から緊迫する雲行きです。

任期中に祖父の悲願達成
 「亥年らしく『美しい国』に向かってたじろがずに一直線に進む。正攻法で着実に実績を残していくことに全力を尽くす」――。首相は4日の年頭記者会見でこう決意を述べ、憲法施行60年を迎えた今年、新時代に相応しい憲法を作っていく意思を明確にしました。
「戦後レジーム(体制)からの脱却」を掲げる首相は、「米国の占領下わずか1,2週間で連合国軍総司令部(GHQ)の法律に詳しくもない若手スタッフが書いた憲法は制定過程に問題がある」、「9条によって日本は独立国としての要件を欠くことになった」を持論とし、自主憲法制定運動を主導した祖父・岸信介元首相の悲願を達成したいと意欲を燃やしています。首相は昨年10月末、英紙のインタビューで、「総裁任期は3年で2期までしか務められないが、自分の任期中に憲法改正を目指したい」と改正期限に踏み込んだ発言をしています。5年の長期計画の陣立てとしては、まず今国会で憲法改正手続きを定める国民投票法案を成立させて参院選で民意を問い、1昨年11月に公表した自民党新憲法草案について今後1年間かけてさらに論議を深めて論点を整理。2〜3年以内に「加憲」の立場を取る公明党とも相違点を十分にすりあわせた後、民主党に法制化の共同歩調を呼びかける。改正時期は総裁任期2期目に照準を定める――を頭に描いているようです。

まずは国民投票法を成立
 自公両与党と民主党は、国民投票法案をそれぞれ別個に提案していましたが、昨年末の3党協議で懸案の投票権を持つ年齢を「原則18歳以上(経過措置期間は20歳以上)とするなど5項目の修正で一致しました。@国民投票の対象範囲A投票用紙への記載方法B個人・団体の意見広告放送の禁止期間C政党が無料意見広告を行えるメディアの種類――の残る4項目についても合意は可能と見ています。民主党の枝野幸男憲法調査会長は昨年12月の衆院憲法調査特別委で、「5月3日の憲法記念日までに法案が成立することを期待する」と述べ、同党保守派は法案成立に前向きな姿勢を見せています。そこで与党は、07年度予算案の衆院通過後、3月をめどに衆院特別委で3党が歩み寄り、共同修正案を採決。参院にも特別委を設置して集中審議し、4月中にも成立させようとしています。しかし、同党は本間前税調会長と佐田前行革相の辞任に至る安倍首相の任命責任を徹底的に追及する構えです。小沢一郎代表は年頭記者会見で「参院選で与党の過半数割れを目指し猪突猛進する」と語り、「安倍内閣との対立軸を明確にしないと参院選で勝てない」と常に述べていることから、法案に反対する共産、社民両党との共闘関係を大事にして、同法案成立を参院選後に先送りするよう動くのではないか、と自民党内では警戒しています。


労組支援の民主に3本の矢
 自民党は憲法改正のほか、公務員制度改革、教育改革、社会保険庁改革を参院選での政権公約の柱に据える方針です。いずれも通常国会へ関連法案を提出しますが、中川秀直幹事長はこれら法案を「3本の矢」と称し、労組の支援を受ける民主党との全面対決を演出しようとしています。3年前の参院選で自民党が改選議席を割って苦戦した背景には、年金の未納・未加入問題、小泉前首相の厚生年金保険料肩代わりでの「人生いろいろ」発言などがあって、選挙直前の国会で成立した年金改革関連法に対する有権者の不満が高まり、逆風が吹いたからです。当時の安倍幹事長は選挙不振の責任を取り辞任しましたが、その記憶が鮮明な首相は「不適任な党公認候補は差し替える」と繰り返し発言するなど、参院選には背水の陣で臨んでおり、政府与党幹部には「民主党との対立法案を提出し、国民に争点を明示するよう」指示しています。これを受けて中川幹事長らは、民主党を支援する自治労や日教組などの反発が予想される内容の3法案を提出すべく、準備を進めています。

社保庁の解体的出直しを
 特に中川幹事長は前政調会長当時に「呆れた社会保険庁の実態」と題する小冊子を監修して広くばらまき、社会保険庁解体を唱えてきました。例えば「はっきり見えてきた私たちの“敵”の姿」「全部でおよそ39万件。社保庁が行った不正行為の数」「45分やったら、15分休憩。小学生の授業ではなく社会保険事務所の話」「小沢さん、『常識の政治』を目指すなら、まず『非常識な支持団体』を何とかしてはいかが」――など見出しだけを見ても過激で、さすが記者上がりの幹事長らしく社会保険庁のぶざな実態を克明に取り上げ、職員の組織率96%の自治労・国費評議会を激しく攻撃しています。安倍首相は就任後の臨時国会の所信表明で「社会保険庁の解体的出直しと厚生・共済年金の一元化」を唱えており、社保庁組織を「非公務員型の公的新法人」に改め、国家公務員の社保庁職員を非公務員化することを基本に、法案制定作業を急ピッチに進めています。社会保険庁改革は、今回HPの「北村の政治活動第140回」で取り上げているので是非お読み下さい。

教員免許と教育委制度改革
 公務員制度改革は、天下りの事前規制を廃止する代わりに、民間企業に再就職した公務員の口利きに刑事罰を導入するほか、能力・実績主義の人事評価制度なども導入する方針です。自治労は、社保庁や公務員制度の改革が職員の大半が加入している組織の「弱体化」を狙うものとして、猛反発しています。教育改革では、教育の荒廃が続く中で、事実上、終身有効となっている教員免許に更新制を導入し、指導力不足など教員としての資質や能力に欠ける教員は、教員を続けられなくすることが狙いです。首相が設置した教育再生会議は今月中に第1次報告をまとめますが、焦点の教員免許更新制や教育委員会制度の見直しに関しては主張の違いが目立ち、未だ議論を集約するには至っていません。日教組などは、国が教育の場をコントロールする「国家統制」が進む恐れがあると強く警戒しています。民主党は社保庁の解体には応じるが、年金保険料の徴収は国税庁を改編した「歳入庁」で行うことを柱とした対案を提出する構えです。教育改革でも、@教育委員会は廃止し、首長が責任を持つ制度へ転換A教育の財政支出をGDP(国内総生産)比5%以上に引き上げB高校教育と5歳児の就学前教育の無償化――を基本政策で打ち出し対抗しています。

中曽根元首相が安倍賛歌
 改憲、教育改革、“組合潰し”に取り組む安倍首相を高く評価しているのが、国鉄・電電民営化を断行し、公労協を“去勢”した中曽根康弘元首相です。7日の読売新聞で“安倍賛歌”を寄稿し、その中では戦後政治の大転換に、@佐藤内閣が非核3原則を国策として“核の傘”を誓約する日米安保体制を持続させたA国鉄の民有分割化の結果、労働運動の総本山・総評を崩壊させ、社会党は基礎を失ったB小選挙区制の導入で候補者の公認権と政治資金を握る総理、幹事長の権限が絶大となった――の3点を挙げ、小泉内閣の負の遺産である中韓両国との関係を改善し、新教育基本法、防衛省設置法をいち早く成立させた安倍政権を褒め讃えています。さらに、「小泉前首相は郵政、道路に固執専心したが、安倍首相は日本教育の全体系の改革と、そのための官民への関心の誘導を心がけるべきだ。特に憲法改正で5年の目標を立てたことには、その決心と勇気に敬意を表する」と持ち上げ、「長州人のど根性で(保守本流を)決然と進め」と激励しました。我々も保守本流政治の志を高く持ち、初の戦後生まれ首相をもり立て、国会を乗り切りたいと思っています。