第147回(1月1日)キーワードは参院選 本間会長引責辞任
 新年明けましておめでとうございます。団塊の世代が還暦を迎えました。私も5回目の年男ですが、政界では「50、60は、はな垂れ小僧」と言われています。確かに高齢化社会では若く働き盛り。今年も故郷のため、国のため、世界のため、猪突猛進でご奉公する覚悟です。開運招福の亥年の年頭に当たり、倍旧のご支援、ご鞭撻をお願い申し上げます。

 今年のキーワードは、7月に行われる天下分け目の「参院選」です。総裁選で自民党が安倍晋三氏を押し立てたのは、若さと人気抜群で選挙に勝てるとの期待感が強かったからです。安倍政権は初の臨時国会で半世紀に渡る懸案の改正教育基本法、防衛庁の省昇格法を成立させ、公約の「戦後レジーム(体制)からの脱却」を実現しました。政府提出14法案全部と継続法案6本も成立させています。
 
 07年度予算編成では好税収に支えられて過去最大の新規国債発行額の圧縮と一般会計総額約83兆円(4%増)の予算を組みました。しかし、「官邸主導政治」の象徴だった政府税調の本間正明会長が公務員宿舎問題で引責辞任し、支持率低下に苦しむ安倍政権に痛撃を与えるなど、亥年は波乱の雲行きです。いよいよ通常国会ですが在日米軍再編、水産振興などで大いに活躍したいと思っています。

国債発行は過去最大の減額
 「財政再建をしっかりと進め、財政規律を守っていくことを世界に示す必要があると考え、新規国債発行額を過去最大、減額するよう指示した」――。安倍首相は最初の予算編成で財政再建を重視したことを強調しました。確かに税収が過去最大の53.5兆円と06年度当初予算に比べ、7.6兆円も増えたのを追い風に、歳入不足を補う新規国債の発行額を、4.5兆円削減し25.4兆円に抑制しました。
 小泉政権が新規国債30兆円を公約に掲げ、なかなか達成できなかったのに比べ、好況に恵まれてラッキーな予算編成となりました。

 この結果、国の基礎的財政収支(プライマリー・バランス)の赤字は4.4兆円と半減します。政府は国と地方を合わせた基礎的収支を2011年度までに黒字化する方針ですが、この目標の前倒し達成が可能となり財政再建は改善されるように思えます。
 しかし、発行額を減らしても歳入の国債依存度は31%に達し、国と地方の長期債務は来年度末で773兆円に及ぶ見通しです。次世代への借金を考えると決して楽観できません。

在日米軍再編費は別枠計上
 一般会計総額は、06年度当初予算比4%増の82.9兆円で2年ぶりに80兆円を上回りました。但し、政策に使う一般歳出は、社会保障費の増大などで同1.3%増の約47兆円と3年ぶりに増加に転じ、歳出削減面で課題を残しました。
 政府は来年度の実質成長率を2%と見込んでいますが、景気回復は輸出の好調によるもので米国、中国の経済動向次第。国内の景気が失速すれば今回のような税収は望めません。

 公共事業費、政府開発援助費(ODA)は「骨太の方針」通り、3〜4%削減され、防衛費も0.3%減ですが、ミサイル防衛関連費は北朝鮮の脅威に対処し大幅に増額されました。特に防衛庁(9日から省に昇格)と財務省が攻防を繰り広げた在日米軍再編関連経費は、通常の防衛関係費と区別して72億4千万円が「別枠」で計上されました。これは「地元の負担軽減のために本来の防衛予算を削り、自衛隊の活動に支障が出てはならない」との政治的な要望に応え、便宜的に線引きしたものです。事実上の別枠として防衛、財務両省庁が折り合いました。


社会保障費は21兆円の大台
 社会保障費は毎年1兆円単位で拡大し、21兆円の大台に乗リましたが、過去に発行した国債の元利払いに使われる国債費も2.2兆円増の21兆円と社会保障費に肩を並べました。
 財政再建を軌道に乗せるにはこの2つの巨大支出をどう抑制するか。消費税率引き上げ論議は避けて通れない状況です。首相は昨年臨時国会の所信表明で、消費税については「逃げず、逃げ込まず」という姿勢で対応すると宣言しましたが、実際は参院選に与える影響を恐れ、経済成長を持続させて税の自然増収を拡大し、出来れば消費税率の引き上げは回避する「上げ潮経済政策」を採りました。中川秀直幹事長もその推進者です。

 そこで、消費税率引き上げの積極論者であった政府税調会長の石弘光元一橋大教授の留任に異を唱え、経済財政諮問会議の民間議員を5年も務め、首相の経済成長路線を理論的に支えてきた本間正明大阪大大学院教授を会長に起用しました。さらに政府税調の運営も財務、総務省中心から内閣府が主導する形に変え、官邸主導型にしました。
 ところが、本間氏は夫人と離婚協議中でありながら、親しい知人女性と都内の公務員宿舎に同居しているとのスキャンダラスな問題が週刊誌で一斉に取り上げられ、国会閉幕後は騒然としてきました。

醜聞で税調会長自発的辞任
「ほんま(本当…本間)に良くないね。自分で判断することだ」――。森喜朗前首相は12月20日、安倍首相に本間氏の会長更迭を進言?した後、記者団に冗談っぽく、こう語りました。本間氏が諮問会議で公務員宿舎の削減を提言していたことから、社民党の福島瑞穂党首は「月に数回しか使っていないにもかかわらず、宿舎を使っていたことは極めて問題だ。公務員宿舎を削るべきだと言っていた人であり、辞めるべきだ」と辞任を要求。野党は閉会中審査を求め、首相の任命責任を追及する構えです。首相官邸ホームページにも本間氏の早期辞任を求め、政府の対応を批判するメールが続々寄せられるようになりました。
 これに対し、塩崎恭久官房長官は「法的に問題はないし、首相の任命責任はない」との認識を示し、首相も「税制について高い見識を持った方だから、職責を全うすることで国民の信頼を回復して欲しい」と初めは庇っていましたが、町村信孝前外相ら党税調幹部や自民・公明両党首脳が通常国会、参院選対策のうえからも「年内に出処進退を明確にすべきだ」と自発的辞任を促したため、本間氏は昨年末、税調委員を引責辞任しました。

特定局長の特権廃止も心配
首相は小泉政権の構造改革を継承、発展させる意気込みから、経済成長論者の本間氏を税調会長に抜擢しましたが、わずか1カ月半で辞任の事態に追い込まれたことは、支持率低下が続く安倍政権にとって傷口を拡大する結果になりました。
 郵政「造反組」の復党問題やタウンミーティングの「やらせ質問」に世論が反発し、就任当時70%台だった内閣支持率は各紙いずれも50%前後に低迷しています。このように参院選には悪い条件が重なりましたが、まだあります。

 日本郵政公社は11月末「新・郵便局ビジョン」を発表しました。特定郵便局長の定年を現行の65歳から段階的に60歳に引き下げ、「転勤なし」の慣行を廃止し、「必要な異動を実施する」などが柱で、特定局長の特権を廃止するものです。
 ただし、60年定年への移行期間中は、65歳までの勤務延長を容認し、定年前に退職すれば、退職給付金を上乗せする「希望退職制度」の導入も明記されています。これらは郵政民営化の根幹でもあり、全特側も仕方なく計画を了承しました。だが、復党問題の後遺症も絡み全特の自民党支持離れがさらに進み、参院選に影響しないかと心配です。

多忙な外遊、国会は緊迫か
 それはともかく、就任直後の電撃的な中韓訪問で「主張する外交」を展開した安倍政権は、小泉内閣が積み残した教育、防衛の重要2法案を成立させ、道路特定財源の一般財源化にも半世紀ぶりに決着を付けるなど、着々と実績を積み上げています。
 新年は「美しい国づくり」「開かれた保守主義」を掲げ、「地方活性化」「再チャレンジ支援策」など安倍カラーを出した予算案の成立を目指します。首相は松明けの9日から13日まで英、仏、ベルギー、独の欧州4カ国歴訪。帰途の14、15両日には、延期された東アジアサミットに出席するためフィリピン訪問計画を比政府と調整するなど、外遊日程が立て込んでいます。

 通常国会は1月25日召集の方針が決まりました。「戦後レジームから脱却」の最大眼目として改憲志向の強い首相は、憲法改正の手続きを定める国民投票法案を通常国会で是非とも成立させたいと意欲を燃やしています。
 国会は会期150日間の長丁場ですが、21日には談合汚職で出直しの宮崎県知事選、4月には参院選の前哨戦となる東京都知事選など統一地方選があり、国会での与野党攻防は各選挙を意識して例年以上に緊迫しそうです。

投票率考慮し国会召集遅らす
 任期6年の参院議員は3年ごとに半数が改選され、今回の改選議員は7月28日までが任期です。公選法32条によると、「参院選は国会閉会の日から24日以後30日以内」と決められているため、6月23日が国会閉幕なら7月5日公示、投開票日は7月22日になります。

 国会は当初1月19日召集で検討されていましたが、それだと閉会日が6月17日、投開票日が7月15日となり、16日が「海の日」で3連休になるため、有権者は行楽へ向かい投票率が悪くなります。その案について、公明党が「有権者から『組織票頼みの与党は、党利党略で低投票率が予想される3連休の中日を投票日とした』と批判される」と懸念したため、召集を1週間遅らせました。
 開会直前に気勢を挙げる自民党大会は17日に開催されますが、召集が遅れた結果「エイエイオー」の大会は気が抜けたものになりそうです。

麻生派、武部グループが発足
 ところで、麻生太郎外相は昨年末、旧河野派を主体とした国会議員15人で新派閥「為公会」(麻生派)を結成しました。旧河野派の11人に加え、無派閥の鴻池祥肇元防災相ら4人が参加、事務総長に森英介氏が就任。
 麻生会長は記者会見で「外相という職務に就いている。従来同様、安倍政権を支えたい」と述べながらも、「総裁戦後に捲土重来を期すと申し上げた。何時の日か総理総裁を目指す度胸、覚悟を決めたうえで(派を)立ち上げた。1人でも多く仲間を増やすよう努力したい」と総裁の座を目指す決意を表明しました。

 一方、武部勤前幹事長は、山崎派に属しながら、自らが会長を務める新グループ「新しい風」を発足させました。「出発式」には小泉チルドレンなど当選1,2回の無派閥若手衆院議員を中心に、皮肉にも麻生派より多い24人を集め、小泉構造改革を推進していくことを決めました。
 武部氏は「小泉前首相の『改革なくして成長なし』は、1内閣のスローガンではなく、日本の新しい“道しるべ”だ。改革を後戻りさせないよう渾身の力で頑張りたい」と挨拶。早くも党内で、ポスト安倍を睨んだ世代交代の動きが賑やかになってきました。