北村からのメッセージ


 北村からのメッセージ第116回(9月16日)3百議席近い圧勝 郵政法案成立へ

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小泉政権は、くの一、落下傘など「小泉マジック」の数多い話題をまき散らしながら、史上稀に見る激しい分裂選挙を闘い抜き、戦後2番目の300議席に迫る勢いで圧勝しました。「結党60周年記念が壊党元年になりはしないか」と感じた党員の杞憂は吹っ飛び、逆に新たな「05年体制」の幕開けとなる歴史の1頁を開きました。私は新自民党の担い手として、かつまた防衛庁長官政務官として、在日米軍の再編問題、来年度予算編成に取り組み、総選挙で生じた政治空白を一挙に埋めたいと考えております。ご支援下さい。

 小泉マジックで新党に再生

 刺客、マドンナ旋風、新党結成――。歴史に残る分裂選挙の結果、自民党は絶対安定多数を上回る296議席を獲得、地滑り的に圧勝しました。小泉首相は、郵政民営化関連法案を特別国会に再提出しますが、自・公の与党が327議席を占めて衆院の3分の2を超えたため、参院で法案が否決されても衆院で再可決すればよく、10月中に同法案が成立するのは確実となりました。旧法案の修正は行わず骨格は堅持しますが、法案審議の遅れで、民営化の開始時期は、当初の「07年4月」から数ヶ月遅らすことに時期だけを修正するようです。特別国会は21日から40日間の日程で開幕、首相指名後の第3次小泉内閣の組閣で現閣僚を再任し、短期決戦で成立させた後に、本格的な党役員人事・内閣改造に着手します。党内には「07年夏の参院選も小泉人気で戦うべきだ」との総裁任期一年延長論が高まっています。一時は「結党60年記念が壊党元年になる」と無謀な解散を批判する声が強くありましたが、首相は捨て身の解散断行と「小泉マジック」で抵抗勢力を一掃、新しい自民党に再生させました。

 苛烈な造反一掃作戦

 九・一一デーはニューヨークが破壊された同時テロの日。「小泉が潰れるか、古い自民党をぶっ壊すかの闘いだ」といった首相が、ぶっ壊し総選挙に選ぶには相応しい日でした。八月八日の解散と同時に、ヤクザ顔負けの仁義なき闘いが始まりましたが、新例ずくめの激しかった一カ月の総選挙を振り返ってみましょう。小泉首相は衆院の造反51人を分断し、反対の37人を徹底排除する一方、欠席・棄権の14人には郵政法案への賛成を表明する弁明書(踏み絵)の提出を求め、恭順の姿勢を見せれば公認しました。だが、「反対派潰し」では「サディストではないか」と党内で囁かれるほど意固地、苛烈な造反一掃作戦に乗り出しました。まず、比例近畿ブロックの小池百合子環境相を強硬に反対した小林興起氏の東京10区に鞍替え出馬させています。

 非情な落下傘・くの一刺客

 続いてかつて“ミス東大”といわれた財務省初の女性主計官・片山さつき氏を城内実氏の静岡七区に、ホリエモンことライブドアの堀江貴文氏を亀井静香元政調会長の広島6区に、比例北陸信越ブロックの萩山教厳氏を綿貫民輔前衆院議長の富山3区に擁立するなど無所属で立つ37人の反対派に刺客を放ち、やむなく4人が引退しました。前回、公明党への選挙協力で太田昭宏同党幹事長代行に東京12区を譲らされ、比例区に回った八代英太元郵政相は、首相の残酷な仕打ちに怒って無所属で出馬したが、落選しました。「法案の反対者か、対案を出さなかった民主党しかいない選挙区では、賛成の選択を出来る候補者を出さないと国民に失礼に当たる」――。これが小泉首相の刺客を放った理由です。一応、理にはかなっています。「小池環境相は自民党の上戸彩だ。映画の『あずみ』みたいだ」と村上誠一郎行革相は茶化しましたが、人気アイドルの上戸彩が演じたのは“くの一刺客”。落下傘部隊のくの一を迎え撃つ小林氏らは「悪辣非情の手口」と怒りを爆発させました。

 綿貫氏、西郷ドンの心境

 「意見の違う者を全部抹殺する安政の大獄」と怒る亀井氏は、郵政民営化反対のドン綿貫氏と協議して8月17日、衆参両院議員5人で綿貫氏を代表に、「国民新党」を旗揚げしました。亀井久興元国土庁長官を幹事長に、亀井静香氏、民主党から参加した田村英昭両参院議員がメンバー。続いて小林氏や荒井広幸参院議員らも21日、田中康夫長野県知事を代表に担ぎ、都市部の支持者を狙った第2の「新党日本」を結成しました。郵政官僚OBの長谷川憲正参院議員は当初、国民新党に参加し党務を仕切っていましたが、新党日本が国会議員5人という政党の構成要件を充たせなかったため、「小泉独裁政権を倒す共通目的」の兄弟党であるとして新党日本に移籍し、総選挙後に国民新党に復帰しました。綿貫氏は当初、新党構想を否定していましたが、「刺客と称して、同志を刺し殺す対抗馬をどんどん立てられた。座しているのは忍びない」と記者会見では西郷隆盛の心境で怒りをぶちまけ、首相が参院で否決を受けて衆院を解散した政治手法について「誠に不当、憲法にも反する」と厳しく批判しました。

 互助会的な新党結成

 政治資金規正法上、政党として認められるのは、国会議員5人以上。政党の公認候補は政見放送が出来るほか、選挙ポスターや選挙用のはがきも多く使えます。比例代表への重複立候補も可能で、選挙戦術の幅が広がります。政治家個人への企業・団体献金は禁じられていますが、政党になれば、企業・団体からも献金を受けられます。政党交付金は、総務省が総選挙後9月12日現在の各党の議席数や得票数に応じて算定し直し、今年分の残額が各党に配分されます。このメリットがあるから、亀井静香氏は3弾ロケットにたとえ「1弾目は10人程度、2弾目は公示前に倍の人数、3弾目は公示後、投開票日までに参院議員も巻き込んでブームを起こす」と意気込んでいましたが、反対派の中で平沼赳夫、掘内光雄、野田聖子、藤井孝男氏らは新党に参加せず無所属で戦い、藤井氏は落選しました。新党結成について、公明党の神崎代表は「選挙互助会的な新党で国民の理解、共感は得られない」と冷ややかに突き放しました。民主党など他の野党も「自民党のコップの中の争いで分裂しただけ。連立政権の組み手とは考えない」と距離を置いていました。

 退路断ち小泉劇場展開

 首相は「構造改革の本丸・郵政民営化で国民に信を問う」と政権公約(マニフェスト)のトップに掲げ、国民投票の性格を持つ「郵政選挙」と名づけました。そして「反対派は公認せず、選挙後も組まない。自公両党で過半数割れなら退陣(下野)する」と表明、自ら退路を断ちました。解散前議席は自民249、公明34の計283。過半数は241議席で反対派の37議席を引くと命運を賭ける過半数まで5議席しかありません。背水の陣で臨む決意表明でした。ワンフレーズ・ポリティックスの首相らしく公約は単純明解で分かりやすく、容赦なき造反派の弾圧も小泉劇場型政治に相応しく、壮絶なドラマとして国民の関心を高めました。解散直後に首相支持の電話やメールが殺到したといいます。“にっぱち”(2月と8月)で番組編成に苦労するテレビ局は、常識破りの酷暑解散ながら、郵政政局に飛びついて克明に報道。首相の支持率は各社とも50%以上に高まりました。

 改革マドンナ続々登場

 自民党から、抵抗勢力と同じ守旧派のレッテルを貼られた民主党は、自民の党内抗争に埋没するのを恐れて盛んに「政権選択の総選挙」と訴えましたが、各党のキャッチフレーズを見ても、「改革を止めるな」(自民)、「改革力」(公明党)、「確かな野党が必要」(共産)などに比べると、民主党は「日本をあきらめない」で、何を言わんとしているのか焦点がぼやけていました。自民の内ゲバは政権交代の千載一遇のチャンス。漁夫の利を占めると思われた民主党は、逆に序盤戦では支持率も大幅に低下していました。社民党に至っては横光克彦国会対策委員長が離党し、民主党から出馬するなど敵前逃亡劇がありました。首相は自民、民主の二大政党が直接対決する比例区も重視し比例東京ブロックに「改革のマドンナ」として猪口邦子上智大教授(前ジュネーブ軍縮会議大使)を、比例北陸信越ブロックに長島忠美・旧山古志村長を公認。公明党が候補を見送った愛知四区には「カリスマ主婦」の料理研究家・藤野真紀子氏を擁立、集票能力が高い著名人に期待をかけました。

 ホリエモンの選挙区変更

 しかし、自民の亀裂、壊党を国民の支持に結びつける首相の演出力、小泉マジックは長続きせず、風向きは次第に変化していきます。まず、ホリエモンの担ぎ出しには、山崎拓前副総裁が「やり過ぎや。彼はM&A(企業合併・買収)の男だから、自民党がM&Aされる」と、堀江氏の出身地・福岡1区からの出馬に反対、亀井氏の広島6区に変更させたうえ、「世間には堀江氏のことを悪く思っている人もいる。自民党から出さない方がいい」と首相に進言、結局、堀江氏は無所属で出馬しました。首相が紅一点の野田聖子氏にまで刺客を放ち、造反者いじめが苛斂誅求を極めたため、国民は次第に判官贔屓に転じていき、投票日が1週間先なら風向きは変化したかも知れません。総選挙の中盤戦以降は主戦場が政策論争に移りました。自民党は郵政民営化を総選挙の最大争点とし、否決・廃案になった民営化法案を長期間開く特別国会に再提出・成立させることを政権公約で誓いました。

 規模縮小、公社存続の民主案

 一方、これまで具体案を示さなかったと批判された民主党は、日本郵政公社のまま、郵貯の限度額を引き下げて規模を縮小、郵貯・簡保から溢れる部分を民間の資金に移し替える改革案を示しました。とくに郵貯・簡保資金残高340兆円を適正規模に縮小するため、06年度中に郵貯の預入限度額1000万円を700万円に引き下げ、名寄せを徹底。その後さらに限度額を500万円に引き下げて、8年以内に郵貯残高220兆円を半減させるとしました。これが「官の資金を民間へ移す合理的手段だ」としています。また、政府・与党の民営化案では郵便局網を維持できないとして、年金の振り込みや末端の金融決済手段としてユニバーサル(全国一律)サービスを維持する公社形態を当面存続。将来的に「政府系金融機関との統合も含めあらゆる選択肢を検討する」と述べるにとどめ、民営化への態度は明確にしませんでした。

 戦後3位の長期政権

 このように政権を担う党としての説得力を欠いたためか民主党の追撃は及ばず、小泉政権は圧勝しました。来年9月の総裁任期まで政権を維持すれば、中曽根政権を抜いて戦後3位の長期政権となります。郵政改革で国民の信を得た首相は、特別国会を長期開催、郵政民営化法案を再提出し、宿願を果たそうとしています。同法案に反対した鴻池祥肇元防災担当相ら参院自民党の有志は「反小泉」勉強会を立ち上げ、国民新党などと連携して再修正を求めようとしましたが、国民が同法案を支持したため、同法案賛成に態度を変えました。武部勤幹事長ら執行部もこれら造反組を除名すれば参院で自民・公明の与党が過半数を割り今後の重要法案成立に支障を来すことから、郵政法案成立後まで処分を見合す方針です。造反を抑止できなかった青木幹雄参院議員会長らもすっかり威信を回復しました。

 ポスト小泉争い密かに進行

 政治生命を賭けた民営化法が成立すれば、首相は使命を果たし終えます。党内の求心力は一段と高まり、総裁続投の声も強まりそうです。だが、一方では当然ポスト小泉の後継者争いが密かに進行し、政局秋の陣は混迷を深めそうです。郵政ファミリーも先細りの郵便事業などを見据え、法改正後の事業をどう改革していくか。真剣に検討しなければならないでしょう。