北村からのメッセージ

 第108回(4月16日) 郵政攻防剣が峰 法案提出後に修正 

 郵政民営化関連法案を巡る政府対自民党のバトルは、政府案の党内合意が容易に得られないため、26日までに党総務会の了承を得ることを視野に調整を続けています。最終的には執行部が法案提出後の与党修正を条件に一任を取り付け、政府が予定通り4月内に法案を提出する見通しが強まってきました。党執行部は、修正内容として@株式持ち合いによる3事業一体的経営の担保A郵貯、保険会社の全国一律サービス確保のための基金の積み増し――などを軸に検討しています。だが、国連に絡む中国の「反日行動拡大」など外交の手詰まり感が漂う中で、党内には、郵政改革だけに執念を燃やす首相の政治手法に対する反発が一段と強まっています。24日投票の宮城2区、福岡2区の衆院統一補選は、結果次第で小泉首相の政権運営に深刻な影響をもたらしかねず、郵政法案成否の行く手には今なお暗雲がたれ込めています。こうした重大な局面の中で私は、政務官の立場を熟慮しつつ、綿貫民輔前衆院議長が主宰する勉強会にも初参加し、党内情勢を肌で感じ取りました。郵政改革関係合同部会には毎回出席し、より良い郵政改革に取り組んでいます。

 政権4周年の節目に法案提出

 「4月中に法案を提出するには、逆算して骨子の提示は今しかない。これは私の政治的勘だ」――。党との協議の膠着状態に苛立った首相は、関係六閣僚に土、日曜返上で政府案を固めるよう督励、4月5日に自ら裁定した骨子を党側に提示しました。首相は22日からインドネシアで開かれるアジア・アフリカ会議(バンドン会議)の首脳会議前に党との調整を決着させ、政権発足4周年の26日に合わせて法案を提出したい考えです。骨子は、郵便、郵貯、簡保、窓口ネットワークの4分社化や、郵貯銀行、保険会社の完全民営化など根幹部分では基本方針を貫く一方、多くの点で党側の要求に応じています。骨子には@07年4月から4分社化し、17年4月までに完全民営化Aあまねく全国に郵便局配置を法律上義務付け、省令で過疎地の水準を維持B持株会社に郵貯銀行、保険会社の株式の完全処分(売却)義務を課すが、民営化委員会が3年ごとに経営形態などを点検、株式売却を段階的に実施C郵貯銀行などの免許付与では「自立するまで安定的な代理店契約」を法律上義務付けD経営委がシステム対応で問題ありと判断した場合は、専門家の意見を聞き、6ヶ月間、民営化の開始時期を延期E内容証明、特別送達に公的権限のある新資格創設F一般的な商法規定を活用し、敵対的買収に防衛策を講じる――を盛り込んでいます。

 株式持ち合いも可能に

 このほか、持株会社に設置する「地域・社会貢献基金」は運用型とし、郵貯銀行、保険会社の株売却益、配当金の一部を活用して一兆円規模としました。また民営化移行期の当初は、公社と同じ業務範囲ですが、段階的に拡大し民間企業の自由経営を可能にすることをうたっています。民営化開始に半年間の「危機対応規定」を入れたのは、生田正治公社総裁の「トラブル発生の危惧」に配慮したものです。党側への最大の妥協は、民営化開始から10年間は窓口会社などの貯金・保険会社の株式買い取りを規制するが、17年以降は「持株会社下のグループ経営を可能とするため、経営判断により他の金融機関と同様の株式持ち合いを可能とする」と、株の買い戻しを含め、貯金・保険会社の株保有を容認し、一体的経営の維持を認めた点です。これを受けて党執行部は連日のように合同部会を開き、一任取り付けに懸命に動きました。

 過疎地の局などに180億円

 6日と13日の合同部会には竹中平蔵郵政民営化担当相を招き、百人を超える議員が質疑を展開、「なぜ民営化か」の“そもそも論”から始め、「わかりにくい政府案をどうしても出すなら党議拘束は無しだ」――など集中砲火を浴びせました。首相の“身代わり”として合同部会に初めて出席した竹中氏は、「移行期でも郵貯、簡保のサービスは維持される。海外の失敗を踏まえて制度設計をしている。雇用には配慮する」などと懸命に答え、骨子に盛り込んだ「地域・社会貢献基金」については、@全国郵便局の8%に相当する過疎地の2000局の赤字がそれぞれ600万円として計120億円、第3種、第4種郵便への補助が60億円で合計180億円を基金の運用益で対応するAそれには過去10年間の国債平均金利1・8%を適用すれば基金規模は1兆円と積算できる――などと説明しました。しかし、党側は@1兆円基金の年間運用益180億円で、はたして全国均一サービスが維持できるのかA基金運用の金利1・8%の根拠を具体的に示せBリストラや人員整理なしにどうやって利益を上げるのか――などと畳みかけ、骨子を了承しませんでした。

 嫌ならなぜ総裁を代えないか

 「叩かれても叩かれても、改革に邁進しなきゃいけない。我慢して丁寧に説明してほしい」――。首相は、合同部会の報告に1日2度も現れた竹中氏を激励。記者団の質問に対しては、「私は『郵政民営化が嫌だったら代えてくれ』といって総裁選を戦った。なぜあのとき私を代えなかったのか」と語り、骨子に強く反発する党側を牽制しています。こうした強引な首相の政治手法に対し、郵政事業懇話会(自民党国会議員260人で構成)の綿貫会長は「どうぞ好きにやればいい。天下国家の問題を詰めもしないで、自分で言って自分でやるパントマイムにつきあう気はない」と不快感を募らせています。7日は予定通りに後藤田正晴元副総理を講師に招き勉強会を開き、旧橋本派38人、亀井派24人、掘内派15人など計96人が出席しました。郵政事業懇話会は13日に総会を開き、「理念なき民営化に断固反対」などと明記した決議文を採択したほか、公社のまま改革することを前提に、郵便・貯金・保険3事業の全国一律サービス維持と、出資規制や業務制限を緩和して経営拡大を認めることを柱とした日本郵政公社法改正案の骨子を了承。同法案の扱いを綿貫会長に一任しました。政府が党側の修正要求に応じない場合は、政府案に対抗する同改正案を議員立法として提案する構えです。総会には衆院72人、参院29人に代理を含め約150人が出席しました。

 修正要求を担保だが一波乱も

 こうした中で与謝野馨政調会長は、片山虎之助参院幹事長らと協議し、合同部会(園田博之座長)の修正要求案をまとめました。冒頭でも1部述べましたが、要求項目は@窓口ネットワーク会社などの赤字を補填する「地域・社会貢献基金」(骨子は1兆円程度)を倍増するA窓口会社に対し、完全民営化後も郵便局での金融サービス提供を義務づけるB持株会社が完全民営化後も貯金・保険の金融2社の株式を1部保有し続けられるよう担保するC情報システム対応上の問題がある場合、07年4月の民営化開始時期の延期期間を骨子の6ヶ月間から延長する――などが柱です。与謝野氏らは今月下旬のぎりぎりまで調整を進めますが、政府が難色を示し見切り発車で政府案を国会に提出する場合でも、政府がこの修正要求に応じることを担保に党内合意を取り付けようとしています。このように強硬策で押し通す首相と党側のせめぎ合いは延々と続いています。執行部一任を何とか取り付けたい武部勤幹事長は、「選挙は何時あるか分からないが、一番怖いのは弾みだ」と“郵政解散”の可能性に言及し、しきりと反対派を切り崩そうとしていますが、落とし所を見誤れば一波乱起きないとも限りません。緊迫した中で私は元気いっぱい活動しています。