北村からのメッセージ

 

 第10回 成人式に思う(1月16日) 食糧安保と環境保全

 穏やかな正月でした。成人式を迎えた皆さんには心からお祝いを申し上げます。それに県立国見高のサッカー3冠王達成、真におめでとうございます。参政権を得られた新成人や高校生の皆さんは、新世紀の旅立ちに新たな希望と夢を膨らましていることでしょう。
新生日本の構築は皆さんの双肩にかかっております。時代は国際的な対立・抗争の世紀から地球規模の人間、自然、多元的価値観との共生の世紀へ移りました。皆さんは成人の自覚とともに、豊かな感情と個性を育み、英知を集め、あるいはすばらしい伴侶を求め、心身ともに健やかに激動の新世紀を航海し、バラ色の未来を切り拓いてください。

 今年、成人を迎えた青年男女は全国で157万人。昨年より7万人減と相変わらず少子高齢化が続いています。さらに環境の破壊、景気の低迷、企業のリストラ、赤字財政など皆さんには前世紀の負の遺産が重たくのしかかっています。とりわけ財政危機は深刻です。  昨年の国と地方を合わせた借金は645兆円といわれていたのが、今年は666兆円と史上最大に増えそうです。借金の残高は国内総生産(GDP)の1.3倍に迫り、先進国のお荷物とまで批判された90年代前半のイタリアの1.2倍を超えています。

 バブル経済の崩壊後は「失われた10年」といわれます。残念ながら政治、経済は極度に混乱、混迷し、歴代内閣が腐心して取り続けた景気刺激策が裏目に出、ばら撒き投資の負債が若年者のツケに回ろうとしています。老後の不安、経済の先行き不安、年金・医療制度崩壊の不安などが個人消費を曇らせ、政治不信を助長、政治に閉塞感を招いています。

 こうした不安の高まる中で、今ほど国家の理想像、透徹したビジョンが求められている時はありません。日本経済の再建・活性化はもちろん政治の役割であり、経済はもとより旧体制の構造改革は喫緊の課題であります。私は政治への信頼回復が新世紀の最大課題であると信じ、皆さんの厚いご支援を受け国政へ登板しました。そして、国会では各種構造改革の必要性を一貫して主張し、保守政治の活性化へ向けて活躍しております。

 間もなく開幕する通常国会で、政府は景気の自立的回復を軌道に乗せるべく、従来のばら撒き型とは違って、IT(情報技術)、高齢化、環境、都市基盤整備の4分野を重点とした公共事業の新年度予算を提案しました。森喜朗首相は、省庁再編後の初閣議で『国民本位の行政という魂を吹き込んでほしい』と閣僚に要請しましたが、官僚主導から政治主導へ内閣機能を強化した新政府初めての予算案が国会で審議されます。諸改革の糸口が見えた予算案であり、私は絶えず国民サイドに立って論議を展開したいと念願しております。

 中でも重要なのは「環境の世紀」といわれるほど環境保全が脚光を浴びていることです。前世紀は戦争と結びついた科学万能の世紀でした。二十一世紀も科学、技術の世紀に変わりはありません。だが、その目的は環境保全など平和利用に重点が置かれるべきでしょう。      資源・エネルギーが枯渇していく中では、環境保全と一体化した代替エネルギーの開発と宇宙科学の振興に期待が集まっています。朝日新聞が「技術創世記」と題し、水素エネルギー、微生物利用工場など、地球に優しいエネルギー開発の企画を連載したように、マスコミ各社はエコロジー絡みの記事を正月に特集しました。

 また、松の内で見たテレビインタビューで印象に残ったのは、石原慎太郎都知事が『車が吐き出す二酸化炭素(CO2)で、これ以上に地球の温暖化が進むと、北極の氷が溶けて日本の海岸線が沈み、米国は砂漠化し世界が食糧飢饉になる』と述べたこと。それに毛利衛宇宙飛行士が『宇宙から見た地球は美しい。大気圏があるから地球創生期以来、生物は進化してきた。しかし大気圏はわずか10キロ程度の被膜に過ぎない。フロンガスでオゾンが破壊されたら地球の生物体系は強烈な紫外線を浴びて激変する』と述べたことです。

 いずれも大気汚染が人類を破滅に導くとの警告ですが、先に衆院の災害対策特別委員会に席を置き、今通常国会から農林水産委員会に所属する私としては、無視できない対談番組でした。事実、地球の温暖化は、太平洋に発生する台風やエルニーヨ、カリブ海で発達するハリケーンなどに影響を与え、米国や東南アジアで大洪水、中国の黄河下流域などで異常渇水、世界各地の地域砂漠化を引き起こしています。日本でも地震の多発に加え集中豪雨や水飢饉が生じるなど、天変地異と温暖化は密接な関係にあるようです。

 河川行政もダム作りだけでなく遊水池を配備した「自然と調和できる治水」に政策を転換しつつあります。風水害ばかりでなく氷山の溶解で海岸線が沈んだら、多島海に浮かぶ私の生まれ故郷・小値賀の島も水没し、折角の佐世保駅前地区開発事業も吹っ飛ぶ恐れが出てきます。新世紀の環境保全は深刻な問題です。

 朝日の「技術創生記」では『一八世紀の産業革命は動力エネルギー革命。石炭利用の蒸気機関で大量生産の時代に突入した。二十世紀には飛行機や自動車の登場で高速・大量の輸送が実現した。同時に窒素酸化物などの有害物質を排出して大気を汚染し、二酸化炭素を出して地球の温暖化を招いた。これら負の遺産を清算する切り札が燃料電池』とし、水素と酸素を化学反応させて電気を起こす水素エネルギーの燃料電池カーを紹介しています。

 これはダイムラー・クライスラーやGM、トヨタなどの日米自動車産業が取り組んでいるもので、二〇〇三年に開発を終え、〇四年に3〇〇台程度を市場に出す方針です。ガソリンと電池を併用するハイブリットカーも自動車産業では開発が進んでいます。燃料電池は、水の電気分解で水素を取り出すのとは逆の原理で、石油などから取り出した水素と、空気中の酸素を化学反応させて電気を作る仕組み。読売も、石油業界が燃料電池を使った家庭用発電システムを二〇〇四年をめどに開発する計画にある、と報道しています。

 面白いのは生命科学の分野でも新エネルギーの開発が進んでいることです。畜産農家の乳牛や豚の糞尿を微生物が食べると堆肥に変わります。その際、微生物が放出するメタンガスを燃やせば発電に利用できるそうです。これが朝日の企画で取り上げた「微生物利用工場」です。こうしたバクテリア、大腸菌、酵母など微生物利用のバイオテクノロジー(生物工学)の研究は、今世紀にますます盛んになっていくでしょう。

 戦争の原因は昔から資源、食糧の争奪にありました。日本は今、米の減反政策を取り続けながら穀物の8割を輸入しており、食糧備蓄はわずか2ヶ月分といわれます。地球温暖化で世界の穀倉地帯が砂漠化したらどうなるか。中国で異常渇水が続くと中国は1億7500万トンの食量輸入が必要になり、その影響で日本の穀物価格は高騰する恐れがあります。食量の自給率はやはり高めておかなければなりません。

 同時に科学の力で二酸化炭素を排出しない新エネルギーを生み出すことによって、環境破壊を防ぎ、食糧確保と世界平和を達成できることになります。新世紀は“地球に優しい”新たな物質文明が花開く時代です。衆院農林水産委員会ではこうした食糧安保、資源安保も念頭に置いて、環境保全やバイオテクノロジーなども絡めて幅広く討議していきたいと考えております。どうかより一層のご支援を期待申し上げます。