北村の政治活動

 第92回(12月16日) 大詰めの予算折衝 定率減税廃止が焦点

 政府は12月20日にも05年度予算編成の原案をまとめ、24日に政府案を決定する。今年度の税収は景気回復の兆しを受けて法人税収入などが堅調であるため、国債依存度を4年ぶりに引き下げ、発行額を35兆円前後に抑える方針。政策経費である一般歳出も今年度の47兆6千億円を下回る水準に削減、国債費を加えた一般会計の歳出総額は今年度の82兆1千億円から81兆円前後に減らす公算が大きい。このため、政策経費では、三位一体改革による義務教育費国庫負担金の削減などで1兆円前後を圧縮するほか、地方交付税の削減、公共事業関係費や防衛費などの切り込みが狙われている。一般会計の財源では、06年度までに定率減税の縮小・廃止を目指す税制改正が、予算編成の焦点だ。防衛庁は防衛大綱に沿って次期中期防衛力整備計画(05年どー09年度)を策定したが、北朝鮮の弾道ミサイルなどの新たな脅威が高まっていることから、私は防衛長官政務官として、次期防初年度予算の獲得に、全力投球で飛び回っている。

 税収見積もりは43兆円超

 今年度の税収は、景気回復が堅調で、41兆7400億円の当初見積もりを2兆円規模で増額修正する方向だが、来年度はこれを土台に、経済成長率などを勘案してさらに上積みすると税収見積もりは43兆円を超える見通しだ。しかし、バブル絶頂期の好景気に60兆円台だった税収は40兆円台に後退、逆に財政支出は70兆円から80兆円台に上昇。
毎年発効する赤字国債は30兆円ずつ増えていき、国と地方合わせた借金は7百数十兆円にも膨らんでいる。これは全て若年者の負担になる。この借金を返すには、消費税率を一挙に20%以上に引き上げるか、公務員給与の引き下げなど思い切った歳出削減を実施する以外に道はない。政府税制調査会(首相の諮問機関、石弘光会長)は11月25日、2005年度税制改正の答申を小泉首相に提出した。答申は所得税額の20%(最大25万円)と個人住民税額の15%(同4万円)を減税してきた「定率減税」を06年度までに廃止することを提言している。これで所得税2兆5千億円、個人住民税8千億円の増収だ。

 18万円の実質増税

 さらに、「個人所得課税の機能回復と消費税率の引き上げが今後の税体系構築の基本」と明記し、小泉政権が否定した消費税率引き上げを含む抜本的な税制改革についても「06年度をメドに結論を得る」よう求めた。石会長は「国の借金を後世代の負担にしてはならない。2007年度以降、税率を一気に倍(10%)にするか、その中間(7―8%)にするかは政治的判断だ」と税率引き上げに意欲的で、答申によって増税色が一気に強まった。答申を受けて財務省は、「05年度の2006年1月から半減、06年度の翌7年1月に全廃」という2年に分けて段階的に定率減税を廃止したい考えだ。同省は、定率減税の縮小・廃止の影響を最も受ける個人の消費は堅調で、実際の縮小時期がまだ先であることから、谷川禎一財務相は「影響があるとは考えない」と述べている。定率減税が廃止されると、年収1千万円の夫婦と子供2人の世帯で年約18万円、年収700万円の夫婦と子供2人(うち1人が16−22歳)の世帯で年8万2千円が実質増税となる。

 財政再建原理主義のアホ

 また、11月の給与から、平均的なサラリーマンの厚生年金保険料が月600円強の負担増となり、年末調整では、専業主婦のいる世帯への配偶者特別控除(最大38万円)の原則廃止が反映され、標準世帯(年収700万円、子供2人)では約3万円の負担増だ。65歳以上、所得1千万円以下の「老齢者控除」なども05年の所得分から削減され、年金生活も厳しくなる。しかも、内閣府が11月中旬に発表した7−9月期の国内総生産(GDP)速報で、年率換算の成長率が0・3%増にとどまり、景気の減速感が強まったことで、政財界では増税路線を巡り波紋が広がった。麻生太郎総務相は、橋本龍太郎内閣が1997年度から消費税率を5%に引き上げるなど総額9兆円の国民負担増に踏み切ったため景気が急激に落ち込んだことを指摘し、「景気回復の芽を摘んだ元凶は大蔵省(現・財務省)の財政再建原理主義。同じことを2度も3度もやったらアホだ。悲劇を通り越して喜劇だ」と財務省をこき下ろした。

 景気見て縮小時期先送りか

 「財政の論理だけで経済運営すると誤ったことになりかねない」(竹中平蔵経済財政相)、「景気、経済の微妙な時期に与える影響を十分考えるべきだ」(中川昭一経済産業相)、「景気に堅調な回復があることを踏まえ、慎重に検討すべきだ」(武部勤自民党幹事長)と、閣僚や自民党執行部、党税調内からも慎重論が唱えられている。ただし、定率減税の縮小・廃止で得られる所得税の2兆5千億円は、年金改革で基礎年金の国庫負担金引き上げの財源とすることが既に決まっている。自民党税調の津島雄二会長、伊吹文明小委員長がいずれも厚生労働族であるため、縮小・廃止方針を白紙撤回することは出来なかった。大詰めの折衝では、公明党などの要望で縮小時期の1年先送りや縮小幅の削減案が検討されたが、来年末の景気動向を見極めて、最終判断することになった。