北村の政治活動

 第91回(12月1日) 西アフリカ訪問の報告書 盛んな水産・加工業

青年海外協力隊の方々と
セネガル
サル首相と
セネガル
国民議会の皆さんと
ギニア
モ・日友好議連の皆さんと
モーリタニア
タヤ大統領と
モーリタニア
サハラ砂漠にて
モーリタニア
マイガ首相と
マリ
国民議会にて
マリ


 日本・AU友好議連の村田吉隆先生(現・国家公安委員長)を団長として、8月22日から9月2日までの12日間、アフリカの西部のセネガル、ギニア、モーリタニアの沿岸部と内陸部のマリの4カ国を初めて訪問しました。日程と訪問国の政情や地勢については9月1日付のホームページに載せ、地元でも帰朝報告を致しましたが、このほど友好議連の訪問報告書が出来上がったので、皆さんに是非、ご一読頂きたく掲載することにしました。

 鯨・水産資源の持続的利用に理解求む

 西アフリカの旅は、情報化社会に慣らされた生活から一変、多少のカルチャーショックを受けながらの貴重な体験となりました。水産県の長崎出身の私にとり、今回の最大の関心事はやはり各国の漁業事情にありました。特に今回の訪問の目的の一つには、IWC国際捕鯨委員会における日本が主張している、鯨及び水産資源の持続的利用の立場に理解を求めることでした。第56回IWC年次会議が今年の7月19日から22日までの4日間、イタリア南部のソレントで開催されました。加盟国57カ国(うち6カ国が新規加盟)中、56カ国が参加しました。今回の注目する点は、鯨類の持続的利用を支持する目的で4カ国(コートジボワール、モーリタニア、スリナム、ツバル)が新規加盟したことにより、捕鯨擁護派と反捕鯨派の力が拮抗し、その結果、話し合いによるコンセンサスへの道がわずかながら開かれたことでした。そんな中での西アフリカ訪問だったので、日本の伝統ある捕鯨文化の継承と、長崎の外海離島の鯨漁基地出身の私の使命として、是非ともこの機会にアピールできたらと思いました。また今回立寄った沿岸国3カ国は、それぞれに漁業事情が異なりながらも、豊かな漁場をもち、日本からの技術供与、経済協力のもとかなりのパワーが、感じられました。

 ギニア・ブルビネ漁港/ケニアン魚市場

ブルビネ漁港にて ケニアン魚市場

 8月26日、ディアロ漁業・養殖大臣同行のもとに、日本政府から1998年にODA供与がされたブルビネ漁港とケニアン魚市場を視察しました。漁業加工施設の女性たちは、いくつかのグループをつくり、自主的に活動をしていました。とても明るく逞しいきびきびとした身のこなしです。私たち一行は、優しい眼差しとやわらかい微笑みを浮かべながらの、歌や手拍子、軽快な踊りなど、熱気をおびた歓迎の嵐の中で、迎えられました。どの国でも女性の活躍は目を見張るものがあります。ここが異国の地であることを忘れてしまうほどの、ぬくもりある親近感は、思わず以前からの知人に出会ったようでした。セネガル女性は、働き者です。手を休め、求めた握手の手の温もりが今も残っています。
アフリカの水源地と称されるギニア共和国は、ニジェール川、ガンビア川等の源流として、離岸70から110海里に5万km2の大陸棚があるために豊富な水産資源があります。漁業はこの国において国民の栄養の改善、雇用機会の提供等の面において貴重な産業になっています。年間約5万トンの漁業生産をあげるに至った海面小規模漁業は、国民への動物性たんぱく質供給に大いに貢献しているとのことです。零細漁業は、丸木船や更に外板を張った大型の船があり、流し刺網、巻網、巻刺網による浮魚、底刺網、一本釣り、延縄による底魚漁が行われ、イワシ・ニシン類などが漁獲量の約5割を占めています。ついでタイ、シタビラメ、ハタ等の高価輸出向けの底魚が多く漁獲されており、水産加工は冷凍魚、主にアジ類が都市中央部とその周辺で消費されています。同国内陸住民の重要なたんぱく源である燻製品は、おもに水揚げ地点でマングローブなどを燃料にして製造されています。

 猛威振るう砂漠バッタ

8月28日、首都ダカールから北へ60キロに位置するカイヤール水産センター。バスの車窓には大西洋岸に約700キロメートルの海岸線が続きます。24,000km2におよぶ大陸棚が豊な漁場を保持しています。途中で国際問題化している猛威を振るう砂漠バッタの大群に遭遇。アフリカの広大な大地の大空いっぱいに黄色く羽ばたく群れは、日本ではおよそ想像もできない迫力に思わず圧倒されました。セネガルは総人口の約1割が、直接または間接的に漁業従事者であり、専業者は10万人といわれています。日本政府により、2002年4月に無償資金協力で水揚げ施設と水産加工場の供与が行われ、今やセンターの一部である加工施設の女性たちの活動はめざましく、とても良い成果を上げています。



 セネガル・カイヤール水産センター

 セネガルの漁獲高の60%を占める大衆魚サルディネル(コノシロ)。19万トンほどが生鮮消費され、5万トンが燻製加工に利用されているとのことです。燻製はもともと地面に魚を直接並べて、枯れ草や松の枯葉を燻らせて行われてきた伝統的方法であります。セネガル政府は、製品の衛生・品質の改善、燃料コストの削減、煙による大気汚染の改善などを目的に燻製釜を用いた方式への移行を推進しているそうです。カヤール水産センターには、日本政府から改良型の燻製釜58基が供与されており、適切な利用管理がなされれば、セネガル政府がめざす燻製が可能になるとのことでした。
漁業生産の形態としては、ピログと称する伝統的なカヌー型漁船を使用する沿岸漁業と、大型、中型漁船を使用する大規模漁業に分類されます。今回訪問したカイヤールは、主な水揚げ地となっているとのことでした。零細漁業で捕獲されている魚種としては、総漁獲量の半数を占める丸イワシ、平イワシをはじめとして、コノシロ、ボラ、ティラピア、ハタ、オオニベ、アサヒダイ。サメ、エイ、コウイカ等があり、これらの漁獲物のうち70%近くは鮮魚として主に国内市場で利用され、工場加工や輸出にほとんど回っていないとのことでした。また鮮魚以外は、塩干、発酵乾燥等の伝統的な加工により、水揚地の州の内外で消費され、保蔵の目的の伝統的魚類加工が普及し、製品は規格化されています。大規模漁業のトロール、マグロ漁業および一本釣りの漁獲物は、鮮魚で輸出される場合を除き、自社または加工場で、冷凍品や缶詰に加工され輸出される。一方、零細漁業の漁獲物を利用した加工品としては、塩干、素干、燻製等があげられ、塩干や燻製などの加工法で、加工場は水揚地に隣接し、漁民の居住区とも接している場合が多いようです。漁師の家族の女性が加工グループを組織して、加工・販売の担い手となっています。加工品は仲買人の手により、国内およびアフリカ近隣諸国に販売、輸出されているとのことでした。遠隔地の漁は、近年ナマコ輸出のために始まったばかりです。

 モーリタ二ア・ヌアクショット魚市場

 8月29日午後ヌアクショット魚市場に向かいました。1994年に日本政府により水産無償資金協力で建設され、魚市場はもちろん小売場、漁民ロッカー、小型製氷機、が供与され整備されました。24の加工工場があり、国際的に承認された衛生基準に対応した水産物の取り扱いを行っています。しかしいくつかの沿岸地域が遠隔地にあることや、内陸部市場への魚の輸送手段の欠如、漁民組織の不足などで零細漁業の開発が大変遅れているとのことでした。漁業資源は、2つのタイプの漁業によって漁獲されており、1つは小型船によって営まれている零細漁業であり、もう一つは自国および外国の商業漁業です。漁獲量はアジ、サバ、イワシなどが20万トン以上でタコ、モンゴウイカが5万トンほどです。沿岸の広い海域で浮魚(イワシ、アジ)が漁獲されており、国全体の漁獲物(浮魚、底魚、冷凍魚、鮮魚、塩蔵品、乾燥品、燻製品)の多くは輸出されています。


 む す び

 今年は、日本でODA(政府開発援助)を始めてから50周年という節目の年の訪問となりました。今回の訪問の機会を与えていただいた、日本・AU友好議員連盟の会長の森 喜朗先生、事務局長の杉浦 正健先生に感謝致します。また団長の村田吉隆先生には在外公館の経験からくる流暢な語学力に助けられました。自民党総研の早瀬氏には、慣れない土地に関わらず綿密なスケジュール調整など、さぞかし大変な場面もあったことと思いますが、動じることなく余裕すら感じられました。本当にご苦労様でした。また各国の日本大使館の大使はじめ館員の皆様、JICAの関係者・外務省アフリカ1課長の大森氏には最初から最後まで大変お世話になりました。さまざまな国々が、豊かさを求める土俵は同じです。自立を念頭においた、実質的な経済援助のあり方を考察する上で、大変良い経験になったと思っております。