北村の政治活動

 第89回(11月1日)安保常任理事国入りに本腰 改憲論議を推進

 来年は国連創設60周年。日本は10月15日の国連総会で、非常任理事国に返り咲いた。9回目の最多当選で任期は来年1月から2年間。小泉首相は9月の国連総会演説で、常任理事国入りの決意を表明したが、来年は安保理メンバーの力量を十分に発揮し、国連改革に本腰を入れようとしている。国際社会の平和と安全は、少資源・貿易立国の日本の存立基盤。世界2位の国連分担金は、支払う貢献度からいっても、日本が常任理事国になるのは当然だ。国際社会で発言力を持ち、平和と安全に積極的に寄与しなければならない。
 しかし、常任理事国入りには@「集団安保」に参加する責務が問われる憲法改正問題A「歴史的認識」に対する中国などの反発B加盟国3分の2の賛成獲得が必要――など、内外ともに国連外交を推進するうえで、高いハードルが幾つも待ちかまえている。自民党は来年の結党50周年に憲法改正の原案を策定する方針だが、自衛隊をどこまで活用するかについて、集団的自衛権などの問題に結論を出さなければならない。常任理事国入りは21世紀の日本外交を築くうえで最大の課題となるが、私は国防関係の議員として、また防衛庁長官政務官の立場から、国連と憲法の関連をじっくり検討したいと考えている。

 意思と能力有る国が参加

 「国際の平和と安全に主要な役割を果たす意思と能力を有する国々は、常に安保理の意思決定過程に参加しなければならない。途上国、先進国の双方を新たなメンバーに含め、常任・非常任の双方において安保理を拡大する必要がある」――。小泉首相が9月21日、国連一般演説初日に行った決意表明は予想以上の波紋を描いた。現在の国連安保理は、常任理事国(米・英・仏・露・中)5カ国(P5)と非常任理事国(10カ国、任期2年、2期連続の再選不可)だが、日本が提案している安保理改革構想は1997年当時のラザリ国連総会議長案に沿って、@理事国を15カ国(常任5、非常任10)から24カ国(常任10,非常任14)に拡大A10−15年ごとに構成を見直す仕組みを作る――などが柱。ただ、5常任理事国(P5)の特権の「拒否権」を新常任理事国が持つかどうかなどは、「新旧常任理事国間で異なる扱いは好ましくない」との表現に止め、曖昧にしている。

 事務総長は準常任理事国案

 これに対し、テロの脅威に効率的に対応するため、昨年11月に設置されたハイレベル委員会(アナン国連事務総長の諮問機関)は、常任国、非常任国とは別枠で、7−8カ国を対象に任期4−5年、拒否権はないが再任を容認する「準常任理事国」を設ける案を検討している。だが、現在の「常任」「非常任」に、「準常任」を加えた3つのカテゴリーを作ることは、安保理を複雑にし、機能をより難しくするとして評判が悪い。常任理事国入りの最有力候補「4カ国グループ」は、日本・独・インド・ブラジルだが、ほかにもインドネシア、エジプト、南アフリカ、ナイジェリアの4カ国がアジアとアフリカ地域から立候補。リビアまでがアフリカ連合(AU)議席の獲得を意識して「我が国は常任理事国に値する」と表明したため、立候補が9カ国と乱戦模様となっている。

 85カ国が拡大に賛成

 創設時わずか51カ国だった加盟国は191カ国に増え、国連演説では、その8割近い149カ国が何らかの表現で「安保理改革の必要性」に言及。うち85カ国が、日本の主張に沿った「常任理事国と非常任理事国双方の拡大」の必要性を主張した。安保理拡大には、加盟国の3分の2の賛成を得て総会決義を採択し、国連憲章を改正する必要がある。85カ国は45%で半数にも満たないが、昨年の23カ国と比べれば大幅増。今後1年間の努力によっては、来年の60周年記念総会で国連憲章の改正が期待できる。「4カ国グループ」の首脳は、ニューヨークでそろって会談、常任理事国の候補であることを認め合い、国連改革の早期実現に向けた連携を確認した。早ければ来年前半にも、安保理拡大に向けて国連憲章改正の決議案を総会に共同提案する考えだ。しかし、既得権益を守ろうとするP5に加え、地域の利害や隣国同士の反発が絡み、総論賛成でも各論はまとまりそうもない。

 隣国がライバル意識で反対

 「4カ国グループ」のうち、ブラジルにはメキシコ、ドイツにはイタリア、インドにはパキスタン、日本には韓国がライバル意識を燃やし、4カ国の常任理事国入りを警戒。この4国はスペイン、サンマリノとともに「非常任理事国だけの拡大」を求めている。韓国は朝鮮半島の南北分断で直ちに常任理事国入りは難しいと判断、非常任理事国拡大を期待しているようだ。一方、シリアは「アラブ諸国に輪番制の常任議席を」と主張。ガーナは「アフリカに常任2、非常任5議席を」と提案するなど改革の中身は多様である。小泉首相は国連演説に先立つ日米首脳会談で、「日本は常任理事国として責任を果たす用意がある。米国の支持が重要だ」と述べ、ブッシュ米大統領の支持を取り付けたが、同大統領は、総会での演説で国連改革には言及しなかった。元来国連改革には消極的なうえ、共和党内にはイラク紛争の処理を巡って反国連論も強く、11月大統領選にマイナスになるからだ。

 軍事的貢献に限定されぬ

 また、アーミテージ米国務副長官は、先に訪米した中川秀直自民党国対委員長に対し、「軍事力の展開が出来なければ常任理事国入りは難しい」と述べ、憲法9条が妨げになるとの見解を示した。5常任理事国は、国際秩序の維持に違反した国に対し、安保理が軍事的な強制措置を決議した場合、何時でも出動出来る能力を備えている。首相は国連演説で、そうしたハンディをなくすため、「国際社会において名誉ある地位を占めたい」という憲法前文の平和主義や国際主義を持ち出し、@我が国は国連中心の国際協調を追求、責任ある加盟国の役割を果たしてきた。イラクとアフガニスタンの活動がその好例A我が国は先頭に立って核軍縮、不拡散の促進に努めているB平和は武力のみを通じては達成できないとの信念に基づき、積極的に独自の役割を果たしているC国連憲章から仇敵国条項を削除し、加盟国の国連分担金はより公平にする必要がある――などと「国連新時代」の構築を訴え、「日本が核保有の5常任理事国のような、“軍事的貢献”に限定されない役割を果たす」ことに力点が置かれた。

 中国は歴史的認識に難色

 演説で国連分担金に触れたように、首相は、米国に次いで世界2位の分担金を負担し、50周年を迎えた政府開発援助(ODA)で、多額の資金を援助してきた日本のような「国際平和に主要な役割を果たす意思と能力を有する国々」は、「常に安保理の意思決定過程に参加しなければならない」ことを主張、核保有国とは違った役割を果たす決意を表明したわけだ。首相は10月7日にベトナム・ハノイで開幕したアジア欧州会議(ASEM)の第5回首脳会議でも常任理事国入りの決意を表明、シラク仏大統領やアジアの24カ国から支持を得た。だが、中国は、小泉首相の靖国神社参拝について、「戦前の日本と本質的には変わらない歴史認識を持つ」と不信感を示し、強く反対している。中国が拒否権を発動すれば国連憲章は改正されない。中国が日本にOKを出すには、戦争への謝罪要求や、東シナ海での資源開発を容認せよと言い出す恐れが多分にある。

 欠かせぬ改憲論議

 国連はイラク開戦時に、米英2国と仏露中3国のP5が両陣営に分かれて機能不全に陥り、今も後遺症が続いている。これには「4カ国グループ」が常任理事国に加わり、安保理を活性化させることが一番望まれる。それには自衛隊をどこまで活用するかの改憲論議が欠かせない。イラク支援の時限立法が成立するなど国際平和協力活動の輪は広がったが、「持っているが行使できない」という集団的自衛権の政府解釈を何時までも放置していては国際社会では通用しない。とりあえず首相の政治判断で解釈を変更するのがベターだ。同時に、自民党結党50周年の来年11月にまとめる憲法改正案では、憲法9条第2項の「戦力の不保持と交戦権の否認」についても徹底的に討議することが重要である。さらに今後は、活発な国連外交を展開しなければなるまい。私も政府の1員として大いに議論し、首尾よく国連創設60周年の節目に、常任理事国入りの悲願を達成したいと念願している。