北村の政治活動

 84回(8月16日) 防衛大綱の見直し進む 米軍基地再編が絡む

 政府は安全保障政策の柱である「防衛計画の大綱(防衛大綱)」を見直し、年内に新中期防衛力整備計画を策定する方針である。首相の私的諮問機関「安全保障と防衛力に関する懇談会」(座長=荒木浩・東電顧問)は7月末から論点整理に入り、早ければ9月末にも答申をまとめる段取りだ。論点には、@テロや弾道ミサイルなど「新たな脅威」対処A日米安保体制下の日米役割分担Bイラク支援の自衛隊活動の法的地位――などを挙げているが、米国も「新たな脅威」に対処し、在日米軍の再編構想を掲げている。安保防衛懇は米軍再編に併せて防衛大綱の見直しを検討するが、再編構想には、地元住民の負担軽減を念頭に置いた在日米軍基地の削減と移転が含まれている。削減・移転で基地機能は損なわれないか、騒音被害が深刻な夜間離着陸訓練(NLP)などで住民生活が脅かされないか、など関係自治体や地元住民に与える影響は大きい。私は佐世保基地の出身で、衆院安全保障委、武力攻撃事態対処特別委理事として安保問題に精通している1員である。当然、防衛大綱の見直しには多大な関心を抱いており、自民党の国防部会などで積極的に発言したいと思っている。

 安保防衛懇が論点整理

 安保防衛懇は、年内に策定する新防衛大綱に、有識者の意見を反映させる目的で4月に発足した。読売によると、7月末までに6回の論点整理をし、@テロや弾道ミサイルなど「新たな脅威」対処のための防衛力整備A国連平和維持活動(PKO)やイラク復興支援など国際的な自衛隊の活動の法的地位B日米安保体制下での日米の役割分担C防衛産業育成と武器輸出三原則――などに集約。「新たな脅威」への対処では、「相手を特定できない脅威であり、国としての情報収集・分析の体制を強化すべきだ」とし、自衛隊や警察、海上保安庁など国や都道府県の複数機関が連携を深め、共同対処することが重要だとしている。国際平和協力では、「第3者的な貢献でなく、国際社会の安全が国益になるとの考え方が重要」とし、自衛隊法上の位置づけが付随的任務であるのは不自然で、本来任務に格上げするか、本来任務の“従たる任務”とすべきだとしている。日米安保体制では、「伝統的な脅威の残る東アジアでは日米安保の抑止力が重要で、多国間安保に結びつけることも必要」とし、日米の戦略的分担を話し合い、米軍再編を機に様々な問題を総合的に解決すべきだとしている。

 武器輸出は原則自由に

 アジアの安保環境では、「国防費を増やし、防衛線を前方へ広げる中国とどう向き合うか、外交・防衛上の総合的な議論が必要」とし、日米両国の協力体制を強化し、緊急事態には米国のほかに日本の見方になってくれる国がどこか(例えば豪州)を考えるべきだとしている。武器輸出三原則では、「装備の共同開発と“死の商人“のように武器を売ることを切り離して考える必要がある」とし、三木内閣当時の全面禁止は不合理で、「原則自由、特定ケースのみ禁止」などと見直し、国際紛争の助長を回避するという本来の目的に立ち返るべきだとしている。同懇談会はこれまでの会合で、「現在の安保政策」、「国際平和協力と日米安保体制」、「自衛隊の現状と課題」などをテーマに意見交換してきた。これらの審議と並行して、防衛庁は今年末までに策定する新中期防衛力整備計画にF2戦闘機の調達中止と、P3C哨戒機の後継機開発見直しを盛り込む方針を固めている。

 F2の後継機選定に着手

 F2戦闘機は高価格である半面、性能不足が目立ち、早期に別の後継機選定に着手すべきだと判断したもの。F2は1980年代に「FSX」(次期支援戦闘機)の国産を目指す日本側と、米国機の導入を求める米側の間で政治問題に発展した末、日米共同開発され、85年の中期防に導入方針が盛り込まれたが、@開発の遅れなどで1機当たりの価格は当初予定の約80億円から、主力戦闘機のF15と同等の約120億円に増加したAF15が近代化改修で性能向上を図ったのに対し、F2は機体が小さく性能向上の余地が少ないBF2はミサイルなどの装備数にも限界がある――などから、計画の130機を達成しないうちに、配備が中断されることになった。同庁はF4戦闘機の後継機選定に着手するが、将来の戦闘機体制については、航空機を迎え撃つ迎撃戦闘機、対地・対艦攻撃を行う支援戦闘機の区分をなくし、偵察任務まで含めた多目的戦闘機化を進める方針を固めている。

 P3Cも後継機見直し

 読売の報道によると、P3C哨戒機の後継機見直しについては、米国が開発に乗り出している多任務洋上哨戒機(MMA)の導入も視野に入れて検討に入っている。日本周辺海域での船舶テロや中国の海軍力増強に対処するには、日米が同型の哨戒機を導入して相互運用性を高めるべきだとの判断によるものだ。MMAは、1970年代にロッキード社が開発したP3オライオンの後継機。MMA開発は、米軍の変革・再編(トランスフォーメーション)の一環として、船舶テロや潜水艦の拡散などへの対処能力を高める狙いがある。
一方、在日米軍の再編構想は、7月16日にサンフランシスコで開いた日米外務・防衛当局の審議官級協議で米側からその輪郭が提示された。米軍の提案は、@在日米軍を朝鮮半島から南アジア、中東に至る「不安定の弧」を守る安全保障の“要”に据えるA地元住民の負担軽減を念頭に置いた在日米軍基地の削減と移転――の2本柱からなっている。<その内容は長くなるので、次回以降に譲りたい>。しかし、宜野湾市(沖縄)の中心部にある米海兵隊普天間飛行場の移設が遅れているように、米軍基地の削減・移転には地元の負担軽減や補償問題が絡み合い、滞りがちなのが現状だ。幸い我が佐世保基地は、今回の在日米軍再編構想には含まれていないが、再編には基地を受け入れる地元の支持が不可欠。NLPの騒音防止の徹底、米軍の日常訓練に伴う事故の危険防止など、地元住民の生活防衛が重要だ。私はこれから年末にかけ、各関係自治体の要望などを十分に聴取し、在日米軍再編、防衛大綱の見直しと取り組みたいと考えている。