北村の政治活動

 第81回(7月1日) 多国籍軍参加を決定 イラク人道支援訴える


 イラクのサマワ地区で活躍中の自衛隊は、イラク暫定政府へ主権が移譲された6月30日以降、国連決議に基づき多国籍軍へ初めて参加した。参加を決定した同18日の閣議で政府は、「イラクの復興と安定がわが国自身の安全と繁栄にとっても重要」と強調し「自衛隊は日本独自の指揮権の下に非戦闘地域で活動し、他国の武力行使と一体化しない」など4項目の統一見解を発表した。これに対し野党は、政府が国会審議を経ないまま、多国籍軍参加を閣議決定したことは「国民への説明責任を果たしていない」と猛反発、参院選の大きな争点になっている。日本がイラク暫定政権への主権移譲後も、イラク復興支援と中東地域の安定に貢献するのは国際社会の一員として当然の責務。基地・佐世保出身の私は衆院安保委の委員、武力攻撃事態対処特委の理事であり、外交・防衛が専門分野だが、憲法上何ら問題のない自衛隊の活動内容を、国民にわかりやすく説明しようと参院選で努力している。

 野党、議会軽視と反発

 「国連決議は米国の大義の勝利。日本はイラク暫定政府に歓迎される形で自衛隊派遣を継続することで自衛隊を多国籍軍に参加させ、政府開発援助(ODA)を活用して、イラクの再建に努める」(小泉首相)、「イラクに対する日本の貢献に感謝し、評価する」(ブッシュ大統領)――。シーアイランド・サミットの際の日米首脳会談で米大統領は小泉発言を大歓迎した。だが、野党は「終盤国会の重要な時期に、外国で参院選目当ての小泉流パフォーマンス発言を行った。議会軽視だ」と激しく反発した。民主党は「イラクでは戦闘地域と非戦闘地域を分けることが出来ず、イラク支援特措法が求める前提条件はもはや崩れた。従ってサマワに展開の自衛隊は6月末の主権移譲前にいったん撤退すべきだ」との見解を発表した。共産党は「どんな場合でも自衛隊派兵には反対。国連決議はイラク安定のために武力行動も取れる内容で、武力行使を伴う多国籍軍に間違いない」と主張。社民党も「多国籍軍参加はいかなる場合も出来ない。戦争への加担は明確な憲法違反だ」と反対している。

 首相、民主党に逆襲

 党首討論会でも岡田民主党代表は「イラク暫定政府はイラク国民の手による政府とはいえない。選挙で選ばれたイラク政府の要請などが自衛隊派遣の前提だ」と噛みついたが、小泉首相は「イラク復興で新しい国連決議が採択されれば、自衛隊参加を検討する――といっていたのは民主党なのに、今、自衛隊を撤退させろ、といっているのは何故か」と痛いところを突いて逆襲した。確かに多国籍軍は、民主党が求めた新しい国連決議1546に沿って編成されている。友党の神崎公明党代表も「イラクをテロ拠点にしてはならない。テロが収まれば、民間人やボランティアが活動できる。今だからこそ自衛隊が支援すべきだ」と首相を援護。公明党内と支持母体の創価学会には自衛隊の参加に慎重論もあるが、神崎代表は「党内に慎重意見があるのは事実だが、世界が協力してテロと対決し、イラクを復興させ、イラク人による政府を作るまで手伝うことは極めて重要だ」と述べている。

 米英了解の統一見解

 政府の統一見解では、@自衛隊は多国籍軍の統合された司令部の指揮下には入らず、日本の主体的な判断、指揮に従い、イラク特措法や基本計画に基づき、人道復興支援活動を行うAこの点は米英両政府との間で了解に達しているB憲法の禁じる武力行使は行わず、イラク特措法に基づき、「非戦闘地域」で活動し、他国の武力行使と一体化はしないC多国籍軍の中での活動は、憲法で許されないとしてきたいわゆる多国籍軍への参加に関する政府見解を変えるものではない――の4項目だ。政府が国会に提出した米英政府了解文書は、外交慣例にのっとり、米国務省、英外務省のそれぞれ高官との間で確認された公式了解であるとし、@人道復興支援が多国籍軍の任務に含まれることは国連決議1546とパウエル米国務長官の国連安保理議長宛書簡で確認されたA自衛隊は統合司令部の下、これまでと同様に人道復興支援を中心に活動するBイラク支援特措法に基づき活動を継続し、多国籍軍の指揮下で活動はしないCイラク特措法や基本計画の活動要件が満たされない場合や、政策的に適切と判断する場合は、我が国の判断で自衛隊の活動を中断、撤収することが出来るD自衛隊活動に対するイラク政府の同意と法的地位は確保される――との内容だ。

 活動の中断、撤退は柔軟

 首相は党首討論で「多国籍軍は戦争のための軍ではない。イラク支援特措法に基づいた活動に変わりはない。国連要請に応えて日本に相応しい支援をする」と強調したが、米英政府の了解文書を見ても、イラク特措法の方針に反する要請は断ることができ、方針にのっとった活動が困難な場合は活動の中断、撤退の措置も取れる柔軟な自衛隊参加である。イラク人がイラク人のための政府を作ろうと必死に努力を続けている時に、野党が「多国籍軍参加は憲法違反」「自衛隊は即時撤退を」というのは、あまりにも無責任だ。摂氏50度という猛暑の中で、テロの脅威も顧みず、給水活動など人道支援を続けている自衛隊員のご苦労をどう考えているのだろうか。活動を中断すればイラク人の恨みを買うだけだ。

 国際社会での責務重大

 国連決議に基づく多国籍軍の編成は、91年の湾岸戦争に始まり今回が15回目。湾岸戦争では武力行使による「軍事行動」が目的だったが、その後は東ティモール、ハイチ、今回のイラクのように武力行使を伴わない「人道復興支援」を含めた「治安維持」の例が増えている。自衛隊が国連決議に参加する度に、我が国では憲法で禁じている「武力の行使」や集団的自衛権の発動などを巡って、“神学論争”が繰り返されているが、今回の対応を見ても、政府は「武力行使を伴わない任務への参加は可能」との見解を示している。資源少国の日本が国際社会の中で果たすべき責任と役割は大きい。イラクの人道復興支援と中東の安定へ貢献することは、是非とも継続しなければならない。私はこれらの点を参院選の中で国民の皆様に強く訴えているところだ。