北村の政治活動

 第76回(4月16日) 順調な有事7法案審議 邦人誘拐で野党協力


 フセイン政権崩壊1周年を目前に控え、衝撃的な民間邦人3人の誘拐事件が起きた。犯行グループは、殺害をちらつかせて自衛隊の「3日以内撤退」を迫ったり、「24時間以内に人質解放」を声明した直後に、今度は「日本政府の公式謝罪」など新たな3条件を求めるなど、わが国を散々翻弄した挙げ句の15日、8日ぶりに解放した。犯行グループは、世界的テロ組織のアルカイダではなく、「サラヤ・ムジャヒディン(戦士隊)」という部族・宗派も定かでない正体不明の組織だ。日航機の乗員・乗客156人が人質に取られたダッカ事件で、当時の福田赳夫首相が「人命は地球より重い」として、日本赤軍6人の出国を認め、身代金600万ドル(当時16億円)を支払った超法規的措置は、テロに屈服したと世界で批判されたが、小泉政権は「テロには屈しない」と毅然たる態度で対処した。同時に国内テロに対する警戒態勢を強化し、有事関連7法案の審議を促進している。7法案は13日、衆院本会議で趣旨説明と質疑が行われた後直ちに、私が理事を務める衆院武力攻撃事態対処特別委員会で一括審議に入った。

 緊急基本法も早期制定

 7法案の中身は、過去のホームページで詳細に取り上げたので重複は避けるが、武力攻撃事態法など現行の有事関連3法を補完する内容。審議では、他国による日本への武力攻撃の際、国民の権利が侵害されはしないかとの質問が相次いだ。国民保護法案は、避難住民の救援で、医薬品や土地・家屋を収用または所有者の同意なく使用できると定めている。民主党は「憲法が保障する基本的人権は、平時、有事を問わず、貫徹されなければならない」とし、同法案の1部修正を求めているが、有事法制整備の必要性では政府・与党と一致している。また、自民、民主、公明3党は、大規模テロなどへの対応を定める「緊急事態基本法」の制定に関し、@法案骨子を有事7法案の衆院通過までに作るA来年の通常国会で成立を図る――ことで8日に大筋合意している。民主党は国民保護法案など有事関連法案の成立に協力する条件として、同基本法の早期制定を求めていた。このため、法案審議に弾みがつき、7法案は今国会で成立の見通しだ。小野清子国家公安委員長は9日、在イラク邦人人質事件対策本部の初会合で、国内テロ対策を徹底する方針を明らかにした。警察庁は全国の道府県警本部に、空港、駅、原発など約650ヶ所の重要施設の警備を徹底するよう指示している。

 自己責任原則の自覚

 小泉首相は5日、成田空港のテロ対策を視察したが、政府のテロ対策は、@入国しようとするテロリストの水際阻止A国内の不審者・不審物の発見B発生時の迅速な対応――に重点を置き、水際対策では、成田、関西の2国際空港と東京など5港に「危機管理官」を置くなど、全国25空港、約120港湾での警備体制を強化した。不審者・不審物の発見では、スペインでの列車爆破テロを踏まえ、新幹線など鉄道テロ対策を徹底した。海外での邦人保護と安全確保についても強化する方針で、改めてイラク全土に民間人の「退避勧告」を出した。邦人3人の人質事件は、イラク中部ファルージャで米民間人4人が惨殺された事件をきっかけに米海兵隊と現地武装勢力が激突、その攻防情勢が深く影を落としている。米軍のパートナーと認識されたのは日本人だけでなく、イタリア人4人も米国の協力者として拘束され1人が殺害された。邦人は他にも2人が拘束されており、被害者計5人が政府の「退避勧告」を無視してイラク入りしたことについて、自民党内では、「もっと自己責任の原則を自覚すべきだ」との声が強く、額賀福志郎政調会長は講演で、「退避勧告を聞いてくれないなら(強制的に)渡航禁止の法律体系を整備して、安全管理、危機管理をきちんとすることも検討しなければならない」と述べている。

 特定船舶入港禁止法も

 一方、自民、公明両党は6日、特定船舶入港禁止法案を国会に提出した。同法案は既に成立した改正外国為替・外国貿易法に続く対北朝鮮の外交カードで、貨客船「万景峰92」号などの入港阻止が可能となる。4月1、2両日に中国で行われた自民党の山崎拓・前副総裁らとの会談でも、北朝鮮側は日本の対北朝鮮制裁の可能性に言及したという。自民党内では、拉致問題解決を促すため、北朝鮮の対応を見ながら、「対話と圧力」のバランスを重視しつつ圧力を強めて行くべきだとの意見が大勢で、北朝鮮が6カ国協議や日朝協議などで消極的な態度を続ければ、直ちに同法案の審議に入り、衆院通過、成立へと進めていく段取り。その場合は、既に独自案を提出し、船舶だけでなく航空機も対象としている民主党との調整が不可欠だ。衆院国土交通委員会の審議過程で修正案などの協議を進めるが、与党と民主党は、段階的に圧力をかけながら成立を図る考え方で、基本的に一致している。

 政府方針に協力の民主

 このように外交・安保政策では党内意見の隔たりが大きかった民主党だが、党内で激しかった自衛隊の撤退論を抑えて「武装グループの脅しに屈することなく人質を救出する」との政府方針に協力したり、政府の「対話と圧力」の対北朝鮮政策に同調するなど歩み寄りが見られ、有事関連7法案の審議は順調に促進されると期待される。それだけに結構多忙な毎日だが、私はお陰様で充実した有意義な政治活動を送っていると実感し、張り切っている。なお、前号の議事録に掲載したように、私は3月17日の衆院国土交通委員会で、冒頭の質問に立ち、「『国際航海船舶及び国際港湾施設の保安の確保等に関する法案』の名称はいかにも長すぎるので、『国際船舶・港湾保安法』の略称にすればよい」と提案したが、この略称が正式に採用され、今後、国土交通省など政府の文書に使われるようになった。