北村の政治活動

 (平成13年3月16日) デフレ・スパイラル 日本円に外科手術を
  
 「日本の円は死んでしまった」と経済記者が今つぶやいている。日銀は2月、二度にわたり公定歩合や短期金利の引き下げを決めたが、超低金利政策を続けても物価の下落や株価の低迷が回復できないからだ。日銀は金融緩和策に懸命だが、産業の血液である円が白血病に冒されていたのでは、日本経済は救いようがない。思い切った外科手術が必要だ。

 消えた106兆円

 鉱工業生産指数と消費者・卸売り両物価指数が落ち込み、株や土地など資産価格が下落し、日本は戦後の先進国が経験したことのないデフレ・スパイラルの危機に直面している。
森首相が就任した昨年4月、2万0462円77銭だった日経平均株価は、1万2000円台に下がり、就任当時の6割程度に落ち込んだ。時価総額で106兆円もの富が雲散霧消したという。読売はその辺の事情を概ね次のように伝えている。

 デフレのアリ地獄

「物価下落で企業の売り上げは伸び悩み、企業債務が増え、設備投資が抑制気味となり、銀行や企業の不良債権処理が遅れる。それが株価を冷え込ませ、再び企業活動や個人消費の停滞を招く。デフレの悪循環は恐慌の前夜だ。デフレ・スパイラルは一度落ち込んだら這い上がれないアリ地獄。2月の先進7カ国(G7)で示された日本のデフレ傾向への強い懸念は、日本経済が世界的な危機の元凶になっている」――などと、過去の世界恐慌や昭和恐慌を例に挙げ、恐慌に打つ手がなく戦争にのめりこんでいった苦い経験を回顧した。

 金庫株の解禁

 自民党は「証券市場等活性化対策特命委員会」を設置し、株価の対応を検討した。その結果、公明、保守の両与党にも諮り、@企業が自社株を自由に保有する「金庫株」の解禁とその環境整備A持ち合い株の買い取りのため民間資金による「株式買い上げ機構」の創設B郵貯、簡保など公的資金の積極的な市場への投入C個人の受ける配当課税の軽減D土地住宅税制の見直しE金融緩和の推進F内閣に「都市再生本部」の設置――などの緊急経済対策をまとめ上げた。必要な項目は法改正を進める方針だ。金庫株は期間、数量に制限なく自由に保有できるようにしだが、金庫株解禁はリクルート事件と同様にインサイダー取引をどう防ぐかが課題となる。

 白血ガンに外科手術

 日銀が金融機関向けの短期金融市場にいくら潤沢な資金を供給しても、経済記者が嘆くように“死んだ血液”では効き目がない。一方、不良債権を抱える銀行が、リスクを伴う新規融資に“貸し渋り”の態度を示すのも無理からぬところ。これでは民間に資金は流れない。白血病のガンをどう退治し、外科手術を施すかが重要だ。

 速水優日銀総裁は7日、日本経済の再生策として、不良債権の最終処理促進を中心とする構造改革の具体策を提言した。不良債権最終処理の推進策では、経営の思わしくない企業は不振部分を分割して別会社にし、その部分だけ清算する方法や、企業向けの融資(ローン)を市場で売買なする「債権売買市場」の整備などを上げている。

 債権の直接償却

 これは、金融庁が外科手術として唱える不良債権の「直接償却」に、日銀が協力する姿勢を打ち出したものだ。同庁は貸出先の破綻などに備えて引当金を積む「間接償却」では生ぬるいとし、会社更生法を適用(事実上の倒産)する<法的整理>、貸出債権を他に売却する<債権売却>、<債権放棄>の3措置を伴う直接償却を検討している。

 だが、直接償却は、貸出先企業の倒産を増大させ、銀行にも巨額の損失が生まれるし、経済全体にさらなるデフレ効果をもたらす。相次ぐ企業倒産で完全失業率は5%に迫り、雇用問題が深刻になってきた。速水総裁はこの点、「雇用問題などマイナスの影響が出た場合は金融政策面から支える」と述べているが、政府は債権売買市場の整備とともに、地価対策で担保価値の保全を図り、債権放棄のルールも確立する必要があろう。

 「インフレ率目標」政策

 読売は、他の先進国でも実施している「インフレ率目標(ターゲッティング)」政策を導入すべきだと提言した。連立与党の緊急経済対策にも「物価安定の目標設定」との表現でこれが盛り込まれた。インフレ率目標政策は、デフレ・スパイラルを避け、高成長に向け一定の物価上昇率を目指すもので一応評価できるが、運営を誤るとインフレが昂進、年金受給者や低所得者の生活を脅かすなど取り返しがつかなくなる。慎重に取り組むべきだ。

 私は自民党関係団体の地方自治、労働・消費者両委員会の副委員長として、景気の動向、消費者の生活防衛、雇用対策、構造改革など日本経済の全般に十分目配りしていきたいと思う。お気づきの点があれば、どしどしメールして下さるようお願いいたします。