北村の政治活動

 第68回(平成15年12月16日) 年金改革特集(1)財務、厚労の攻防激化


 来年度予算編成の焦点である年金改革は、厚生労働、財務、経済産業の3省を軸に3すくみの攻防が続いている。厚労省が「保険料の上限を20%に固定し、給付を現役世代年収の5割以上維持」を打ち出したのに対し、財源難の財務省、財界バックの経産省が難色を示しているからだ。国民皆保険の年金制度は、少子高齢者社会の到来で破綻寸前。04年度の年金改革では保険料の引き上げや給付削減が待ったなしだ。しかも、国民年金の国庫負担割合は3分の1から2分の1に引き下げることが、現行法の付則に明記されている。国の負担増は初年度でも2兆7千億円の巨額。政府与党内では、段階的な引き下げ案を模索しているが、民主党は「消費税を上げても基礎年金は国が負担する」と政権公約に掲げただけに、安易な決着を図ると年明け国会は紛糾する。私は前通常国会まで衆院厚生労働委に席を置いたので、年金には重大な関心を寄せ、党の社労部会にも出席し活動している。

 少子高齢社会が財政圧迫

 日本人の平均寿命は男性78・32歳、女性85・23歳。総人口は約1億2,669万人だが、出生率は依然低く65歳以上の老齢人口は約2,385万人(約19%)に増えた。世界に誇る長寿大国で、「きんさん、ぎんさん」がもてはやされたのは遠い昔。今では百歳以上が2万人以上を数える。健やかに余生を送るお年寄りには祝意を表したいが、少子・高齢者社会は公的年金の財政を圧迫、国民(基礎)年金の空洞化や、年金制度の崩壊が心配されている。5年に1度改正する保険料アップは若年層の不満を増大し、給付削減は高齢者の年金生活を直撃する。年金問題は、国家財政の根幹に関わり、国民生活全般に影響を及ぼす福祉政策の大きな課題である。坂口力厚生労働相(公明党)は九月初旬に改革試案を発表した。柱は現役世代の保険料増加に歯止めをかけるため「保険料固定方式」を導入、これに伴い年金の給付水準も下がるが、現役世代年収の50〜55%を維持するというもの。公明党はこれを総選挙の最大公約に掲げたため、譲れない線と主張している。

 20%で保険料固定

 厚労省は11月11日、坂口試案通りの年金改革案を発表した。厚生年金の保険料率を04年度から0・35%程度ずつ毎年引き上げて2022年度以降は20%(労使折半、現在は13・58%)に固定する「保険料固定方式」を導入し、給付を保険料収入の範囲内で自動的に下げる方式を採用する。この場合、現在は現役世代の平均収入の59%となっている年金給付水準は、13年度に54・7%、32年度以降は52%まで下がる。ただし、国民年金の国庫負担割合引き上げについては財源を示さず、「04年度での一括引き上げが望ましい」としたものの、5年かけて段階的に挙げる方法も併記している。これで00年度から凍結されていた保険料は、厚生年金が04年度から、国民年金が05年から引き上げられ、国民年金は現行の月額1万3300円から毎年600円ずつ引き上げられ、1万7300円になったところで固定する。同省は年金水準の底上げを図るため、厚生年金で年間給付額の5倍ほどある積立金約166兆円を、年金財政の安定度を検証しながら取り崩せば、年金制度を100年程度は持続できると判断している。これに対し、財務省と、財界の要望を受けた経産省は、「20%の負担は重すぎる。給付を抑制すべきだ」と反対している。今のところ、保険料の上限については18%が有力だが、これにも党内の反発があり、決着は持ち越された。次回はその後の経過と問題点を報告したい。(続く)