北村の政治活動

 (平成13年2月16日)市町村合併 地域主権の尊重を

 <自民党の地方自治関係団体副委員長として今回は地方自治問題に触れてみたい>

 地方分権の時代を合言葉に、自治体の基盤強化を図る市町村の合併が花盛りだ。1月1日に新潟県黒埼町が新潟市に編入され、同21日には東京都の田無、保谷両市が合併し、「西東京市」が誕生した。4月には茨城県の潮来町と牛堀町が合併し「潮来市」が、5月には埼玉県の浦和、大宮、与野3市の合併で「さいたま市」が発足する。

 政府は昨年12月1日、与党行財政改革推進協議会の「市町村合併後の自治体数は1000を目標とする」との方針を踏まえ、合併に関する行革大綱を閣議決定した。全国の市町村は3220余だが、これを3分の1に減らす方針。既に33都道府県で市町村再編の指針をまとめており、合併協議会の設置状況(1月1日現在)は20(67市町村)を数えている。このうち、住民発議による協議会は11(34市町村)もある。

 長崎県も対馬にある厳原、美津島、豊玉、峰、上県、上対馬の6町が昨年8月に協議会を設置した。五島列島や島原でも合併への関心は次第に高まっている。

 市町村の半分は、人口1万人未満の脆弱な体質。.昨年4月に発足した介護保険制度は、市町村が保険者だが、小さな町村では介護者の認定をする人も、サービスするスタッフも少ないし、必要な介護施設も作れない。やむなく広域の市町村で共同施設を設置したり、県などに委託しているのが現状だ。高齢者が優れた他の自治体の施設や良質の介護サービスを求めて“介護移住”するケースもあり、これが過疎化をさらに助長している。

 片山虎之助総務相は『二十一世紀は地方の時代。3220余の市町村は規模や能力がばらばらで弱小も多い。権限や事務、財源を委譲するにも、きちんとした仕事のできる能力が必要だ。合併で力をつけることが地方分権の追い風になる。福祉や都市計画を市町村で意志決定するには今の規模では小さすぎる』と、読売のインタービューに答えている。

 総務省は市町村合併特例法の期限が平成17年3月までと、残り期間が4年弱に迫ったことから、今国会の重要法案として同特例法の改正案を提案する。これは自主的な市町村合併を推進するため、住民投票制度を導入するもので、合併協議会の設置が地方議会で否決された際に住民投票を実施、地域住民の意思を反映させる仕組み。

 このほか、合併促進策として@市町村合併に対し新たな特別交付税措置A合併後の地域対策の促進B民間との連携による広報・啓発活動の推進――など、行財政基盤を強化する財政措置を拡大した。特別交付税は合併から3ヵ年にわたり支援する包括的な措置。10万人規模同士の市町村合併に12億円程度、5万人規模同士の合併に9億円程度、1万人規模同士の合併に6億円程度を交付する。

 新特別交付税措置は、合併を機に行われる新たな町づくり、合併する市町村間の公共料金や公債費負担の格差是正、土地開発公社の経営健全化、合併前に要する電算システム統一の経費などに対し、平成13年度から特別交付税の包括的な支援をするというもの。

 また、合併後10年間は従来の普通交付税を全額保障、その後の5年間は激変緩和措置をとる。さらに、合併後10年間は市町村建設計画に基づく事業経費に特例地方債(合併特例債)を充当し、元利償還金の70%を普通交付税で面倒を見る。13年度の予算では新生特別枠(非公共)から総額22億7000万円の財政措置が組まれている。
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 このように財政措置では行政水準、住民負担の格差是正を主眼に、効率的、効果的な合併を促進する奨励策を打ち出した。地方分権の推進や少子・高齢化の進展、国、地方財政の著しい悪化など、市町村を取り巻く情勢が大きく変化するなかで、政府は基礎的な自治体である市町村の行政サービスを向上させるため、市町村合併に力を注いでいる。1880年代の“明治の大合併”、1950年代の“昭和の大合併”に次ぐ平成の大再編である。

 確かに、市町村合併は、広域的視野に立つ町づくりや行政サービスの拡大、住民の利便性向上、専門職員の採用・増強、行政組織の合理化、公共施設の効率的配置など多くのメリットがある。全国各地で日本青年会議所(JC)メンバーが合併の旗を振り、政府の地方分権推進委員会(諸井虔委員長)も積極的に取り組んでいる。

 しかし、小規模な自治体が弱いもの同士で一緒になってもメリットはない。農水産業や災害対策など国土保全、地域の伝統文化などを総合的に判断しなければならない。とくに地域住民には“おらが町”への思い入れが強く、合併による町名変更には抵抗がある。
住民感情を無視して合併話を進めるわけにはいかない。その点、市町村合併特例法を改正し、住民投票制度を導入することは「地域主権」を尊重するうえからも重要だろう。

 自民党の亀井静香政調会長は衆院本会議の代表質問(2月8日)で、『道州制の導入を含めた国家の骨組みを変える革命的改革が必要だ』と述べたが、町村合併は道州制への一里塚とも考えられ、今国会で大きな議論を呼ぶことは間違いない。