北村の政治活動

 第49回(平成15年2月1日) 波高し五島列島西沖 水産合同会議で善処要請


 太刀魚(タチウオ)は塩焼き、照り焼き、煮付けと何でも美味く、とりわけ新鮮な銀白色の刺身は長崎県民が愛好する新春の味覚。その太刀魚の最大漁場である五島列島西沖に正月以来、韓国の延縄漁船団が大挙押しかけ乱獲している。同海域は日本の排他的経済水域で、太刀魚漁については昨年にトラブルが発生したため、昨年末の日韓漁業交渉では意見が対立、2月15日までに操業条件を協議することになっている。その決定を待たず、50隻もの韓国漁船団が押し寄せ、延縄漁業を続けているわけで、長崎県タチウオ曳縄漁業者の被害は甚大だ。県漁協組連合会は即刻に操業禁止を訴えているが、私は1月22日の自民党農林水産部会・水産総合調査会の合同会議で発言、政府に善処するよう強く要請した。韓国側は、廬武鉉新大統領が就任する前に同海域で漁獲の実績を上げ、交渉を有利に運ぼうとしているようだが、協議は難航が予想され、厳寒の五島西沖は一段と波浪が高くなっている。

 双方の総割当8万トン

日韓両国間では99年1月に新日韓漁業協定が発効し、沿岸国主義に基づく新しい操業秩序が構築され、お互いの排他的経済水域(EEZ)では許可による操業が行われている。昨年末の交渉で、2003年の相手国EEZ内での日韓双方の操業条件は、
@ 総割当量は80,000トン(対前年比9,773トン減)、総許可隻数は1,232隻(同163隻減)で日韓は同じ量
A 日本水域での太刀魚を主とする韓国延縄漁業の割当量は5,185トン(685トン減)、314隻(60隻減)。操業水域等の条件は継続協議とし2月15日までに共同委員会を開催して確定
B 韓国の大型トロールなど大型底引き網漁業の3漁種類を大幅に削減、総割当量1,613トン(1,387トン減)105隻(大型トロールの40隻を含め45隻減)――で合意した。

 「操業自粛」と朴次官補

さらに、年々枯渇していく水産資源を保護する立場で、04年には科学者による海洋生物資源専門家小委(仮称)を設置し、両国EEZの資源状況について意見を交換。05年の相互入漁から、現在の漁業種類別の割り当て方法を、資源評価に基づく漁種別・漁業種類別に割り当てる制度に変更することにした。その制度導入を円滑に進めるため、漁獲割当総量を03年8万トン、04年7万トン水準、07年6万トン水準に順次引き下げることも決めた。とくに、日本側とトラブルの多い韓国の延縄漁業は、1月元旦から日韓共同委の協議が整う2月15日までは、割当量5,185トンの1割強の678トンに低く抑えられている。また、昨年末の漁業交渉では、水産庁の川口恭一次長が海底に絡まったまま放置され、日本漁船に大きな被害を与えている韓国延縄の漁具の回収状況を説明したのに対し、韓国海洋水産部の朴宰永次官補は「2月15日までの操業では、昨年トラブルが発生した海域(五島西沖)での延縄漁業の操業は自粛したい」と述べたといわれる。

 新大統領就任前に実績

それにも関わらず、年明けから五島西沖には韓国延縄漁船約50隻が集結して操業を開始し、日本漁船の操業を阻んでいる。その背景には次の点が挙げられよう。
@ 金大中現政権路線を踏襲する廬次期大統領は2月25日に就任するが、サッカー・ワールドカップの日韓共同開催以来の日韓友好関係を、新大統領の就任早々ぎくしゃくさせるのは得策でない
A 就任前に2月が最盛期の延縄漁の実績を上げ、既成事実を積み上げて操業条件や水域設定などの交渉で優位に立ちたい――などの思惑が韓国側にあると見られる。韓国の延縄は長さが10数キロに達し、潮に乗って流れるため広い海域を占有し、時には漁具が海底に絡まり、長崎県タチウオ曳縄漁業者らの操業は出来ない状態だ。しかも、韓国延縄漁が太刀魚を集中的に漁獲するため、五島西沖の太刀魚資源の枯渇が心配されている。

 日韓友好より漁民救済

そこで、私は自民党の水産関係合同会議で、
@ 日韓友好は大事だが、韓国は15日まで協議すると言いながら、正月から延縄漁船を五島西沖に大挙押し出して太刀魚の無謀操業を繰り返し、五島の漁民に大きな被害を与えている
A これは長崎だけでなく、福岡、佐賀、山口など九州北部海域で操業する漁業者にも多大な影響を及ぼしている
B 同海域での韓国延縄の操業禁止を含め、政府は毅然とした態度で漁業交渉を進めてほしい――と漁民の救済を要請した。

これに対し川口水産庁次長は「共同委の協議がまとまらなければ、韓国漁船は日本のEEZには入れなくなる。困るのは韓国だ」と述べ、交渉での努力を約した。また、谷洋一・党林政調査会長(元農水相)は、「廬新大統領は3年前に海洋水産部長官を務め、私とも閣僚レベルの折衝を持った。水産行政には明るいので、近く訪韓してこの問題を協議したい」と発言し、議員外交でも局面打開に乗り出す姿勢を示した。