北村の政治活動

 第47回(平成15年1月1日) 減税先行の税制改革 発泡酒、タバコ値上げ

 1月20日召集の通常国会で与野党攻防の焦点となるのは税制改革である。企業減税や資産デフレ対策を軸に、研究開発、IT(情報技術)投資向けに1・2兆円を含め、減税総額は約2兆円に達した。だが、複数年度で増減税のバランスをとる「多年度税収中立」の方針に添って、タバコ、発泡酒などを増税。これらを差し引くと、初年度の先行減税額は1・8兆円になる。この税制改正に対し、マスコミは「これでは国が持たない」(朝日)などと社説で取り上げ一斉に批判した。小泉首相らが前宣伝で「戦後のシャープ税制以来の改革を断行する」と大風呂敷を広げたため、期待はずれの印象を持ったようだ。しかし、配偶者特別控除を04年から廃止して戦後初の本格的所得増税に踏み込んだり、相続・譲与税の一体化や土地の登録免許税、株式譲渡益課税を軽減するなど画期的な改正も多い。

 党税調に欠かさず出席

 税制は国家財政の基幹をなすもの。神代の昔から民の暮らしを左右してきた政治の原点だ。私は臨時国会審議の合間を縫って、自民党税制調査会には欠かさず出席し、IT投資の充実など企業減税の必要性、中小企業に痛みを伴う外形標準課税の取り扱いや、酒類・たばこの増税などに慎重意見を述べてきた。関係省庁や各種団体から色々の謝意を表明されたところを見ると、手前味噌ながら私の活動も満更ではなかった、と満足している。そこで、12月13日にまとまった党の03年度税制改正大綱を振り返ってみよう。大綱は、11月19日の政府税調(石弘光会長)答申を踏襲したもので、答申は増減税一体を基本に、減税先行を容認する一方、「あるべき税制」への第一歩として増税路線を明確に打ち出している。特に、個人のライフスタイルや企業活動など、経済・社会の変化が加速する現状と制度の「ずれ」を埋め、税制の「ゆがみ」をただすことに重点が置かれた。

 活性化税制議連に加盟

 つまり、増税項目では、女性の社会進出を妨げていると指摘される配偶者特別控除(専業主婦がいる世帯に最高38万円)と、高校・大学生の子供を持つ親を対象とした特定扶養控除(上乗せ部25万円)の廃止や、外形標準課税の早期導入、発泡酒の増税などが含まれていた。公明党は所得税の増税を財源にした企業減税にまず反対したが、自民党の商工族議員は、弱小企業に打撃となる外形標準課税に反対し「経済活性化税制議員連盟」(尾身幸次会長=参加者130人)を結成した。同税に尾身会長らは「産業空洞化を助長し、国際競争力を弱める」と反対したが、中小企業の惨状を考慮し、私も議連に当然加盟した。増税論議がもめた場合、最後はインナーと呼ばれる山中貞則・党税調最高顧問、相沢英之会長ら7人の税制通が密室で決着を図ることから、マスコミは「議連は反党税調議連だ」とはやし立てた。実際に大綱決定に至る段階で、議連の果たした役割は大きかったと思う。

 酒類、タバコは半分に圧縮

 結論として、「赤字法人にも税負担を求める」と、地方の財源強化のために片山虎之助総務相が意欲を見せた外形標準課税は、資本金1億円超の大企業を対象に04年度から導入することになった。発泡酒1缶、ワイン1瓶を20円に引き上げ、タバコ1本当たり2円引き上げるとの当初案は、自民議連や公明、保守両党の反対により、それぞれ半分の10円と1円引き上げる税率に圧縮された。酒類は5月、タバコは7月から値上げとなる。消費税については「抜き打ち的に先進国並みに税率を引き上げれば、物品の駆け込み購入で消費は一挙に上向くのでは」などと乱暴な意見を吐く者もいたが、消費税改革では益税解消に向けて、簡易課税制度を利用できる事業者の基準を「年間売上高2億円以下」から「同5千万円以下」に引き下げた。これも中小・零細企業の意向を汲んだものだ。

 配偶者特別控除は廃止

 公明党が強く反対した高校・大学生を持つ世帯の特定扶養控除は廃止を見送ったが、配偶者などに対する特別控除の廃止は04年1月から実施することになった。これには同党が廃止容認の条件として求めている少子化対策を04年度予算に盛り込むことで決着した。配偶者特別控除の廃止などで個人の所得税は課税最低限が384万円から325万円に、住民税が325万円から270万円に引き下がって個人の負担は増大する。このように、税制改革は、企業の設備投資・研究開発や証券投資・土地流通を促す意味で経済活性化策には一歩前進だが、特別控除の簡素化に伴う個人所得税の増税に酒類、たばこの値上げが追い打ちをかけ、納税の確定申告期に庶民の不満は高まるばかり。財布は締まって消費拡大は到底望めず、企業の3月期決算は再び“3月危機”を迎えそうだ。

 GDP2%の景気刺激

 首相が目指した「多年度税制中立」は約7年後の09年度ごろに、増税と減税の累積がほぼ同水準に達する。当初の目安の5年からは2年遅れだ。「シャープ以来の抜本改革」もやや色あせて見える。しかし、首相が1兆円、塩川正十郎財務相が1・5兆円と唱えていた減税規模は、税制議連の「企業減税や資産デフレ対策を重視せよ」との要望を入れ、2兆円に膨らんだ。初年度は増減税差し引き約1兆8千億円規模の減税だが、GDP(国内総生産)を2%高める景気刺激になるようだ。税収不足の中ではまずまずの出来である。税制論議にイラク、日朝情勢も加わり、国会は解散・総選挙を念頭に内外政策で激しい論戦が展開されようが、景気浮揚を図る税制改革は早期に実現しなければならない。