北村の政治活動

 第44回(平成14年11月16日) 衆院安全保障委 福江空港ヘリ訓練を質す

 北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の核開発問題が、北東アジアの緊張を高めているなかで、米軍は10月24日、五島列島の福江空港で大型ヘリコプター(MH47)3機による低空飛行訓練を実施したいと長崎県に通告してきた。これに対し、金子原二郎知事が訓練回避を要請し、米軍は同29日に訓練を断念した。しかし、米軍は14日から18日にかけて、島根県の隠岐諸島西方の日本海や鹿児島県西方約300キロの近海で計4回の水中爆破訓練を実施すると、再び突然に通告してきた。訓練海域は公海だが、日本の主権が行使できる「排他的経済水域」で、6日からズワイガニの底引き網漁が解禁されたばかりの海域。NHKは同日「実験した模様」と報道したが、各紙は技術的理由で遅れていると伝えている。実施すれば漁民の被害は大きい。水中爆破訓練の狙いは、海中の機雷除去訓練と、潜水艦航路の海底地形探査にあるようだが、北朝鮮の緊張と無縁ではなさそうだ。

 在韓米軍のきな臭さ

 福江空港の一連の経過をみても、私は米軍の通告の仕方には改善すべき点が多いと考え、10月29日の衆院安全保障委員会で外務省がどのように対応したかを質した。にもかかわらず、重ねての一方的な水中爆破訓練通告である。衆院農林水産委員としてもカニ最盛期の水中爆破は無視できない。この際、米軍の強引な通告制度を地元住民の立場から徹底的に検討したい。日米安保体制の地位協定第5条では、米軍が民間空港を使用する場合、手続き上は空港を管理する地方公共団体に直接通報すればよい仕組みである。日米の安全保障、国防にかなうことなら、日米同盟の立場から、両国が提携するのは当然なことであり、通報制度は私も十分に承知している。しかし、在韓米陸軍のヘリ訓練とあれば、何かきな臭い意図が感じられる。しかも、福江空港でのヘリの完熟訓練は初めてのケースであり、突然の通報では平和に暮らしてきた地元住民も戸惑うばかりだ。

 県民感情考慮し知事決断

 まして、原爆の被爆地でありながら、長崎県は佐世保に米海軍、海上自衛隊の基地、陸上自衛隊基地を提供、日本の安全・平和に貢献してきた。訓練回避に至った経緯は明らかにされていないが、県の防衛協会会長でもある金子知事が回避要請をしたのは、色々と県民感情を考慮に入れての、よくよくの決断であったように思う。私は安保委員会質疑で、米軍には一方的な通報ではなく、県に対し日本語を使って、住民に丁寧なきめの細かい申し出を行うよう要求、同時に、地方自治体だけでなく国にも事前通報するよう改善策を要請。県への一連の説明をしなかった外務省にも、真剣な対応を求めた。これに応えて海老原紳・北米局長は「ご指摘の通り、地元に不安を与えないよう、もう少しきめ細かな通報の仕方があったように思う。少なくとも県と同時に外務省にも通報するよう米軍に要請した」と弁明した。だが今回、カニ漁業者には『きめの細かい通告』があったのだろうか。今後も衆院農水委などで追及していきたいと考えている。

 10月29日の衆院安保委での質疑応答は次の通り。

 
北村 情報によると既に一定の結論が出たようだが、大事なことなので外務省に尋ねたい。長崎県五島列島で一番大きな福江島に、福江空港という民間機が利用する飛行場がある。この飛行場に在韓米陸軍のヘリコプターが慣熟訓練のために飛来し立ち寄りたいということで、在日米軍司令部・横田の方から長崎県に対し、直接通報があったと報じられた。こうした場合、地位協定に基づく通報の仕組みはどうなっているのか。政府側からも長崎県に説明等があってしかるべきではなかったか。外務省はどう認識し、把握しているのか。

 
海老原紳・外務省北米局長 地位協定第5条による米軍が日本の民間空港を使用する場合の通報手続きだが、これは従来より、その空港を管理している地方公共団体に対し、米軍の方から直接通報が行くことになっている。今回、米軍の方から24日に福江空港管理者の長崎県に対し通報があって、29日に離着陸のための慣熟飛行を行うという通知があったと承知している。それを受け、長崎県から外務省の方にそのような通報があったという連絡があったと承知している。

 
北村 空港管理者の長崎県に直接通報がある仕組み、との説明だが、県はその通報を受けて外務省にも連絡し、在韓米軍のヘリ訓練について25日付で長崎県知事から外務大臣に対し、この訓練を回避してほしいという要請を行っている。県知事の回避要請の気持ちが実って、いかなる理由によるかは知らないが、既に報じられるところでは、回避の見込みであると聞いているが、その間、色々な努力や配慮があったなと、私なりに察している。一応の結論が出ているとはいえ、外務大臣に長崎県知事から回避要請がなされたことは事実だ。その事実をまず確認したいし、それに対し外務省がどう行動したのか聞きたい。

 
海老原局長 おっしゃる通り、長崎県から正式に外務大臣に懸念が表明されたということで、私どもから直ちに外務大臣にも連絡した。それを受けて、米軍側に事実関係の照会等を行った。やり取りの詳細は差し控えて頂くが、今朝8時半、在日米軍から外務省に対し、予定された福江空港での慣熟飛行は行わないことになったとの連絡があった。また、その30分前に、在日米軍から長崎県に対しても同様の連絡があったと承知している。

 
北村 長崎県知事の立場で回避要請をするということは、基本的には長崎の実情から見た時、佐世保に米海軍及び海上自衛隊、陸上自衛隊等の基地を持ち、一方、長崎市は被爆地ということで、大変難しい平和についての取り組みをしなければならない長崎県である、と私は日ごろより考えている。米陸軍からのヘリ飛来、訓練要請は、局長のいう通り、地位協定上は空港管理者に直接通報して使用が認められ、訓練することが出来ると考えるべきだと思う。確かに、長崎県内に県の管理する空港はまだ他にもある。例えば、対馬空港、壱岐空港には既に米軍の飛行機、ヘリコプターが飛来し、着陸した実績もある。
 ただ、今回、米軍が望んだ福江空港は初めての米軍の利用、使用であり、私も県民の1人として、日米安保条約、同盟関係の立場から、両国が提携していく。そしてそのことが、日本国民、長崎県民に対して、安全保障上、また国防上の利益にかなうという考え方をしている。そういう中で、県知事が回避要請をせざるを得ない状況にあったことも、一方では理解しなければならないと私は思う。私が知りえた情報では、ヘリ3機が今日の午後6時半から7時半ぐらいの約1時間、福江空港の上空で1回だけ旋回するとの要請が米軍側からあったと聞いている。初めて福江空港を使用させてくれ、使用するぞとい言う申し出であれば、いま少し米軍側が丁寧な申し出が出来ないものだったろうか。先ほど局長は、いきなり24日に福江空港の管理者である長崎県に要請があったという。24日は木曜日、25日の次は土・日だが、安全保障、国防に土曜、日曜もないとの認識は私も持つ。しかし、平時の日常生活では軍の運用、勤務体制をにわかに理解し、熟知することは非常に難しい。
 従って、空港管理者である県に対するに要請の仕方を、いま少し丁寧に出来ないものか。安保条約、地位協定に基づき日本国、国民、地方公共団体の安寧を図るために、このような訓練を計画すると私は認識するので、より丁寧な使用の申し出、理解を得る手順を踏む必要があると思うが、いかがか。

 
海老原局長 おっしゃる通りと私も考える。地位協定5条により、米軍による民間の空港(使用)が認められる。わが国を守る日米安保体制を堅持していくうえで規定されており、そのこと自体は必要と考える。他方、空港を初めて使うような時に、単に通常と同じような手続きで済ますことではなく、地元長崎県の方々が不必要な不安を持つことがないよう、もう少しきめ細かい通報、連絡の仕方があったのではないかと思っており、少なくとも長崎県に通報すると同時に、外務省の方にも通報があってしかるべきだと米軍にも私から申した次第だ。今後はより米軍と外務省の間でも密接に連絡をしながら対処して参りたい。

 
北村 米軍には密接な連絡を取ってほしい。地方にとっては外務省、特に安保担当部局が頼りだ。横田の米軍基地から直接、福江空港管理事務所や県庁の港湾課に電話連絡があっても、英語でいきなり話しかけられては受け答え出来る体制にない。必ず通訳を挟まなければならない。当然、横田の側には日本語が分かる通訳がいるはずだから、色々な行き違いが生じないようにしてほしい。余分な手順や説明で、誤解が生じると、折角24日に貴重な連絡を受けても、無駄な時間が経ってしまう。国際化の時代だから、全国の空港を管理する都道府県庁の担当部課には英語の分かる者を常駐させているだろうが、いきなりの話には対応できないと思う。細かい話だが、横田に限らず陸、海、空の米軍各部隊に対し、この点をきちっと詰めてほしい。今1つは、米軍から通報があった時、通報者の所属、官職名などが聞き取れなかったという話もある。軍の仕事である以上、正確に、短時間で理解でき、次の対応に瞬時に臨めるようにするのが心得ではないかと思う。
 米軍の運用や訓練にくちばしを挟むほどの勉強もしていないが、受信した県側に支障があったと聞いているので、外務省としても米軍にきちっとした申し入れをしてほしい。安保条約及び地位協定が我々佐世保の基地にあっても頼りなので、是非、条約の精神、地位協定の目指すところに沿った運用が正確に出来るような配慮を重ねて米軍側に要請し、外務省の安保所管部局に対する国民、県民の期待に応えるよう、十二分に認識してほしい。
 先ほど防衛庁長官は今後、有事法制を整備して安保体制を確立し、幅広い国民の理解と協力が得られるように全力を尽くすと述べられた。また、武力攻撃事態対処関連3法案の成立に向け、国民保護のための法制等、個別の議題について内容を深める作業を進め、さらには、テロや不審船対策など、武力攻撃事態以外の緊急事態への対応体制も総点検すると、先のご挨拶の中で申された。まさに私どもは、都道府県あるいは県民の理解をしっかり得て、必要な法整備をしていく状況にある。そういう中で、県知事はヘリの飛来を回避してくれという要請をしなければいけなかった。蛇足だが、長崎県知事は県防衛協会の会長であり、県知事の立場としては、回避要請はつらいものであったと感じている。そこを思うと、外務省の仕事、役割に対する期待は重ねて大きいと言わざるを得ない。
 日本国の安全と国民の生命財産を守り、きちんとした抑止力を備えて国の安全保障体制を形作っていく中で、防衛庁長官としては、私が尋ねたことなどをトータルに考え、どのような所感を持っているか聞きたい。

 
石破茂防衛庁長官 有事法制は先国会で色々議論があり、衆院で継続の状況だ。有事法制は昭和50年代の前半に、福田赳夫首相、三原朝雄防衛庁長官のもとで研究が始まった。ところが1分類、2分類だと思っていたところへ、それだけでは足りないのだと。いわゆる国民保護法制という第3分類も議論しよう、あるいは米軍に対する法制も議論しようということになってきた。有事法制を議論する中で、ご指摘のように、地方と中央との関係をどうするかは、根幹的な部分をなしており、そこに迅速性も求められる。いやしくも地方の実状を無視した有事法制であってはならない。
 何のための有事法制かということだが、これは佐世保の皆様方には、本当にいつもご理解頂いているところだ。例えば、有事法制を作ると戦争になるとか、戦争協力法だよ、という議論も一部にはあるが、私は戦争をしないための、まさしく抑止力としての有事法制と理解している。いざ有事の時に超法規で動くことは法治国家の名に値しない。何よりも、民主主義国家を守るためにこそこの法制はあるのだ、ということを広く国民にご理解頂くことが肝要であると思っている。佐世保を初め、色々なところに自衛隊や米軍の基地があるわけで、そこに在住の皆様方は、日本の平和と安全のために色々なご負担を頂いているわけで、そういう方々のご理解をきちんと得ながら、どうすれば戦争にならないかということで有事法制を考えて参りたい。

 
北村 実は今日午後、インド洋に護衛で行っていた「あさかぜ」が帰ってくるので、(委員会質疑がなければ)帰港の出迎えに行きたかった。護衛艦「あさかぜ」は任務を立派に果たしての帰港だが、イラクの状況に対応して米国政府から日本政府に対して、色々な場面に、色々な要請がきているような新聞報道がなされている。テロ特措法に基づく基本計画は11月19日に期限がくると承知しているが、当然政府は色々な計画や準備を進めていると思う。アフガニスタンの情勢に対応し、アルカイダに対する制圧はまだ続くだろうし、イラクにもひょっとしたら動きがあるかもしれない。そういう中で11月19日を迎えるのだから、基本計画について色々考え、かつ備えておかなければならない。米政府から正式には、どのような要請が日本政府にあったのか確認したい。

 
海老原局長 11月19日で基本法に基づく自衛隊の派遣期間の期限がくるが、その後は内閣全体で主体的に検討がなされると思う。茂木敏充外務副大臣が先般訪米され、アーミテージ国務副長官と会談した際に、副長官からテロ特措法に基づく支援の継続をしてほしいという要請、というよりも、一般的な期待が表明されたと承知している。具体的な形での、いわゆる要請といったものは、これまで我が方にはなされていない。

 
北村 色々な機会を捉えて米政府の考え方は示されていると承知しておく。最後に、昨年の通常国会に議員提出した防衛省設置法案は、1日も早く審議に入り、成案になるよう願っているので、委員長の特別なご配慮と委員会の運営をよろしくお願いし、質問を終える。