北村の政治活動

 (平成14年9月16日) 環境開発サミット  民生中心のODA拠出を

 今年は東京で1ヶ月も早く桜が開花した。台風も例年より早く6月から数多く本土を襲い被害をもたらした。欧州では8、9月の集中豪雨でフランスの20人を含め約110人が死亡、ドイツ、チェコなどの古都が大洪水の被害に見舞われた。ロシア、インド、バングラデシュ、イラン、ベトナム、韓国など世界各地でも深刻な大水害が起き、中国全土では水害の死者471人、行方不明者約300人と発表されている。逆に中国の黄土高原などは大干ばつで荒廃、砂漠化が加速している。これら地球の異常気象は、南米ペルー沖の赤道域で海水温度が平年より1−5度高くなるエルニーヨ現象がもたらしたとされる。この春には南極半島付近で埼玉県規模の柵氷が崩壊、ヒマラヤ山脈の氷河や北極も解け始めたという。海面が1メートル上昇すれば、南太平洋のツバル島やマーシャル諸島は水没が心配される。地球災害の根本原因は地球の温暖化、森林減少にある。

 環境よりも南北問題

 こうした地球の環境と開発問題を討議するため、8月26日から9月6日まで、南アフリカ・ヨハネスブルグで「持続可能な開発に関する世界首脳会議(環境開発サミット)」が開かれた。会議には世界120カ国の首脳や国際機関、企業NGO(民間活動団体)など関係者2万人余が参加、環境保全と貧困解消・開発の両立を目指す実行計画「世界実施文書」(約600項目)などを採択した。日本からは97年に温室効果ガスの二酸化炭素(CO2)削減の京都議定書を取りまとめた議長国として、小泉首相、大木浩環境相をはじめ500人もの政府代表団が繰り込み、同議定書に基づく地球温暖化防止の取り組みを強くアピールした。しかし、首相の意気込みとは別に、環境開発サミットでは、どちらかといえば、環境保全よりも南北問題に重点が置かれた。採択文書には「水と公衆衛生」、「天然資源の保護と管理」、「持続可能な漁業」、「生物多様性」、「農業補助金」など私の専門分野も数多く含まれている。この文書をガイドラインにじっくり検討し、国政に活かしたいと思っている。

 リオに次ぐ実行計画

 92年にブラジル・リオデジャネイロで開かれた「地球サミット」は、地球環境問題や南北格差を冷戦後の共通の危機として認識し、南北協調、環境開発を同時進行させる「持続的可能な開発」を謳いあげた。リオでは21世紀を環境の世紀にしようという行動計画の「アジェンダ21」を採択した。それから10年。世界がその進み具合を検証して課題を整理し、再出発する実行計画「世界実施文書」を作るのが今回のサミッとの目的だった。このため、「ヨハネスブルグ宣言」は、@富める者(先進国)と貧しい者(途上国)の格差増大は世界の繁栄、治安にとって脅威A地球は生物の多様性が失われ、漁業資源が悪化、砂漠化で豊かな土地が失われ、地球温暖化の悪影響が拡散B経済のグローバル化は市場の統合、資本の流れを増し、利益は偏り途上国は困難に直面C飢餓や自然災害、テロ、エイズ、伝染病などとの闘いに注意し、配慮していく約束を再確認D国連が持続可能な開発の推進に最適であり、その指導的な役割支持――を骨子としている。

 目標値盛り込めず

 このように今回のサミットは、一国主義の米国が京都議定書から離脱したうえ、ブッシュ大統領が欠席したため、議場では不満が爆発。ロシアも議定書批准作業が遅れ気味とあって、途上国に関心の強い開発問題が主要テーマになった。会議では、実施文書の内容を巡り先進国の途上国援助(ODA)の増額、国際貿易ルール上の途上国配慮、太陽光・風車発電などの再生可能エネルギー利用の目標設定――などが焦点とされたが、各国の利害が対立し、妥協が繰り返された結果、目標値などは盛り込まれなかった。特にEU(欧州連合)は、再生可能なエネルギーの供給量が火力などを含めた全エネルギーに占める割合を10年までに15%に引き上げることを主張。これに対し、自国のエネルギー政策を縛られたくない米国と日本、石油への影響を恐れる産油国などが反対した。

 12億人が1日1ドル以下

 リオでは先進国がODAを国民総生産(GNP)比で0・7%に引き上げ、当時の0・33%から倍増すると表明したが、逆に現在は0・22%に下がっている。途上国は先進国の「約束違反だ」として、数値目標を設定するよう要求した。地球の環境問題は南の資源を収奪しながら経済発展をしてきた北の先進国に責任があるというのが、途上国側の主張だ。読売の社説によると、ワールドウオッチ研究所が今年まとめた「地球白書」は@世界経済の年間総生産は90年の31兆ドルから00年には42兆ドルに増えたが、地球人口60億人余の約12億人が、1日1ドル以下の最貧レベルにあるA約11億人が安全な飲み水を確保できないBポルトガル1国分の約900万ヘクタールの森林が毎年消失している――と述べ、環境の悪化が貧困と人口増に悩む途上国に集中していることを物語っている。

 再生可能エネの普及促進

 途上国は、地球の温暖化、森林資源の枯渇、砂漠化、水飢饉、土壌浸食、異常気象の災害などは全て先進国がもたらしたとして、万全な対策の実施を求めているわけだ。経済のグローバル化はますます南北の格差を増大、米国の同時多発テロの背景にも南北問題が横たわるといわれている。政府は3月に「地球温暖化対策推進大綱」を決め、工場の省エネ対策や家庭での節エネなど約100項目を提示したが、石油、石炭などの化石燃料を燃やすと出るCO2を削減するには、燃料電池の開発推進や、太陽光、風力発電など再生可能エネルギーの普及促進に努めなくてはならない。一方、日本は昨年までの10年間、世界最多のODA拠出を続けてきたにも関わらず「ODAに消極的な国」とのレッテルを貼られている。ODA予算の見直しに当たっては、植林、井戸掘り、治山治水など貧困層にもプラスとなる民生中心の平和的施策に拠出することが、途上国からは望まれるだろう。