北村の政治活動

 (平成13年2月1日) 行革と株価の二正面作戦

 KSD事件は、参院比例区の選挙に多大な影響を与えそうだ。受託収賄の容疑で逮捕された小山孝雄参院議員が比例区の名簿順位を上げるため、KSD から党費を立て替えてもらうなど不明朗な点が明るみに出たからだ.。自民党は、比例区の候補者選定と順位決定に党員獲得数2万人以上の基準を設けていたが、事件後の改善策としてこの基準を撤廃した。

 昨秋の公選法改正で、7月の参院選から比例区に非拘束名簿方式が導入され、集めた党員数に応じて名簿順位が決まる方式から、得票数順に当選する仕組みに変えられている。これで参院比例区は制度的に改良されたが、KSD事件、外務省機密費流用事件は国民の政治不信を高める結果になった。機密費流用問題は、自民党内でも「外務省の処分は身内に甘い。.調査もずさんだ」との批判が起こり、公務員の綱紀粛正を求める声が強まっている。

 政府・自民党はKSD事件や株価低迷の危機を乗り切り、参院選に勝利するため、行政改革と株価対策の二正面作戦で選挙態勢を建て直そうとしている。報道によると、野中広務党行革推進本部長、橋本龍太郎行革担当相、推進本部の顧問に就任した小泉純一郎森派会長の3人は、英文頭文字をとって“行革NHKトリオ”というそうだ。

 橋本氏は(1)特殊、公益法人の渡り歩きで過剰な退職金を受け取る例を根絶する(2)特殊法人の出資会社などを連結ベースでとらえる(3)給与を年功、職責、成果給に分けるなど信賞必罰の給与・昇進システムを導入する(4)一定数のポストを公募制にするよう各省庁に義務づけるーーなど、特殊法人を軸とした改革案を既に公表した。野中氏も「官僚が出資金や補助金など国民の血税を湯水のごとく入れたうえ、法人に天下って高い給料を得ている」と非難し、公務員制度と特殊法人改革に積極的である。

 マスコミは、「行革と構造改革を仕上げ、首相再登板に期待をかける橋本氏、古賀誠自民党幹事長の後見役として自民政治をリモコン、郵政のドンから政界のドンの地位を目指す野中氏、行革の真髄は郵政民営化にありと執念を燃やす小泉氏。三人三様の思惑を秘めて行革論議は再出発した」ーーと解説する。確かに、参院選後は“小さな政府”を目指し、規制緩和や郵政公社化の在り方に絡めて、郵政民営化問題などが再燃する雲行きだ。

 行革、綱紀粛正は大いに推進しなければならないが、国民生活にとって最重要課題は低迷する景気や株価の対策。自民党は「証券市場等活性化対策特命委員会」を設置し、(1)企業が自社株を自由に保有する「金庫株」の解禁(2)預金保険機構などによる持ち合い株の買い取り(3)郵貯や簡保など公的資金の市場への投入――などを検討している。

財界は年初来の株価低迷で3月決算乗り切りを憂慮しており、金融危機の再燃すら囁かれている。銀行が保有する約四十四兆円の株式の大半が持ち合い株。金融機関は株価下落で含み資産が減少する分、持ち合い株の解消売りで3月決算を乗り切ろうとした。これがまた貸し渋りとなって中小企業の経営を圧迫している。

 しかし、持ち合い株を預金保険機構が買い上げる案は、法改正が必要で当座には間に合わない。「金庫株」の解禁案はリクルート事件と同様のインサイダー取引をどう防ぐかなど課題が多い。郵便貯金などの自主運用に大きく響くPKO(株価維持策)は、市場の期待感が薄く、過去にも「口先介入」が多く、実効性はあがっていない。

 株価低迷は米ナスダック市場の落ち込みと米経済の失速、日本の赤字財政に嫌気をさした外国機関投資家の日本売りなどが影響しているようだが、誕生したばかりのブッシュ政権が米経済をハードランディングに導くはずはない。日本も、構造改革で米国に繁栄をもたらしたIT(情報技術)革命を推進、経済を活性化させることが先決だ。

 それには通信コストの引き下げと、光ファイバー網の敷設など超高速通信インフラの整備が優先する。通信界では5月実施を目指しマイラインの獲得競争が熾烈だが、米国並の低料金にするにはさらなる努力が必要だろう。同時に積弊を抱えた各種制度の構造改革を断行しなければならないだろう。