第367回(8月1日)ウナギの話(1) 土用丑の日は鯰蒲焼が代用品
 7月30日は土用丑の日だったが、ウナギの価格は鰻登り。庶民の手が届かなくなり、養殖鯰 (なまず) が鰻蒲焼に取って代わろうとしている。ニホンウナギの稚魚であるシラスウナギは、半分以上を中国 ・ 香港や台湾から輸入されているが、2014年に国際自然保護連合 (IUCN) の絶滅危惧種に指定され、資源管理が強く求められている。高値で取引される稚魚のヤミ流通が多く、昨年から価格が高騰した。このまま密漁が続けば3年後のワシントン条約締約国会議で取引規制の対象になる可能性がある。規制前に日本が自主的に稚魚の輸入制限を議論する必要があろう。私は5月11日の衆院水産委で漁業災害補償法改正案について質問した。成立した改正法は、シラスウナギの高騰や供給量の減少で損害を受ける漁業者の養殖共済の魚種にウナギを追加するものだ。長崎でもトラフグ、ヒラメ、あわび、ウニなどの陸上養殖が盛んになってきたが、ずさんな資源管理の改善は急務である。

秋刀魚も 中 ・ 台 が北太平洋で乱獲
 秋刀魚も中国や台湾による北太平洋の公海での漁獲量が急増するばかりだ。秋刀魚など漁業資源の持続可能な利用を目指す 「北太平洋漁業委員会 (NPFC)」 が日本の主導で発足しているが、有効な枠組みは未だ出来ていない。原油安で沿岸漁業の燃費問題は一息ついたが、水産行政に多年、関わってきた議員として、日本古来の大衆的味覚のウナギ、秋刀魚をふんだんに食卓に乗せる努力を続けたいと念じているところだ。 「土用の丑の日は江戸時代の学者 ・ 平賀源内が知り合いのウナギ屋を繁盛させる宣伝方法として発案した」 ―― 読売は7月18日の朝刊で一頁のウナギ特集を掲載した。同28日の紙面では 「日 ・ 中 ・ 韓 ・ 台湾 の4カ国 ・ 地域は2014年に稚魚を守る枠組みを決めたものの、密漁の横行に歯止めが掛からず、今年6月のウナギの平均価格は 1kg当たり4639円 で、前年同月より 1割程度高く、10年前の2倍に跳ね上がった」 と報じた。前回HPでは鯨の話を取り上げたが、今回は読売の記事などを参考にウナギの話を書いてみた。

15年からウナギ養殖は国の許可制
 ニホンウナギはグアム近くの太平洋 ・ マリアナ海溝付近で産卵され、体長 1~5cm のレプトセファルスになって北赤道海流に乗ってフィリピン横を通り、体長 6cm、0.2g 程度のシラスウナギにに育った後、台湾近くで黒潮に乗り換え、日本や中国などの河口付近に集まる。漁期は12月から翌年4月ごろだが、黒潮沿いの台湾、中国が早く採取するので、半分以上が両国からの輸入品だ。市場に流通するニホンウナギは、輸入品を含めて養殖物が大半で、稚魚を採取して育てる。読売によると、16年の稚魚の国内漁獲量は 13.6トン と、200トン 前後あった1960年頃に比べ、1割以下の水準 (水産庁調べ)。4カ国 ・ 地域は14年、養殖場に入れる稚魚の量を減らす枠組みを決め、稚魚を守ることにした。15年は14年より2割減らし、16年、17年も同じ水準を維持する。ただ、強制力はないため、同会議は15年6月以降開かれず、密漁や密輸が後を絶たない。日本に輸出すれば高値で取引されるからだ。水産庁は2015年からウナギ養殖を国の許可制とし、採取者側に出荷先なども報告させるよう各都道府県に通知。養殖業者側には使用した稚魚の量と仕入先の報告を義務付けている。

ワシントン条約規制なら輸入激減
 日本では九州、四国の全県や関東など24都府県 (研究目的の山口県を除く) で許可された約2万人が採取し、漁獲量を都府県に報告する仕組み。稚魚は指定された集荷人や問屋などを経て養殖業者が買い取り、半年から1年ほど育てて出荷する。水産庁は養殖業者が扱う稚魚の量から、輸入稚魚を差し引いたものを国内漁獲量として算出。2015年漁期は (14年末 ~ 15年 春)は15.3トンだった。これに対し、採取者側が各都府県に報告した漁獲量の合計は5.7トンで、6割以上は流通経路が確認できていない。11~14年漁期も半分以上が出所不明で、不明分は採取者が稚魚の一部を非正規のルートに回したものが多いと見られる。3年後に野生動物の輸出入を制限するワシントン条約の規制対象となれば、中国や香港からのシラス輸入は途絶え、流通量が激減する恐れがあり、価格はさらに高騰する。日本は古くから夏バテ防止にウナギの蒲焼を食べる風習があり、ウナギの大消費国。多くを中国などからの輸入で賄ってきたが、貿易制限やシラスウナギの不漁で供給量は激減、2015年は5万1140トンで、ピーク時 ・ 2000年の3割程度でしかない。     

直接産卵で養殖の技術も開発済み
 アメリカウナギもニホンウナギと同様、IUCNが絶滅危惧種としているが、昨年は神奈川県相模原市のスーパーで 「ウナギの肝」 として売られた製品には、熱帯に多いオオウナギと、フィリピンやインドネシアなど東南アジアの亜熱帯に分布するバイカラーの2種が含まれていたことが判明した。このようにニホンウナギの代替種として、資源管理が不十分な東南アジアなどのウナギが増えていることは問題だ。水産研究機関では稚魚採取ではなく、ウナギに直接産卵させて養殖する技術開発も進んでいるが、資源管理ですら満足に出来ない現状では国際社会の理解が得られない。政府は流通実態を含め早急に全体像を把握し、規制ルールを確立しなければなるまい。 (以下次号)