第337回(4月28日)切れ目ない安保法制⑭ 延長し特別委で安保法制審議
5月連休明けの後半国会は安全保障法制とアベノミクス第3の矢(成長戦略)関連の重要法案審議に入る。政府与党は15日前後に安保関連一括法案を閣議決定した後、21日にも衆院本会議で趣旨説明と質疑を行い、衆院特別委員会での審議をスタートさせる考えだ。連日開催できる衆院特別委の委員長には浜田靖一・元防衛相、筆頭理事には江渡聡徳・前防衛相が起用された。民主党内では保守系議員と労組系議員の間で、安保政策を巡り意見対立が顕在化しているため、岡田克也代表は早急に党内議論をまとめ、20日に予定されている首相との党首討論で安保法制を質していく考え。安保審議は衆院だけでも80時間程度の審議を見込んでいるが、民主党の高木義明・国対委員長は「80時間の議論で済むような法案ではない。国連平和維持活動(PKO)協力法案は3国会にまたがった」と話していることから、与党は6月24日までの通常国会の会期を8月上旬のお盆まで延長する方針である。

例外なき国会承認で与党協議決着
 安保法制を巡る与党協議は4月21日、公明党が自衛隊海外派遣の歯止め措置として強く求めた「例外なき国会の承認を義務付ける」ことを自民党が受け入れ大筋決着した。これを受けて政府は24日、国際社会の平和と安全などの目的を掲げて戦争している他国軍を後方支援する恒久法の「国際平和支援法案」と周辺事態法を改正する「重要影響事態法案」など計10本の現行法改正案を説明、両党は了承した。首相が28日の日米首脳会談で最終合意した日米防衛協力の指針(ガイドライン)改定との整合性を図って5月11日に正式合意、15日前後に閣議決定し国会に一括提出する。国際平和支援法の条文案は ①自衛隊を派遣して他国軍を支援する事態を「国際平和共同対処事態」と規定、現に戦闘行為が行われている現場でなければ補給や輸送などの後方支援が出来る ②内閣は実施前に基本計画を沿えて国会の承認を求めねばならない ③戦闘参加者の捜索や救助は捜索者が発見されて救助中に戦闘が始まった場合、例外的に戦闘現場でも認めることがある――などが内容。公明党が求めた 「歯止め3原則」 の ①国際法上の正当性(国連決議) ②国民の理解と民主的な統制(国会承認) ③自衛隊員の安全確保――は 国連総会や国連安保理決議、国会承認に限定の形で条文に盛り込まれた。 首相がご執心の中東での停戦前の機雷掃海も念頭に策定された。

座長案に14日間の承認努力規定も
 これに先立ち、政府は17日の与党協議に安保法制整備の全体像を示したが、公明党が上記のように自衛隊派遣の「歯止め3原則」を求め難色を示したため、同協議の高村正彦座長(自民)と北側一雄座長代理(公明)が調整した結果を高村・北沢案にまとめて21日の協議に提示した。同案は、恒久法について「自衛隊の派遣命令前に例外なく国会の事前承認を義務付ける」ことが柱。「国際平和支援法」は、従来よりも戦争の前線に近いところで他国の軍隊に食料や燃料などを補給する活動を想定しているが、高村・北側案では、国会の事前承認について「(自衛隊活動の)基本計画を添えて承認を得なければならない。緊急の必要がある場合、国会閉会中または衆議院が解散されている場合であっても国会を直ちに召集するなど所要の手段を尽くす」との“例外なき事前承認”とした。ただし、首相が派遣承認を国会に求めた場合は「7日以内に各議院が議決するよう努めねばならない」という努力規定も示された。これは衆参で計14日以内に承認することを求めたものだ。

閉会中や衆院解散時は事後承認
 また、自衛隊が派遣されてから2年を超えて活動を続ける場合は、基本計画と報告書を国会に出し、新たな承認を得ることを盛り込み、その場合、国会閉会中や衆院解散時には、例外として事後承認も出来るとした。紛争後の人道復興支援に自衛隊を派遣する国連平和維持活動(PKO)協力法改正に関しては、停戦監視活動と安全確保活動を国会承認とし、閉会中や衆院解散時は事後承認を求めることにした。座長案は政府案に全て盛り込まれた。自民が公明に譲歩した結果、協議は前進、両党は同案を党に持ち帰って協議した上、大筋で合意、24日に正式決着した。当初の17日に政府が示した法整備の全体像は①重要影響事態法案はわが国の平和と安全に重要な影響を与える事態で米軍や外国軍隊などを支援するが、周辺事態法から「周辺事態」の文言を削除して改正、目的は日米安保条約の効果的運用に寄与することを中核とする②国際平和支援法案(恒久新法)は国際社会が共同で対処しわが国が積極的に寄与する必要がある場合を「国際平和共同対処事態」として外国軍隊等を支援、国連が事態対処の活動を認めるか、決議をすることが要件③PKO 協力法改正はPKOのほかに「国際連携平和安全活動」を追加、国連決議、国際機関などの要請が要件で、PKOに従事する他国軍隊を保護する「駆け込み警護」を可能にする④武力攻撃武力攻撃事態法改正は集団的自衛権を行使する「存立危機事態」を追加、「わが国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がない」ことを対処基本方針に記載する――などだ。

日米同盟は効率的、抑止力強化へ
 首相は20日の民放番組で、「日米の同盟関係はより効率的になる。抑止力は強化される」と手放しで喜んだ。しかし、朝日は「自衛隊に活動範囲は大きく広がり『専守防衛』の理念のもと自衛隊に課せられていた様々な制約は取り払われることになる・・・米軍などとの連携強化も地球規模で一気に進めようとする。『多弱』といわれる野党はチェック機能を果たせていない」と指摘したように、マスメディアの多くは懸念を表明している。民主、維新の党など野党は「PKO協力法案は3国会にまたがった」ことを理由に、慎重審議を求めており、後半国会の与野党攻防は激しくなりそうだ。   (以下次号)