第331回(2月1日)切れ目ない安保体制⑧ 島嶼防衛強化など最大予算
 政府が1月14日に閣議決定した2015年度予算案は歳出総額約96・3兆円と過去最大だが、防衛費も前年度比約1000億円増の4兆9801億円で過去最高。14年度補正予算案には与那国島部隊拠点整備費や装備品調達費など2110億円を計上、これを合算した防衛費は5兆1911億円となり、概算要求額の5兆0545億円を上回った。防衛費は02年度をピークとして減少傾向にあったが、昨年7月の集団的自衛権行使を限定容認した閣議決定を踏まえ中国の海洋進出を睨んだ島嶼防衛の強化に重点を置いた。このため、第2次安倍政権発足以降3年連続の増額となった。これは中期防衛力整備計画(中期防)を超えるペースだ。防衛省は離島防衛・奪還作戦の実働部隊となる「水陸機動団(仮称)」を30年度までに編成する方針。昨年11月に機種選定した垂直離着陸輸送機MV22オスプレイを5機(516億円)、水陸両用車AAV7の 30 両(203億円)を調達。最新鋭ステルス戦闘機F35を6機(1032億円)購入する。警戒・監視活動の強化策では無人偵察機「グローバルホーク」3機分の主翼部分などを取得するため154億円を計上し、新型早期警戒機E2D1機と訓練用シュミレーターや整備機材費(232億円)も取得する。沿岸監視体制の整備として、沖縄県与那国島の監視隊拠点整備費に2億円、鹿児島県奄美大島の南西警備部隊の配備に32億円を計上した。

沖縄予算は前年度より4・6%削減
 海上自衛隊の国産新型哨戒機P1は来年度以降の負担を含め、長期契約で20機(3504億円)を纏め買いし、約417億円の縮減効果を図る。イージス艦に搭載する最新防空システム「イージス弾道ミサイル防衛システム」を2隻分一括調達し、約109億円節約する。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設経費は、後年度負担を含む契約ベースで1736億円。補正も合わせた前年度分(843億円)の倍額を上回った。一方、沖縄振興予算は前年度から162億円(4・6%)減らし3339億円とした。沖縄予算は近年、普天間への移設が過熱するのに伴って増大、10年度の2298億円から14年度は3501億円と1・5倍に増え、内閣府は概算要求で3794億円を要望していた。それだけに野党は、先の沖縄県知事選で辺野古への移設に反対して当選した翁長雄志知事に対する、安倍政権の厳しい姿勢の表れと見ている。しかし、5年ぶりという減額分の大半は約140億円減となった沖縄独自の一括交付金で、那覇空港の滑走路増設事業には14年度と同じ330億円を確保し、公共事業費全体では微増となっている。政府は一括交付金には繰越しが多いと指摘しており、菅義偉官房長官は「繰越や不要額は、国の財政が厳しい中で査定するのは当然。仲井真弘多前知事と約束した3千億円は、はるかに多く確保している」と説明、翁長知事の予算陳情に応じなかった。

尖閣諸島の領海警備に大型巡視船
 海上保安庁は15年度予算案に「戦略的海上保安体制の構築費」として14年度当初比52%増の371億円を盛り込んだ。沖縄県の尖閣諸島周辺での中国公船による領海侵入や東京都の小笠原諸島沖での中国漁船による「宝石サンゴ」密漁など日本周辺海域での違法行為に対処するもので、尖閣諸島周辺の領海警備に専従する大型巡視船26隻の建造・整備費として116億円を計上。この26隻を平成27年度中に就航させ、全12隻体制の尖閣専従チームを完成させる。
 (以下次号)