第326回(11月13日)切れ目ない安保法制 ③日米豪が潜水艦共同開発
  主要20か国・地域首脳会議(G20 サミット)が15,16の両日、豪州で開かれる際、日米豪は3カ国首脳会談を開き、軍事協力を話し合う。日豪は既に10月中旬の防衛相会談で豪州の新型潜水艦について共同開発に向けて協議を開始することで合意しているが、3か国首脳会談ではこの開発に米国が加わることが打ち出される。これは豪州政府が艦体は日本製、システムや兵器は米国製の導入を希望しているからだ。この背景には太平洋やインド洋で海洋活動を活発化させる中国に対し、日米豪が軍事的な連携を強化して抑止力を高める狙いがある。オバマ米大統領がアジア太平洋地域を重視する「リバランス(再均衡)政策」にも合致するものだ。豪州は現在、潜水艦「コリンズ型」を6隻保有するが、2030年代後半までに退役時期を迎えるため、順次更新することを計画している。エンジンやスクリューなどが最も優れた海上自衛隊の「そうりゅう型」を導入したい意向だが、コリンズ型は米レイセオン社の戦闘システムを導入しており、米国との相互運用性を重視し、これまで通り米国の巡航ミサイルなど兵器・戦闘システムや通信機器を採用したい考えだ。

新防衛装備移転3原則で共同開発
 「同盟国である米国以外に豪州ほど緊密で高いレベルの協力をしている国はない。特別な戦略的パートナーシップを深化させたい」――江渡聡徳防衛相は10月16日、ジョンストン豪国防相との会談で、冒頭こう強調し「準同盟国」である豪州と安全保障面での関係強化を確認した。会談では①潜水艦の共同開発・生産に向けた協議開始②日豪、日米豪の共同訓練強化に向けた取り組み推進③日米防衛協力の指針(ガイドライン)の中間報告を豪側が支持④最新鋭のステルス戦闘機「F35 」を通じた防衛協力の強化――で一致した。日本は4月に閣議決定した「防衛装備移転3原則」との整合性を慎重に検討し、共同開発の具体的内容を決定する方針だ。新しい3原則は、防衛装備品(武器)の輸出を事実上禁じてきた「武器輸出3原則」に代わって策定。「平和貢献・国際協力」と「日本の安全保障」に繋がる場合に限り、相手国に適正管理を求めるなどを条件に輸出を認めた。具体例では米国や友好国との国際共同開発・生産、警戒監視や救難に使う装備品の輸出を挙げている。

海自の潜水艦は最新技術を結集
 海自の「そうりゅう型」は来年度以降の建造艦で、リチウムイオン電池を導入した最新型で、原子力潜水艦を開発できない日本が技術の粋を結集した最新兵器。このため、日本側には当初、協力に慎重な意見があったが、日豪の安全保障協力と関係強化を重視する安倍首相が慎重論を押し切った。日米豪3か国はこれまで共同訓練の段階に留まっていたが、軍事面での協力関係は新段階に入る。ただ、アボット豪首相が昨年の総選挙で国内軍事産業の保護を訴えたため、豪野党は外国への潜水艦発注を「公約違反」と主張。造船業が集まる南オーストラリア州政府は、潜水艦の海外発注による経済損失が290億豪州㌦(約2兆7千億円)に上ると試算した。このように豪州内には潜水艦輸入・共同開発に反対論が根強くあり、豪政府は新型潜水艦の補修など維持管理は国内で行い国民に理解を求める方針だ。ブッシュ政権の国務副長官を務めたリチャード・アーミテージ氏は、読売3日の「地球を読む」欄で、「豪州は米国と強い紐帯を持ち、日本との連携も強めている。協力の範囲を拡大する上で、堅固な土台を提供するだろう」と新型潜水艦の共同開発を歓迎している。 (以下次号)