第323回(9月30日)農水業改革に課題(番外)3つの水産国際会議
 クロマグロ、ウナギなど枯渇する水産資源や調査捕鯨を巡って、9月には3つの国際会議が開かれた。これを「農水業改革シリーズ」の番外編として追加します。クロマグロは日本の科学的提案が功を奏し、2015年から末成魚の漁獲量を半減、ニホンウナギも同年の養殖量を2割削減することで、それぞれ合意した。しかし、IWC(国際捕鯨委員会)総会では、国際司法裁判所が3月に南極海での調査捕鯨中止を命じたため、日本の調査捕鯨に対し、反捕鯨国から中止を求める集中砲火が浴びせられた。日本は命令に従い、今年の調査を中止し、計画を練り直して来年に調査を継続する方針だったが、反捕鯨国は調査捕鯨を先延ばしする決議案を賛成多数で採択した。決議に基づけば日本は次回の16 年総会で新しい調査計画が議論されるまで南極海での調査捕鯨は出来ず、調査捕鯨は岐路に立たされている。私は自民党捕鯨議連(鈴木俊一会長)の事務局長として、16年総会までの2年間、反捕鯨国との対立緩和に一層努め、鯨、マグロ、ウナギの伝統的な日本の食文化を守り抜く決意だ。

未成魚マグロ漁獲量の半減合意
 最初の国際会議は9月1~4日まで福岡市で開いた「中西部太平洋まぐろ類委員会」((WCPFC)小委員会。参加9カ国・地域がそれぞれ2015年以降の末成魚の漁獲量を02~04年の平均より半分に減らすことで正式合意した。12年の未成魚の漁獲量が1406㌧で、大半を日本に輸出している韓国は「サバの巻き網漁でもマグロが捕れてしまうので、目標達成は難しい」と半減に難色を示したが、日本は「マグロ漁は昼、サバ漁は夜の操業が一般的なので混じることはない」と反論、科学的な根拠に基づく半減論を主張して韓国を押し切った。科学的根拠は国際科学機関の調査で、10年以内に成魚の資源量を回復させるには半減以外の選択肢はないというもの。成魚の12年資源量は約2万6千㌧と過去最低水準に落ち込んでいるが、12月の総会で新規制が採用されれば、24年までに4万3千㌧まで回復する見通しだ。東太平洋の漁獲規制は10月の「全米熱帯まぐろ類委員会」(IATTC)の臨時会合で議論され、日本はここでも半減を提案するが、メキシコが反発しており紛糾が予想される。

ニホンウナギ稚魚も2割減らす
 一方、ニホンウナギの稚魚(シラス)は減少傾向にあり、1970年代半ばに約50㌧あった国内の漁獲量は13年に5・2トンまで激減したうえ、4年続きの不漁で、価格は1時、1㌔当たり248万円にまで高騰した。6月には国際自然保護連合(IUCN)がニホンウナギを「絶滅危惧種」に指定。16年のワシントン条約会議で、輸出入の規制対象とされる可能性があった。このため、日本、中国、韓国、台湾は16,17両日、東京で4カ国・地域の非公式協議を開き、ニホンウナギの稚魚を養殖池に入れる養殖量を15年は今年より2割減らすことで合意した。日本は4・5㌧減の21・6㌧となる。今回の枠組みは法的拘束力のない「紳士協定」との位置づけで、実際の資源管理は、11月までに各国・地域がそれぞれ作る民間の自主管理組織が担う。日本は10月にも養殖業者などが自主管理組織を作り、過去3年の実績に応じて各県に削減量を割り振る考えだ。しかし、農水省の宮原正典顧問が「資源保存の第1歩。これで完全に資源保護ができるとは思はない」と強調したように、枠組み作りを最優先させたに過ぎない。中国や台湾は、世界最大の消費国・日本に養殖したウナギの大半を輸出しており、規制対象になれば「中国のウナギ産業は壊滅する」(農水省)といわれ、削減に反発したが、危惧種指定措置を恐れ2割削減に応じた。だが実効が上がるかどうかは疑問だ。

日本の調査捕鯨を遅らす決議採択
 2年に1度のIWC総会は、15日から4日間、スロベニアのポルトロージュで開催され、日本の南極海での調査捕鯨を遅らせる狙いで提出したニュージーランドの決議案を賛成多数で採択し閉会した。決議に拘束力はないため、日本は従わず、来年12月頃に調査捕鯨船団を出港させる方針を改めて表明したが、豪州や米国、南米諸国は国際司法裁判所が3月、南極海での調査捕鯨中止の判決を下したのを盾に、反対姿勢は強硬で修正協議は決裂。反捕鯨国との亀裂は一層深まった。現行手続きでは、日本は来年5月のIWC科学委員会で新しい調査計画の審査を受ければ、来冬から南極海の調査捕鯨は再開できる。だが、司法裁判決は、日本が2005年度以降のクロミンククジラの捕獲上限を、それまでの倍近い850頭前後に引き上げた根拠が不十分だと指摘。実際の捕獲数がほぼ毎年、計画を大幅に下回っている現状を踏まえ、「科学研究のための調査とは言えない」と決め付けた。これが反捕鯨国にとっては「切り札」になり、総会決議では、科学委員会の審査に加え、隔年に開催する総会でも計画内容を議論し、何らかの勧告を出すまでは調査をしないよう求めている。

捕鯨議連が調査継続法案を提出へ
 また、沿岸域でミンククジラ17頭を捕獲する商業捕鯨を求める日本の提案も否決された。深刻な事態を重視した捕鯨議連は次期総会までの2年間、反捕鯨国への説得活動を続けるとともに、調査捕鯨の安定的・継続的な実施を確保する法案を議員立法で提案する検討に入った。法案は①調査捕鯨は鯨類の科学的知見の向上、文化の継承に重要な役割を果たす②しかし反捕鯨団体の妨害活動、調査副産物の販売不振などにより、調査体制は極めて脆弱になった③このため新法を制定し、調査捕鯨を行うものへの支援、妨害行為に対応する措置を定め、海洋水産資源の持続的利用に寄与する――を基本的な方針とする考えだ。(完)