第318回(7月16日)農水産改革の課題(3)開門問わず1日49万の制裁金
この衆院農水委質疑の翌12日、国には制裁金支払いの義務が生じたため、林芳正農水相は記者会見で、「極めて残念。最高裁には可能な限り早期の判断を頂きたい」と語り、同日夕には開門に反対している中村法道長崎県知事と農水省で会い、国と有明海沿岸4県による話し合いを要請した。しかし、中村知事は「参加は難しい」と拒否。林農水相はその後も、「話し合いの糸口を掴む努力をする」と繰り返し述べている。諫早開門調査を巡っては、国が開門しない場合、1日49万円の制裁金支払いを佐賀地裁が命じ、福岡高裁もこれを支持。国は最高裁に抗告している。一方、長崎地裁も、開門した場合に、同額の支払いを命じており、国は開門してもしなくても支払い義務を負っている。農水省は同日、熊本市内で佐賀県の漁業者らと支払い方法を協議した結果、制裁金は1ヶ月単位など、一定期間ごとにまとめて同県漁業者側弁護団の銀行口座に振り込むことを申し合わせ、7月10日に1回目(6月12日から7月9日まで28日分)の1372万円を支払った。諫早開門問題は佐賀県などの漁業者が干拓事業で漁業被害を受けたとして堤防排水門の開門を求める一方、長崎県など干拓地の営農者らは農作物の塩害などを理由に開門に反対。そこに佐賀、長崎両地裁が相反する司法判断を下したことが混迷を深めている。だが原因は、開門を命じた福岡高裁判決に対し、当時の菅直人首相が長崎県に相談もなく上告を断念したことが発端だ。私は農水委質疑の度に菅氏の責任を追及、同氏の参考人招致を絶えず要求している。

――6月11日の衆院農水委員会質疑応答(要旨)の続きは次の通り――

北村 昨年11月には長崎県の漁協長会、今年の4月には、有明海沿岸4県の漁連の代表者が来て、それぞれ要望等を開陳しているが、この要望に対し農水大臣は今後どのように取り組んでいくのか。開門問題を解決するための大事な要素ではないかと私は考える。

増養殖技術・貧酸素水塊対策と取り組む
 林芳正農水相 今年の4月4日、有明の4県漁連代表者から有明海の再生に関して要望を受けた。有明海の再生は、国としても大変重要な政策課題であると認識しており、増養殖技術の開発、赤潮、貧酸素水塊の発生機構の解明、今話があった覆砂、海底耕うんの実証事業などに取り組んできた。また今水産庁長官から答弁したように今年度からタイラギの種苗生産技術の開発も一緒になって取り組んでいる。4県の漁連から頂いた要望書の内容、関係者の御意見を踏まえながら、引き続き有明海再生の各種事業に取り組むとともに、平成27年度以降の有明海再生関係事業についても、より効果的な方法も含めて検討して参りたい。

二枚貝に影響する酸処理剤の科学調査を
北村  ぜひ積極的に取り組み、特に、水産庁を督励して頂きたい。再生策を協議、検討するための話し合い等は、あたかも世間には全く何の話し合いもないかのような印象を与えているかもしれないが、有明海漁場環境改善連絡協議会が、国、関係県の合意によって設けられ、熊本の九州農政局はその事務局として中心的に働いているから、改めて会議を設けるよりも、この協議会に、知事、副知事が話し合いの場に事務方とともに参加して、水産振興策を検討会議で協議をすることができる。平成27年度以降の有明海水産振興策も、この協議会の場で、水産庁の主催として、具体的に検討を行えばよいではないか。これは私の意見として述べておく。一方、有明海の疲弊している海水浄化能力については、二枚貝が減少したことが原因であるという有力な研究報告がある。二枚貝の減少は、ノリの酸処理剤を使用することで、それに関わって、プランクトンに対する異変、あるいはプランクトンが酸素を消費することによって、海底の腐泥に関する化学的な極端な変化が起きて、毒素が発生したりして貝類が死滅、あるいは立ち枯れするという経過が出ているとの研究成果がある。水産庁は昭和59年、「海苔養殖における酸処理剤の使用について」という、適正な処理、処分を行うように、水産庁次長の通達を関係都道府県知事に行っている。このことで、酸処理剤が使えるというお墨つきを出したということに世の中ではなっている。しかし、この酸処理剤による二枚貝に対する影響は非常に著しいものがあり、酸処理剤の使用について、農林水産省は、事実関係の把握に手抜かりがあるのではないか、という疑いの気持ちを私は持っている。しっかりと科学的調査を行うことで、酸処理剤がいかなる影響を与えたか、与えなかったか、について、今後、農林水産省、また政府の関係連絡機関でぜひ調査検討し、酸処理剤が二枚貝に与えた影響、有明海の生産力の低下に至ったという研究結果もあるわけだから、しっかりと取り組んで頂きたいと思う。
  前の質問で述べたが、今日のテレビ報道によっても、国は、開けることも閉めることもならぬという司法の決定を受けているから、開ける・閉めることを前提にした話し合いの場は持てるわけもない。長崎県知事も、積極的に国、関係機関との協議に取り組んでしかるべきと私は考えるし、個人的には県に対して関係者に対してもお勧めしたいと思っている。

血税で1日49万円支払うは前内閣の責任
 一方、国が49万円とか支払わなければいけなくなった制裁金の話だが、国が国がと言うけれども、言わずもがな、これは国民の税金だ。国民の税金をこれだけ払わなきゃいかぬという結果を来した原因は何か。この決定を下した時の内閣、そして内閣総理大臣は、職を離れられてからも、自分が上告しないという決定は適切であり、正しかったと申されている。産経新聞等は、「そうではない」ということを報道しているし、私も以前からそう思っている。だから、国会議員としての現職にある本人の名誉のためにも、言論の府である国会の良識をただす意味でも、御本人を、ぜひ当委員会に参考人としておいで頂き、本当に正しいことをなさった、正しいことが行われて、その上で、裁判の今の状況によって、国がお金を関係の人々に支払わなければいけないという状況になった、この政治責任というものをどうとるのか。日本の政治家の政治責任のとり方は甘いと私は指摘せざるを得ない。これを許すことはできないので、ぜひ、委員長、理事会で本件の取り扱いについての協議と結論を出して頂くことをお願い申し上げ、質問を終わる。    (以下次号)
注=農水産改革はあと2回連載