北村の政治活動

 (平成14年4月16日) 長崎で捕獲調査船団公開 54回IWC開催

 今年は1月の鹿児島、2月の茨城と鯨の座礁が多発した。地磁気が狂って進む方向を誤ったのか、シャチなどの天敵に追われたのか、それとも餌を求めて浅瀬に乗り上げたのか。いずれにしても鯨の頭数が増えたことに間違いない。4月25日から1ヶ月間、山口県下関市の「海峡メッセ下関」で第54回国際捕鯨委員会(IWC)が開かれる。同委員会は公開であるため、学者や関係団体代表、動物愛護団体、マスコミ取材陣など約500人が集まるという。わが国は「人口急増の解決策として鯨資源の管理と合理的利用(捕鯨)を図るべきだ」と強く主張する。だが、欧米中心に商業捕鯨再開に断固反対する国は多い。特にアングロサクソン民族は捕鯨に反対し、総会の会場でも異様な熱気が漂うという。IWC
は科学委員会を皮切りに作業部会などを順次開き、5月20―24日の4日間は閣僚出席の本委員会(総会)となる。我々衆院農水委員会メンバーも総会には多数参加する予定だ。

 毎年2千頭の捕獲可能

 これに先立ち、日本捕鯨協会などは4月20日から2日間、長崎港の常盤埠頭で南氷洋ミンク鯨捕獲調査船団の一般公開を行う。調査母船の日進丸(7575トン)と目視採集船(720トン)の2隻で、両船の船内公開、南極氷山の写真やパネル展示、パンフ・鯨ヒゲ・鯨雑煮の無料提供、埠頭岸壁での鯨肉や鯨缶詰の頒布・販売などのほか、郷土芸能も披露する。日本の捕鯨は、82年のIWCで科学委員会の意見を無視した反捕鯨国の多数決により、モラトリアム(一時停止措置)の決議を採択、88年3月以降商業捕鯨が中断されている。その後、長年にわたる調査の結果、南氷洋にミンク鯨が76万頭以上も生息し、極めて厳しい管理方式を適用しても、「100年間に毎年2千頭の捕獲が可能」とIWCの科学委員会は試算している。にもかかわらず商業捕鯨の再開を恐れる反捕鯨国は、南氷洋海域を鯨のサンクチュアリー(禁猟区)とする決定を94年のIWC総会で通過させている。

 捕鯨賛成は75%

 当然、日本政府はこの決定に異議を申し立て、商業捕鯨の再開に向けて地道な努力を重ねた結果、昨年の英国・ロンドンで開かれた第53回IWC総会では、日本の主張・提案に理解が深まる状況になってきている。内閣府が実施した捕鯨問題世論調査によると、@科学的根拠に基づき、資源豊富なミンク鯨等を対象に各国が捕鯨することに賛成75.5%(反対9.9%)A鯨資源が管理されていれば、社会的、文化的、歴史的な意義を持つ日本の沿岸捕鯨に賛成71.9%(反対10.4%)Bサンマやイカなどを餌として食べるイルカや鯨が漁業資源に与える影響を日本沿岸で科学的に調査することは必要81.3%(不要6.9%)C鯨を神聖な生き物と特別視し、資源豊富なミンク鯨などの適正量捕獲すらも禁止すべきとの考えに賛成22.6%(反対53.0%)――との結果が出た。

 食習慣・食文化を尊重

 これに対し、環境・動物愛護団体のグリーンピースはインターネットを通じ「この調査は意図的だ」と厳しく非難しているという。繁殖力の強い鯨種に限って捕獲を容認したWWF(世界動物保護基金)日本支部にも抗議が殺到、前言を撤回したそうだ。反捕鯨国の圧力は強い。第54回国際捕鯨委総会には森本稔IWC日本政府代表、小松正之水産庁資源管理部参事官、畑中寛水産総合研究センター理事長、伊藤嘉章外務省漁業室長らが出席する。日本としては世論調査をもとに@鯨類資源は他の生物資源と同様に国連環境開発会議(UNCED)で合意された持続的開発の原則に基づき利用されるべきだA鯨を含め野性生物資源の管理は、最良の科学的事実に基づいて実施すべきで、感情や政治的要素を管理に持ち込むことは適切でないB人口の急増による食糧供給不足解決のため、鯨類資源を含む世界の海洋資源の管理と合理的利用を図るべきだC食習慣・食文化はそれぞれの地域の環境により歴史的に形成されてきたもので、相互尊重の精神が必要だ――と主張する方針。

 鯨の補食量3−5倍に

 総会で日本側は、海洋生態系の中で鯨が海洋生物をどれだけ補食するかなど、鯨類の役割解明に重点を置いて、日本が実施してきた第二期北西太平洋鯨類捕獲調査(捕獲上限はミンク鯨100頭、ニタリ鯨50頭、マッコウ鯨10頭)の00年―01年の2年間にわたった予備調査の結果を報告する。同時に、今後の本格調査計画では捕獲上限をミンク鯨150頭、ニタリ鯨50頭、マッコウ鯨10頭、イワシ鯨50頭に増やすことを提案、各国の理解と支持を働きかける。鯨類による海洋生物資源の補食量は年々増加し、FAO(国連食糧農業機関)によると、「世界の海面漁業生産量(9千万トン)の3−5倍に当たる2.5−4.4億トンに達した」と推定、日本が行ってきた調査捕鯨の正しさを裏付けている。

 捕鯨の一時停止を撤廃

 FAOは量的な漁獲勢力の削減を強く求めながら、一方では01年3月のFAO水産委員会で、鯨類の補食が漁業に与える影響に関する調査を進めることを全会一致で合意、同年11月のレイキャビック会合で鯨類の胃内容物調査の推進をうたい上げている。このような状況からわが国は、漁業資源の管理に当たって、鯨の補食を考慮に入れた“鯨の利用”(捕鯨)を含めた管理が重要であることを各国に訴えていく方針だ。つまり、鯨類資源の新しい管理方式については、唯一未決定の監視取り締まり制度を完成し、商業捕鯨のモラトリアム(一時停止)を撤廃、改定管理制度(RMS)の下で捕鯨の再開を目指している。

 鯨禁漁区も廃止へ

 また、わが国沿岸捕鯨については、商業捕鯨再開までの暫定措置として、資源に影響がないと証明されている日本沿岸のミンク鯨を50頭の枠で暫定捕獲することを引き続き要求する。さらに、79年に設置されたインド洋鯨類サンクチュアリー(禁漁区)は、何の成果も見られず不要であると主張。豪州、ニュージーランドが南太平洋に、ブラジルが南大西洋に鯨類サンクチュアリーの設定を再度提案していることにも、科学的根拠がないとして反対する構えだ。IWCは昨年のロンドンについで9年ぶりに日本で開催、来年はドイツの北部都市で開く予定。久々の日本開催だが商業捕鯨再開に向け頑張ってもらいたい。

 鹿児島に14頭漂着

 FAOの補食量調査を見るまでもなく鯨は増えている。1月22日、鹿児島県川辺郡大浦町の小湊干拓に14頭のマッコウ鯨が漂着、1頭を救出したが13頭は翌日死滅した。鯨の漂着は、漁師らが「節変(せっがい)の時化」と呼ぶ時化続きの悪天候で、4メートルの波が荒れていた。鹿児島新報は、人口3千人弱の小さな町の人たちが救出から死骸処理までの11日間、悪戦苦闘したことを詳細に特集ている。それによると、「海面は血で赤茶色に染まり、どの鯨も傷だらけで尾ビレもボロボロ。苦しそうにばたついていた」という。何しろ40−50トンもあるマッコウ鯨だ。最大8トン積みのヘリコプターでは吊るせないし、台船で引っ張ろうにも時化で作業は難航し、13頭はたちまち息絶えた。

 処理費用9千万円

 水産庁が昨年7月、沿岸自治体に通達した「鯨類の捕獲・混獲死の取り扱い」では、座礁して死んだ鯨の処分方法を「埋却または焼却」と指示してあるが「海中処分」はない。焼却処分した場合、1頭当たり110万円前後の費用が掛かるという。各地の水族館から「骨格標本にしたい」との問い合わせもあり、大浦町は砂浜に埋葬する計画を立て、台船やクレーン車などを使ってトレーラーに積み込もうとしたが、悪天候と鯨の急激な腐敗が進んで作業は失敗に終わり、やむなく海中処分にした。この費用は当初、地元で1430万円と見積もったが最終的には9千万円も掛かったという。このうち国と県が3分の2の費用を折半、国は2800万円の補助金を出したが、残りを地元で負担できないため、さらに特別交付税1000万円を支出した。それでも地元は数百万円の持ち出しで苦しんだ。

 地磁気で鯨がーダー故障?

 座礁の鯨などは病原菌に犯されている恐れもあり、特にマッコウ鯨は腐敗が早いため、政府は衛生上の問題から昨年7月に漂着鯨の食肉を禁じている。だが、大浦町の地元では「鯨は天からの授かりもの。こんなに出費増になるなら即刻解体して町民の食卓に載せた方がはるかによかった」と悔やまれている。歯鯨のマッコウ鯨は1頭に40本もの堅い歯が生えていて、印鑑用などに1本20万円で売れることから、解体すれば1頭の歯だけでも800万円は稼げ、鯨の処理費用に回せただろうという。鯨が漂着するのは@地磁気の変動で鯨類の持つレーダー機能が故障するA餌を追い込み過ぎて遠浅の砂浜に気づかず突進するBシャチなどの天敵に追われて座礁するB“種の保存”の法則に従い、数が増え過ぎた鯨が集団自殺する――などが考えられる。

 禁漁で生態系狂わすな

 集団自殺に近いのが茨城県波崎町のケースだ。同町の海水浴場に2月24−25日の両日、カズハゴンドウ鯨が初日10頭、2日目85頭の計95頭が波打ち際に5キロにわたって打ち上げられた。体長2−3メートルで、マッコウとは比べものにならない軽量。イルカほどの大きさなので処理がしやすく、同町とアクアワールド大洗水族館の職員が救助作業に当たり、2日間で35頭を海に帰したが残り60頭は死んだという。死骸は焼却、埋設処分とされたが、このうち、7頭は行方不明で軽自動車やトラクターで持ち帰るところを目撃されている。「これまでも打ち寄せられた鯨は自宅へ持ち帰っていた。今回も煮て食べた」との証言もあり、鹿児島とは違ってかなりの頭数が食用に回ったと見られる。私の郷里でもかつては小型鯨類を食べる習慣があり、鮮度さえ良ければ問題はなかろう。ましてBSE騒ぎで牛肉に不信感が持たれている現状では商業捕鯨の再開こそが救世主だ。世論調査ではないが「社会的、文化的、歴史的な意義を持つ日本の沿岸捕鯨」を認めないと、鯨が増え過ぎて他の魚類の補食が進み、海洋生態系が狂わないかと気懸かりですらある。