第308回(2月16日)離島防衛に自衛隊法改正へ グレーゾーン解消
 尖閣諸島などで不測の事態が起きた場合、法制上の「グレーゾーン」をどう解消するか。
首相は4日、官邸で開いた政府の有識者会議「安全保障の法的基盤再構築懇談会」(座長=柳井俊二・元駐米大使)で、①外国潜水艦が領海侵入し、退去に応じない場合②警察や海上保安庁では対応できない離島への上陸侵害――を例に挙げ、対応策の検討を求めた。この「安保法制懇」の答申を待って、秋の臨時国会に自衛隊法の改正案を提出する方針だ。現行の自衛隊法は、自衛権に基づく「防衛出動」を、他国から武力攻撃を受けた場合などに限っており、社会の秩序維持を目的とした警察権に基づく「治安出動」や「海上警察活動」では、対応しきれない法制上の「グレーゾーン」と指摘されている。法制懇会議では「現行法では自衛隊の任務に応じて合理的に武器を使用する規定が不十分だ」といった意見が続出、首相の要請に応えて法整備を図る必要があるとの認識で一致した。安保法制懇は4月に報告書を提出するが、尖閣諸島を含む南西諸島での離島上陸に備え、①領域警備などの新たな任務の追加②自衛隊の武器使用制限の拡大③出動手続きの迅速化――を自衛隊法改正の柱に据え、領域警備は首相または防衛相の指示で迅速に対応できるように改正を求める考えである。離島防衛はわが選挙区、佐世保の自衛隊が防衛の主軸を担っており、私も党の政調副会長として自衛隊法改正が早期に実現できるよう、鋭意取り組んでいる。

統合機動防衛力強化の中期防
 政府は昨年12月17日、外交・安保政策の包括的な指針「国家安全保障戦略」、今後10年程度の防衛力整備の指針となる「改定防衛大綱」、「次期中期防衛力整備計画」(中期防)の3防衛策を閣議決定した。新年号のHPで詳報したので簡潔に述べるが、首相の「積極的平和主義」のもと愛国心も盛り込み、近い将来の集団的自衛権の行使容認、武器輸出3原則の見直しも視野に「統合機動防衛力」を整備する内容。中期防の計画内容は、①米軍が沖縄に配備した新型輸送機オスプレイ17機を自衛隊にも導入②無人偵察機3機、水陸両用車52両を新規購入③軽量で空輸もできる機動戦闘車99両を整備④最新鋭ステルス戦闘機F35を次期中期防の期間中に28機を先行購入⑤空中給油機も現行の4機に3機を追加――など離島の防衛を重視するとともに、⑥領土・領海の警戒監視体制強化のため、沖縄・那覇基地にE2C早期警戒機の部隊を新たに編成⑦陸上自衛隊の編成も見直し、離島に武装漁民などが不法上陸する事態を想定し奪還できる水陸両用部隊を創設⑧部隊を機動的に運用する複数の「機動師団」や「機動旅団」を新設⑨北朝鮮の核・ミサイル開発の動きを睨みイージス艦も2隻追加し8隻態勢にし「敵基地攻撃能力」の強化――などを盛り込んだ。

報告書巡り与党内調整は難航か
 「アジア太平洋地域の安保環境は厳しさを増している。自国のみで国の安全を完全に守れる国はない」――首相は5日の参院予算委で集団的自衛権の行使を禁じた憲法解釈の見直しに改めて意欲を表明した。施政方針演説で初めて集団自衛権行使の憲法見直しを取り上げた首相は、参院予算委でも「今(集団的自衛権を行使でき)ないことによるデメリットに直面している。その中で国民の生命、安全を守り、領土領海を守る上で課題はないかという議論をしている」と述べ、①憲法の解釈変更②法的根拠の整備③行使するかどうかの政策的判断――が必要になるとの認識を示した。「安保法制懇」が4月に提出する報告書を踏まえ対応を検討する方針だ。首相が政策の部分(パーシャル)連合を期待する日本維新の会、みんなの党は「我々は“責任野党”である」とし集団的自衛権の解釈見直しに賛成しているが、生活の党は「いびつな安保政策は平和と両立しない」と反発。公明党の山口那津男代表も憲法解釈の変更に反対の姿勢を崩さず、日中韓関係を懸念し、靖国参拝や武器輸出3原則の見直しにも批判的。従って報告書を巡る与党内調整は難航すると見られる。