北村の政治活動

 (平成14年3月16日) 依然火種の医療改革 年内に抜本改革3柱

 政府は3月1日、医療制度改革関連法案を閣議決定し、国会に提出した。これで、サラリーマンの医療費自己負担の3割引き上げを巡る小泉純一郎首相と自民党厚生関係議員との対立は、一応終止符が打たれた。しかし、この攻防の中で最終的に合意された「医療の抜本改革」は、これまで何度も提案されながら見送られてきた経緯がある。02年度予算案の年度内成立が確定したため、私の属する衆院厚生労働委での医療改革法案の審議がヤマ場を迎えるが、与野党双方に3割負担の修正を求める声が強いことから難航しそうだ。委員会審議が混乱して継続審議ともなれば、首相が衆院解散を断行するとの見方もある。

 意地とメンツの争い

 サラリーマン3割負担の実施時期を巡る首相と厚生議員の対立について、朝日などは「田中真紀子外相の更迭で内閣支持率が急落した首相が、3割問題を政治的シンボルとして、構造改革路線を強調して支持率回復を図ろうとした。厚生族議員は、党の支持団体である日本医師会が受信抑制に繋がる患者負担引き上げに反対したことから、『抜本改革なくして負担増なし』と反発した。つまり、意地とメンツの争いだ。結局、抜本対策を落としどころに、どちらが先に引き下がるかを試すチキンゲームを展開した」とシビアに解説した。

 負担増なしでやれる

 確かに小泉首相は衆院予算委の審議入り前に「3割も抜本改革も両方やる」と党側に切り返し、02年度中に与党内で調整し抜本改革の基本方針を出すことで、強引に決着を図った。その柱は@医療保険制度の一元化A新しい高齢者医療制度の創設B診療報酬体系の見直しーーの3項目。3項目は、丹羽雄哉・党医療基本問題調査会長(元厚相)が主張していたもの。丹羽氏らが来年4月からの3割負担引き上げに反対した最大理由は、「来年4月からサラリーマンのボーナスからも保険料を徴収するため、厚生労働省の試算でも自己負担増なしに、政府管掌健康保険は十分やっていけることが明白になった」ことだ。

 高齢者医療を抑制

 診療報酬の改定で保険財政に余裕も出てきそうだ。丹羽氏は朝日のコラムで、「高齢者医療費は、国民医療費30兆円のうち11兆円を占め、その約7割が現役世代の保険料で賄われている。高齢者医療費が抑制されれば、現代世代の保険料も減り、保険財政も相当余裕が出る。(負担増は)その効果を見極めてからでも決して遅くはない。医療制度の抜本改革をしないまま先取りでお金を集めれば、改革は永久に先送りされ、自己負担はやがて4割、5割と重くなる」と述べ、高齢者医療の抑制策と同時に、社会保険の徴収一元化、診療報酬体系の見直しなど、負担増前に実施すべき抜本改革を提唱した。

 なぜ国民だけ二重負担

 とくに丹羽氏は「医療機関、患者、保険加入者の三方一両損と首相は主張するが、患者と保険加入者は同じ国民だ。国民だけがなぜ二重負担をしなければならないのか。もう一方の官も改革の痛みを負うのが筋ではないか。社会保険庁の全国54の病院などに投入されている巨額の政管保険料にメスを入れることも必要だろう」と指摘している。元々、医療費の自己負担増は、安易に患者にしわ寄せすべきではないとして、「医療制度の抜本改革」が条件とされてきた。定額負担だったサラリーマン本人の医療費が1割負担になったのは84年。それが5年前に倍の2割に引き上げられた。しかし、負担増の度に叫ばれてきた抜本改革は見送られてきた。今回は1割アップといっても50%の引き上げになる。

 解散の引き金避ける

 今年こそ抜本改革に道筋を付けるときでる。だが、医療保険を一元化するには、健保制度の面で経済基盤が違うサラリーマン、自営業者の合意が不可欠だし、高齢者医療制度の創設にも、技術面で将来の消費税や保険料引き上げなど、新たな財源が必要になってくる恐れがある。このように医療制度改革は多くの問題を抱えている。法案の処理状況が衆院解散の引き金にならないよう十分に配慮し、慎重審議していきたいと私は考えている。
医療改革関連法案のあらましは次の通り。(朝日新聞参照)

 {患者負担}サラリーマン家庭の医療費負担は来年4月から3割(現行は本人2割、家族は入院2割、外来3割)に引き上げる。ただし、付則で、「将来も3割を上限とする」と歯止めをかける。70歳以上の高齢者は、今年10月から外来の月3千円(大病院は5千円)の上限や1回800円の診療所に支払う定額負担を廃止、1割の定率負担を徹底する。一定以上の収入がある人(夫婦2人世帯で年収約630万円以上)は2割負担。3歳未満の乳幼児は3悪から2割負担に引き下げる。

 {保険料}中小企業の従業員が加入する政府管掌健康保険の料率は来年4月から8・2%(現行7・5%)に引き上げる。厚生労働省試案では、月給30万円、ボーナス1・9ヶ月、年収417万円の政管健保加入者のモデルケースで、保険料8・2%で年額17万1千円の負担となり、現在の15万5千円と比べ負担は1割増え、過去最大の上げ幅となる。

 {高齢者医療}老人医療費の伸び率を抑える方策は、厚生労働相が指針を定め、自治体に助言をしたり、援助したりするという強制力のない訓示規定に止めた。医療制度抜本改革の諸施策は付則に盛り込んでいる。02年度中に@保険者の統合・再編A新しい高齢者医療制度の創設B診療報酬体系の見直しについては基本方針を策定。特に高齢者医療制度は、その後2年をめどに創設する。概ね5年をめどに政管健保の組織の見直しを検討する。