第285回(3月1日)政調副会長の役割3 下水道老朽化と復旧対策(下)
 下水とは生活排水や事業排水の「汚水」と「雨水」を合わせたもの。汚水と雨水を1本の管渠で集めたものを合流式下水道、別々の管渠で集めるのを分流式下水道と言う。平成23年度末の下水道処理普及率は約76%だが、東日本大震災で下水管渠総延長6万5千キロのうち、被災延長は656キロが被害を受けた。ナショナルミニマムとして普及してきた下水道の最大課題は①大震災からの復旧・復興②未普及地域の解消③防災・減災対策の推進④資源エネルギーとして利用推進⑤水ビジネスの国際展開――の5つ。管路の総延長は44万キロ、処理場数は約2200箇所だが、下水道未普及の上位には岡山、新潟、和歌山、松山、大分、さいたま、高知など県都の10都市が名を連ね、名古屋市に近い人口密集地の清洲市は普及率0という有様だ。国土交通省は(社)日本下水道協会と共同で平成23年4月12日に「下水道地震・津波対策技術委員会」を設置、昨年5月18日に耐津波対策などの報告書をまとめた。

汚泥を発電所燃料や肥料に活用
 国交省はこの報告書をもとに25年度予算の重点・新規事業を策定した。それによると①東日本大震災の復旧・復興と地震・津波対策を推進、ゲリラ豪雨の都市浸水対策を重点的に実施②管渠の点検・改築の緊急実施、改築に際しては長寿命化の計画策定を義務付け、包括的な民間委託など効率的な維持管理策の導入を促進③人口減少を踏まえた計画の見直しなど下水道経営の健全化④再生可能エネルギーの利用や合流式下水道の緊急改善など低炭素・循環型社会への取り組み推進⑤国際貢献と官民連携による水ビジネスの国際展開――の5大テーマを推進する。この中で同省が意欲的に取り組んでいるのが④の資源・エネルギー利用の推進だ。下水処理場の沈殿池に溜まる汚泥は約220万トンあり、8割の有機分が下水道バイオガスや固形燃料として発電所のエネルギーに利用可能、発電可能量は年36億キロワットで、約100万世帯の年間電力消費量に匹敵する。バイオガス発電は都市ガス原料として東京、横浜など全国約30箇所で実施されている。また有機分はリン肥料や土壌改良材にも利用される。2割の無機分は、セメント原料、レンガ・骨材など建設資材に使われる。

凍南ア等に水ビジネス協力展開
 下水は大気に比べ、冬は暖かく、夏は冷たい特質がある。年間を通じて平均的に大気と5度の温度差があるため東京・文京区、千葉市、岩手・盛岡市で地域冷暖房などに利用され、「低酸素まちづくり」に貢献している。⑤の「水ビジネス国際展開」も重要な施策。新技術の開発や実用化を加速させ、下水道事業のコスト削減や再生可能エネルギー創出を実現、海外展開を支援するため、「下水道革新的技術実証事業(B-DASHプロジェクト)」を23年度から実施した。2国間協力は、中国の清華大学に准教授を派遣し中国南部の都市水再利用をテーマにリスク評価などを協同研究。ベトナムとは平成22年末に下水道分野の協力覚書を締結、ハノイ市の下水処理場、ホーチミン市の浸水対策などにJICAの長期専門家を派遣。マレーシア、インド、インドネシアなど東南アやサウジアラビア、カタール、南アフリカ、ブルガリアなどにも技術協力と個別支援プロジェクトを提供した。特に日本電工、東レなどの下水道膜処理技術は優れており世界市場の5割を日本企業が占めている。資源・エネルギー再生でも先進的な技術開発を進めており、官民連携による国際展開は益々有望になってきている。私も自民党サイドから災害の防災・減災はもとよりこれらの施策を大いに推進する考えだ。国民の生命と財産を守る「国土強靭化」の推進は喫緊の課題である。
   (完)