第284回(2月16日)政調副会長の役割3 下水道老朽化と復旧対策(上)
 農水担当の政調副会長に加え、新たに副幹事長、組織運動本部長代理、下水道・浄化槽対策特別委員長、航空政策特別委副委員長などを拝命、多くの党役職が増えました。下水道、航空行政は前任の国土交通部会長として取り組んできた課題。高度成長期に整備された道路、住宅、下水道などの社会インフラは築後50年を経て老朽化した。それに3・11の大震災や液状化で急速な復旧・防災・減災が求められる。汚水処理人口普及率は88%(長崎県は75・2%)で未だ1500万人分の汚水が適切に処理されていない。下水道処理人口普及率は75・8%(同58・6%)だが、徳島、和歌山、高知県などは15 ~34%台で整備が低く、愛知県は名古屋都心の人口密集地に未普及地域が数多く残っている。一方、下水汚泥をバイオガスや固形燃料化して発電や自動車の燃料に活用し、下水熱を地域冷暖房に利用する都市も増えている。また「水ビジネス国際展開」の一環としてベトナム、インド、サウジアラビア、南アフリカなど東南ア・中東・アフリカとの間に下水道分野の政府間協力の覚書締結も進んでいる。今回は下水道の現況について問題点を取り上げてみたい。

国土強靭化基本法案を再提出
 「真に必要な社会インフラ整備を着実に進める」――安倍首相は1日、参院本会議の与党代表質問でこう答弁。大胆な防災事業や高速道・下水道整備などを進める「国土強靭化基本法案」を今月中にも再提出する意向を示した。自民党は老朽化した道路、橋、鉄道、建造物の点検・補修などの対応が大震災対策に不可欠であるとし、昨年6月に同法案を国会に提出したが審議されずに廃案となった。自公両党は1月29日、防災・減災プロジェクトチームを設置、同法案に修正を加え再提出する方針だ。「国土の均衡ある発展」を謳った同法案は「10年で200兆円規模の投資を目指す」構想であるため、民主党が代表質問で反対した。東日本大震災では11都県132町村の下水管渠総延長6万5千キロのうち、被災延長は656キロで1月15日現在の復旧延長は343キロと約半分。下水処理場は129箇所が被災し、そのうち48箇所が稼動停止したが、その後復旧が進み、応急対応は5箇所程度に減るほど復旧した。しかし、千葉県浦安市の埋立地が液状化現象で多くの被害が出たように、下水管路施設の老朽化が原因の道路陥没は平成23年度に約4,700箇所で発生している。
老朽化の基本的な対策は、予防保全の資産管理を行う「アセットマネージメント」の推進で、施設の長寿命化にある。

復興対策と安心・地域活性化
 30年以内にも予想される首都直下型地震、東海・東南海、南海地震など大地震への対応は緊急の課題。国土交通省は24年度補正予算のポイントに「復興防災対策」と「暮らしの安心・地域活性化」を掲げ,①老朽下水管路による道路陥没や処理機能低下を未然に防止する下水道管渠の点検・改築を緊急に実施②都市部の浸水被害を軽減する雨水幹線やポンプ施設の整備③下水道整備による良好な都市・水環境の形成④下水汚泥バイオマスの活用による再生エネルギー創出――を推進する。平成25年度予算は「命と暮らしを守るインフラの総点検」と「生活空間の安全確保・質の向上」を目指し、下水道事業の概要では①地方公共団体の経営力強化②民間事業者の競争力強化③他業界との融合によるイノベーション(技術革新)④国内外同時展開による一体化⑤先進・成功事例の水平展開⑥相互向上の仕組み構築⑦人材・資金確保で共感を生む広報――など7つの戦略を挙げ、下水道事業費補助・調査費など事業費は61・7億円(国費53・5億円)を計上した。予算規模は24年度の事業費76・6億円(同59・0億円)より少ないが、バイオマス(動植物から生まれた生物資源)の下水道汚泥を燃焼させてエネルギーに変える「下水道汚泥バイオマス発電システム」の技術的な検証を行うため、事業提案の公募を5日(20日締切)から始めている。