第280回(12月1日=統合版②)2事故・航空行政など6課題質す
 自民党”影の内閣”の1員である国土交通部会長として、私は9日の衆院国交委で羽田雄一郎国交相の所信表明に対する党の代表質問を行った。質問項目は緊急課題である①エレベーター事故②万里の長城遭難事故③JAl優遇の航空行政④官制談合関与事件--など6項目を質し、国交省の監督責任を厳しく追及した。昇降機、山岳遭難の2事故とも真に遺憾で許しがたい事案である。シンドラー社製のエレベーターによる死亡事故は18年6月にも発生。観光庁はようやく本日(9日)、立ち入り検査に入ったというが、私は国交省が消費者庁と連携し対策を急ぐよう求めた。万里の長城の遭難事故はアミューズトラベル会社が平成21年7月にも北海道大雪山系トムラウシ山で、8人が低体温症死したツアーを企画していた同じ会社。しかも、社員が長城の下見もせずに企画したという杜撰さだ。観光庁には登録旅行業者の安全管理体制をどう監理・監督しているかを質した。航空行政では、国交省が公的支援のガイドラインを策定する場合はJALに有利となるため、なぜ公的支援を受けたJALの上場を急いだのか、など日本航空の経営再建を取り上げ、他の会社との公平公正な競争環境を確保すべきだと糺した。
<北村が衆院国交委で質問した1問1答の要旨は次の通り。>

消費者庁と連携し対策急げ
  北村 6項目に渡り広範囲に尋ねたい。最初はエレベーター事故の対応だ。平成24年10月31日に金沢市内ホテルで、再びシンドラー社製のエレベーターによる死亡事故が起きた。同社製では同18年6月にも死亡事故が発生している。国はその教訓を踏まえ、安全基準を強化したと思うが、ドアが開いたまま動いて事故が起き、真に遺憾きわまりない。第1に18年の事故についてどのように原因を究明し、対策を取ったか。2番目に、同じ製造者による事故が発生したことはこれまでの検討、対策が不十分だったのではないか。古いエレベーターは放置されたままで新基準が適用されていない、前に事故を起こしたエレベーターと同じ型式、製造年だったとの報道もある。安全基準をより厳格にする必要がある。国交省は消費者庁に設置された消費者安全調査委員会と連携、調査、協力を図るべきではないか。
川村秀三郎大臣政務官 前回の港区シティハイツ竹芝エレベーター事故の後、社会資本整備審議会建築分科会建築物等事故・災害対策部会で事故原因の調査と対策の検討を重ねてきた。平成20年2月26日に再発防止対策等の報告を取りまとめ、同21年9月8日に事故調査報告書を公表した。国交省はこれを踏まえ新設エレベーターは安全装置の二重化である戸開走行保護装置の設置を義務化した。いわゆる二重ブレーキだ。既存のエレベーターについては新技術開発を促すため平成24年度予算でモデル事業を実施した。モデル事業は戸開走行保護装置の低コスト化、工期の短縮化などが目的。また、安全保護を設置したエレベーターが利用者に明らかになるよう設置機には安全を表示するマーク制度を創設した。このほか、同24年4月から法定の定期検査の検査方法とか判断基準の厳格化等を講じてきた。今回の事故では、特定行政庁の金沢市が当日、国交省は翌日に現地調査を実施。戸開走行保護装置の設置促進と同装置の設置マークの活用を促し、11月6日付で特定行政庁、関係団体に通知した。シンドラー社のエレベーターは全国で8千台あるが、緊急点検をすることで今、専門家と細部を詰めている。今後は昇降機等事故調査部会の調査結果を踏まえて、さらなる戸開走行保護装置の設置促進策を検討していきたい。この義務付けを既存のものにもやるべきだとのご指摘だが、改修のため大きな経済的負担や、長期間にわたって使用が制限されることで国民生活に大きな支障が生じるため、改修の機会を捉えて適合させることが基本的な考えである。
北村 まさに重なる大変不幸な、しかも原因が明確な事柄に対して、国が安全管理を徹底させたい意欲がありながら、その手立てを打てないことは国民に申し訳ない。折角自動停止装置の義務化、設置促進のための制度を作ったスタートとしたのだから、国がさらに手を尽くすべきだ。     〈川村政務官は前回の答弁を繰り返すだけ〉

事業者に安全風土の社風構築を
北村 次もまた不幸な悔しい遭難事故だ。11月3日、万里の長城付近で登山ツアーの日本人が強風と大雪で遭難、3人が死亡した。ツアーを企画したアミューズトラベル会社は平成21年7月にも北海道大雪山系トムラウシ山で、8人が低体温症死したツアーの企画会社。平成22年3月、観光庁は同社に対し、ツアー登山の企画内容、実施体制について総点検や改善を求め、厳重注意を行った。また、同年12月、旅行業法違反で業務の一部を51日間停止処分にした。その後数回にわたる立ち入り検査の結果、観光庁は昨年12月、問題ないと判断したが、同様の事故がこの社のツアーでまた発生した。許しがたい大問題である。政府の対応は適切であったのか。今回の万里の長城事故について政府はどんな情報を把握しているのか。観光庁が3年前の事故で講じた措置は十分であったのか。立ち入り検査はしたか。報道によると、ツアーは今回が初めてなのに、社員が現地の下見もせずに企画したという杜撰さだが、観光庁は登録旅行業者の安全管理体制をどう監理監督しているのか。最後に鉄道、自動車、海運、航空の運送事業者に運輸安全マネジメント評価制度を適用させ、経営トップに安全意識の浸透や安全風土と言うべき社風をきちっと構築させることが必要ではないか。
井手憲文観光庁長官 今回のアミューズトラベル会社は、ご指摘の通りトムラウシ山で8人が遭難したツアーを企画した同じ会社で、立ち入り検査後に業務停止処分にしたこともご指摘の通り。この会社から事情を聞いているが、本日立ち入り検査に入り、何が事故再発に繋がったか見極めていきたい。旅行業界全般に対しても、ツアー登山の安全についての注意喚起を改めて急ぎ通達した。安全管理体制の指揮監督は旅行業法の方で「旅行会社は営業所ごとに旅行業務取扱管理者を選任しなければならない」と言う仕組みであり、この管理者の選任について厳しくチェックしていく。同法の遵守状況は立ち入り検査を通じ随時確認しているが、さらに緊急時の連絡体制につき定期的に旅行会社から報告を受けている。特に登山ツアーは前回の事故後21年11月から22年3月にかけ山岳ガイド専門家が議論してまとめた「旅行業者が行うツアー登山の安全確保」という通達を出し、特別な監督を行ってきた。いわゆる運輸安全マネジメント制度は輸送機関を自ら運行する運輸事業者の取り組み強化を図るものだが、ご指摘のように旅行会社も何らかの組織的な安全マネジメントの必要性があるか、今後検討していきたい。

他社と公平公正な競争確保を
 北村 人には3回忌、7回忌があるが、事もあろうに外国に行ってこのような形で亡くなり外国に迷惑をかけたことは、亡くなったご本人に対して真に申し訳なく、悔しく恥ずかしいことだ。本当に実のある対策を上げてほしい。次に航空会社関連で、JAL(日本航空)の経営再建で、他の会社との公平公正な競争環境の確保、大手2社を中心とする航空体制のあり方を尋ねたい。国交相はガイドラインの制定等、不公平を改善する措置を講じないまま、なぜJALの上場を急いだのか。上場を終えた今となってガイドラインを作った場合、公的支援がなくなったJALに適用されるのか。今後に起こるかも知れない同じようなケースの適用ならば、全日空など競合他社に対し適用されるものであり、この場合、ガイドラインがあることで競合するJALに有利になるのではないか。
田村明比古航空局長 日本航空はわが国の発展基盤である航空ネットワークの重要な部分を担っていることで、その再生のため公的支援が行われた。一方、公的支援で航空会社間の競争環境が不適切にゆがめられることがあってはならない。現時点では、運賃やサービス面で利用者の利便が損なわれるような不健全な競争環境にあるとは認識していないけれども、足元の決算では全日空と日本航空との間で業績差が生じたことも事実。この業績差が今後、健全な競争環境に影響を与え、利用者利便の維持向上に支障が生じる恐れがあることを否定できない。このため、国交省は8月10日に「日本航空の企業再生への対応について」の方針を発表。当面の成長戦略であるJALグループの2016年までの中期経営計画の期間、日本航空再生の進捗状況を監視し、必要に応じて指導助言を行う。8月10日の方針には、不適切な競争環境の歪みを生じないよう、公的支援と競争環境を検討して頂く小委員会を昨日、交通政策審議会の航空分科会に設け、JALの再生過程で講じられた支援措置、その分析と評価、諸外国の公的支援と競争環境の確保に関する事例の調査等を通じて、公的支援のガイドライン策定を含めた競争政策の在り方を検討してもらう。ガイドラインが今後公的支援を受ける競合他社に不利にならないかとの問題も含め、小委員会で議論を頂きたいと考えている
北村 わが党は7月、ガイドラインを設けて不公正の是正措置を講じることや国民生活に不可欠な路線維持の支援を求め、JALの再上場を見合わせるべきだとの意見とともに決議した。ガイドラインの制定措置を講じないまま再上場されたことは極めて遺憾であった。小委員会を昨日設置し、真摯な議論をしていくことを期待する。発展基盤の航空ネットワークを維持することは大変重要としてJALを救済した訳だが、国内では多くの新規航空会社が運航を開始、10年以上の実績を重ねて1部は国際線に参入を狙い、3つのLCCが国内・国際線を開設し、シエア拡大の努力をしている中で,昔からのJAL,ANAの2大手航空会社体制を展開する意義は那辺にあるか。昨今は航空会社の過剰供給と言われているが、第二のJALが生まれる懸念はないのか。離島路線の一部では国庫補助制度もあるが、それ以外の地方路線が切られることはJALの経営破綻を見ても明らか。主要路線だけがメリットを受けるのではなく国民全体が安心して割安に利用できる地方航空ネットワーク確立に踏み込んだ施策を講ずるべきだ。
田村局長 先ほど申した「日本航空の企業再生への対応について」は航空産業ビジョンの策定に向け、平成25年度中に結論を得る。地方航空ネットワーク維持の問題も路線維持の支援策をしっかり議論して頂く。

官製談合の抜本・改善策示せ
 北村 公正取引委員会は10月17日、国交省と高知県が発注する土木工事に関し、職員による入札談合等関与行為が見られたため、官制談合防止法に基づく改善措置要求を行い、同省において入札談合等関与行為が繰り返し行われている事実を踏まえ、確実に再発防止するために効果的な改善措置を要請した。入札談合は独占禁止法が禁止するカルテルの典型的事例であり、最も悪質な独禁法違反行為の1つだが、これを防止する先陣に立つべき国交省の職員が入札談合に繰り返し関わったことは真に遺憾だ。平成19年、21年に行われた公取委の改善措置要求に基づく官制談合防止の取り組みがどのようで、どう改善が図られたか。こうした改善策が図られたのに再発した。政府全体とした改善を図り新たなシステムを構築する必要があるのではないか。地方議員出身の1人として地方経済、地域社会の雇用の関係から建設産業と入札制度の重要さを感じている。官製談合の認識と対応策を聞きたい。
伴野豊副大臣 ご指摘の通り極めて遺憾なことと認識し、大臣の強いリーダーシップのもとで私が本部長となり、職員一同、いかに改善できるか、緊張感、危機感を持って対応している。
                                                   (完)