北村の政治活動

 (平成14年2月10日) 税制改革が始動  シャウプ以来の大改革か

 景気刺激の減税か、それとも財政再建の増税かーー。所得税の確定申告期という、国民の関心が税制に集まっている中で、小泉改革の最重要課題である税制改革論議が1月17日、政府税制調査会(首相の諮問機関、石弘光会長)の総会で始まった。「新年早々からというのは異例な姿だが」と首相が政府税調メンバーにハッパをかけたように、例年の税制論議は年末の予算編成に合わせて審議を始め、自民党税調と政府税調がボールを投げ合う中で方向が決まっていた。それを1年近く早めた取り組みである。古来税制は政治そのもの。党税調のメンバーではないが、私も大いに関心を抱き財務金融部会に顔を出している。

 課税最低限の引き下げ

 首相は早期の衆院解散について否定的発言を続けているが、「国政選挙がない時は思いきった改革を断行する」と述べ、戦後税制の基盤となったシャウプ勧告以来の大税制改革に着手、構造改革の目玉に据えたい意向のようだ。政府税調総会では「21世紀に対応する、あるべき税制」を幅広く検討するよう要請。この中で「誰もが負担し、誰もが報われる税制を目指す」と強調、財界人との昼食会でも「課税最低限の引き下げが民主主義でも大事だ。消費税引き上げよりも筋道として正しい」と所得税課税最低限の引き下げについて強い意欲を示した。首相は最近、「増税なき財政再建」と言わなくなっており、消費税の見直しについても柔軟姿勢を見せている。増税指向が強いと見るべきだろう。

 4人に1人は免税

 02年度予算案は辛うじて国債発行額を30兆円の枠内に封じ込めたが、この借金体質は来年度以降も変わらない。首相は「将来の財政基盤を安定させ、施策を支える税制はどうあるべきか」を念頭に置き、当面、国政選挙がないとなれば、多少人気が落ちても今のうちに増税論議を高めておく方が得策と考えているようだ。所得税の課税最低限は現在、基礎、配偶者など各種控除が積み重なった結果、夫婦に子供2人のサラリーマン世帯で約384万円と、主要国では最も高い水準にある。ちなみに米国は約300万円、英国約137万円、フランス役280万円で、低所得層にも納税義務がある。ところが、日本は4人に1人が所得税を払っていない勘定だ。民主党は前回の総選挙で「“苦い薬”だが、課税最低限を引き下げる」と公約した手前、最低限の引き下げには理解を示している。

 低い国民負担率

 また、国民負担率(国民所得に占める税と社会保険率の比率)は、01年度予算ベースで36・9%。50%以上の欧州諸国よりは遙かに低い。そこで国民負担アップの点からも、財務省は「課税最低限の引き上げでも、消費税率の引き上げでも財政再建に繋がればどちらでもよい」と首相の姿勢を歓迎している。塩川正十郎財務相は「今の直間比率は異常ではないか」と、むしろ消費税率の見直しに期待を掛けている。しかし、自民党内では性急な財政再建に走ればデフレ傾向を加速するとして、課税最低限の引き下げに反発や慎重論が多く、麻生太郎政調会長は持論である景気刺激型の税制改革を訴えている。

 累進税率緩和や相続税軽減

 つまり減税を優先し、経済活性化に伴う税収増で財政再建も図ろうとするもので、麻生会長は、課税最低限の引き下げと同時に、最高税率も下げて累進税率の構造をなだらかにするなど、国民の“やる気”を引き出そうとしている。竹中平蔵経済財政相も景気刺激型の税制改革に傾きつつあるようだ。このほか、税制改革の主要テーマとして、法人課税では投資促進税制の創設、資産課税では土地税制、貯蓄重視から投資重視に切り替える株式譲渡益課税の見直し、消費税では福祉目的税化の是非などが検討されよう。道路公団改革との関連で首相が意欲を見せる道路特定財源の一般財源化、地方交付税制度の見直し、環境税の創設なども討議される。公明党の冬柴鉄三幹事長は「中小企業の後継者に対する相続税の得点を認めるべきだ」と主張しているが、こうした相続税・贈与税の軽減もテーマに上がろう。