第265回(4月16日)列島の四海波高し(中)中国海空合同訓練
  中国の新華社通信は中国国家海洋局の巡視船「海監50」と「海監66」の2隻が3月17日、東シナ海の日中中間線に隣接するガス田「白樺」(中国名・春暁)と「平湖」の周辺で、他の巡視船4隻や巡視ヘリも加わった海空合同訓練を実施したと報じた。「海監50」は最先端機器を装備した新たな旗艦。「海監66」は最速の巡視船で、2隻は16日午前6時ごろ沖縄・尖閣諸島(中国名・釣魚島)付近の日本領海に侵入して約25分間も巡視活動を行った。日本の海上保安庁の巡視船の追跡を受け、8時間半後に同水域を離れガス田「白樺」に移ったという。佐々江賢一郎外務次官は同日、中国の程永華中日大使を呼び、「非常に深刻で容認できない」と抗議したが、中国海洋局は異例にも巡視活動の開始直後に「釣魚島の主権問題についての中国政府の一貫した姿勢を示している」と主張。17日のホームページ上でも「わが国の主権と管轄権を示すことができた」と自慢した。これは10年9月、尖閣諸島周辺で中国漁船が海保巡視船へ衝突した事件以来、「尖閣諸島周辺は中国の領有、管轄する海域である」と主張してきたことの既成事実化を狙ったものといえよう。

核心的利益を損なうと中国抗議
 政府は3月2日、日本の排他的経済水域(EEZ)の基点でありながら無名だった計39の島に命名したと発表し、尖閣諸島でも久場島周辺の3島、大正島周辺の1島に名前を付けた。また離島のうち所有者がいない23か所について、昨年8月に国有財産法に基づいて国有財産とする手続きを行っていたことを公表した。これらの離島は東京都小笠原村や沖縄県石垣市、長崎県対馬市などに所属しているが、藤村修官房長官は3月7日の記者会見で「(国有財産化は)周辺に本土または所有者が明確でない、無主なものについて実施した。尖閣は該当しない」と述べ、尖閣周辺の離島を除外したことを明らかにした。尖閣諸島は既に主要3島のうち大正島は国有財産、久場島と魚釣島は私有財産だが、国が賃借し、管理している。こうした日本の動きを察知した中国は早くも1月17日、共産党機関紙「人民日報」で、「釣魚島(日本名・尖閣諸島)に付属する島々に命名しようとする企ては、おおっぴらに中国の核心的利益を損なおうとするふるまいだ」と初めて主張、ネットなどにも転載した。また、中国外務省は27日、南シナ海の島々はもとより、東シナ海についても、「釣魚島などの重要な島々を書き漏らした『問題地図』がいまだに存在し、ネットなどに使われ、国益を損なっている」と指摘、中国側に不利益な地図を追放する姿勢を示した。

露骨に尖閣諸島の領有化目指す
 中国の言う「核心的利益」は①国家主権②国家の安全③領土保全④国家の統一⑤国家の政治制度と社会の大局の安定⑥経済、社会の持続的発展への基本的な保障――と定義した「絶対に譲らない利益」だ。台湾やチベットのほか、周辺国と領有権を争っている南シナ海も指している。今年は日中国交正常化40周年。東シナ海を「協力と友好の海にする」との日中合意はどこへ行ったか。東シナ海では、日中中間線近くのガス田のうち、両国が共同開発で合意した白樺(中国名・春暁)の条約交渉再開に応じていないうえ、中国の樫(同・天外転)の採掘施設で炎が確認されている。これらは漁船衝突事件の処理を沖縄地検の裁量に任せて船長を釈放するなど、当事者能力を失った当時の菅政権を中国が甘く見て露骨に尖閣諸島の領有化を目指すものだ。12年の国防予算は前年実績比で11・2%増、02年の約4倍に当たる約6700億元(約8兆7000億円)を計上、アジアで米国に対抗する海軍力を整備中だ。遼寧省大連ではロシアから譲り受けた中国発の空母「ワリャーグ」の整備が進展、上海・長輿島の造船所では中国版イージス艦の新造が進んでいる。

国家主権と安全に国防予算増加
 これも、「在日米軍再編計画の見直し」で豪州への海兵隊派遣など南シナ海の領有権問題の関与を強め、「アジア回帰」を打ち出した米国に対抗するためだ。先の全国人民代表大会の李肇星報道官は国防予算を増やす理由について、「国家の主権と安全、発展の利益の保護」と説明している。中国は4月上旬に都内で行う日中国交正常化40周年の記念式典に、当初は王岐山副首相(政治局員)を派遣、日中ハイレベル経済対話を行う予定だったが、急遽取りやめ閣僚クラス派遣に切り替えた。南京事件を巡る河村たかし名古屋市長の「事実とは違う」趣旨の発言や、政府が尖閣諸島などの無人島に命名したことに反発したものだ。
                                                (以下次号)