北村の政治活動

 (平成14年1月16日) 401k年金個人型も開始 人気は今1つ

 運用次第で将来受け取る年金額が変わる確定拠出年金(日本版401k)制度の「個人型」受付が1月から始まった。昨年10月に先行した「企業型」と違って、自営業者や、企業年金のない中小企業のサラリーマンを対象にしたもので、銀行、生命保険、損害保険など全国15の金融機関と主要郵便局で取り扱いを開始、3月末までに大手の証券会社や信用金庫など計86機関で加入申し込みを受け付ける。

 運用実績にうま味

 確定拠出年金法は、昨年の通常国会で私の所属する衆院厚生労働委員会が入念に検討して成立させたもの。この年金が「確定給付」型の企業年金と根本的に違う点は、確定給付年金の年金額が会社ごとにあらかじめ定めているのに対し、「確定拠出」型年金は月々の掛け金(拠出)額が決まっているだけで、受け取る年金額は運用実績によって変わるうま味があること。米国の年金制度「401kプラン」を参考にしたことから、「日本版401k」年金と呼ばれている。

 「企業型」採用は数社のみ

 確定拠出年金は転職先にも引き継げるため、雇用の流動化を促す刺激剤となるほか、株式運用も多くなると見られ、市場の活性化策としても期待された。しかし、株価の低迷とゼロ金利が続いている現状では、有力な運用先が見つからず、「企業型」の制度採用に踏み切った主要企業は日立製作所、トヨタ自動車、外食大手のスカイラーク、ソフトウエア大手の日本オラクルなど数社に止まっている。これには、米国の実体が影響している。

 夢破れた年金長者

 米国の「401kプラン」は90年代の好景気を背景に普及した。とくに転職の激しいIT(情報技術)などベンチャー企業では、投機ブームに乗って“ミリオン年金長者”を夢見たサラリーマンがリスキーな投資商品に手を染め、ITバブル崩壊の株価下落で損害を被る実体が明らかになってきた。この米国での思わぬ失態が、日本での確定拠出年金の普及に水を差しているようだ。

 高齢化へ長期資金

 そこで、同法制定に携わったものとして法の背景、仕組み、メリットなどを説明したい。終身雇用制、年功序列型賃金に支えられてきたわが国では、右肩上がりのバブル経済が弾けるまでは、まとまった退職金と安定した公的資金や企業年金で老後の不安はあまりなかった。しかし、平均寿命が男性78歳、女性86歳と高齢化が進み、構造改革に伴う企業リストラが猛威を振るう中では、企業が企業年金や退職金を積み立てておくことは難しくなった。一方、労働者も老後の人生設計として、厚生年金や国民年金などの公的年金だけでは足りない分をカバーするための、長期的な資金準備が必要になってきた。

 税制優遇で制度化

 だが、預貯金や定額の個人年金では金利や予定利率が低く、資産はあまり増えない。このため、日本版401kは、運用がうまくいけば受け取る年金額が増えるという本格的な長期投資の老後資金を作る制度を目指し、税制優遇措置などを講じたものだ。それだけに運用に失敗すれば老後の資金が受け取れなくなる危険もあり、利用者の自己責任が厳しく問われる。その仕組みはこうだ。確定拠出年金は公的年金とは別に積み立てる年金で企業が社員のために掛け金を積み立てる「企業型」と自営業者などのための「個人型」がある。

 転職先へ移せる

 「企業型」は、企業と労働組合の合意で導入するかどうかをまず決める。その場合、従業員自身が運用の指示を出さなければならない。制度運営の多くは銀行、保険・証券会社など金融機関が運営管理機関となる。運用商品は、定期預金や利率保証型保険など元本確保型を含み、投資信託など最低3種類以上の金融商品を運営管理機関が提示し、加入者は従来の企業任せでなく自分で運用方法を選ぶ。また、3年以上勤務すれば、転職先にそれまで払っていた積立金を移せる。確定拠出年金がない場合も「個人型」に加入できる。

 自己責任で運用

 これまでの企業年金は、勤続年数が長いほど将来受け取る年金額も多かったが、転職すると一部は退職一時金として受け取れるものの、定年までの勤務者と比べると総額は少なかった。これが転職を抑える一因でもあった。その意味で日本版401kは結果責任、自己責任が伴うものの、運用のうま味で老後の安心が買えるとともに、企業への帰属意識を捨てて自由に転職し、自己の能力をフルに発揮できるメリットがある。これが雇用の流動化を助長し、巨額の年金試算が株式市場に向けられ市場が活性化する要素にもなる。「卵が先か、鶏が先か」ではないが、確定拠出年金の将来展望は開くためにも、まずは景気回復策によって株式相場を一刻も早く元の水準まで復活させることが肝要だろう。