第258回(1月元旦)中国漁船の領海侵犯(上)資源枯渇で凶暴化
 中国漁民が凶暴化し、黄海や東シナ海を荒らし回っている。昨年11月6日と12月20日に中国漁船が日本の領海内で操業して海保庁に漁業法違反で逮捕された。12月12日には韓国の排他的経済水域(EEZ)内で、韓国海洋警察庁の警察官2人が中国漁船の船長に殺傷された。韓国は中国の不法操業漁船を昨年1年間に500隻近く拿捕している。中国漁船が不法操業を繰り返す背景には、黄河の河口などの工場排水による汚染と、トロール船による乱獲で水産資源が枯渇している事情がある。国内総生産(GDP)が世界第2位に躍進した中国は食生活が改善され、日本の寿司・刺身の影響もあって、川魚よりも海鮮料理を好む層が増え、世界の漁獲量の3分の1に当たる年間4千万トンの海の幸を消費するようになった。このまま放置すれば、日本近海の魚類は中国の底引き網で一網打尽に獲り尽くされる。私はたまたま11月6日、「上海航路」開設第1便に乗船して上海から長崎に帰る途中、長崎海保が五島列島南西の鳥島付近で中国漁船長を逮捕した現場を目撃、カメラに収めた。衆院沖縄・北方問題特別委員長を務めた私はことの重大性を意識し、自民党の「領土に関する特命委員会」(石破茂委員長)の視察団を男女群島と鳥島に派遣することを提案、12月9,10両日に五島市を訪問した。時化で離島視察は断念したが五島市役所や五島海上保安署などで政策提言に関する多くの意見を聞いた。3回に分けて報告したい。

韓国警官殺傷で中国船長逮捕
 韓国の黄海沿岸は暮れから年初にかけ、イシモチやタチウオ漁の最盛期。黄海上では近年、不法漁業の中国漁船が韓国当局と衝突を繰り返している。読売によると、漁船乗組員は海洋警察官のボートにガラス瓶を投げつけたり、竹やりや手斧、シャベルを振り回し警察官に抵抗。11月末に拿捕された2隻は、取締船の接近を防ぐため船体から長さ1メートルの鉄棒を数十本突き出し、側面には高さ1・5メートルのフェンスを張り、係官を寄せ付けない工夫をこらしていた。12月の殺傷事件は、漁船に乗り込んだ海洋警察庁の特殊部隊員が機関室や船員室などを捜索したが、船長(42)は操舵室に閉じこもり、ガラス片ようの凶器を振り回し、突入した隊員1人を刺し殺し1人に傷を負わせたため、乗組員8人とともに逮捕した。08年9月にも警察官が中国漁船員に頭を殴られ海に落ち死亡した。殺傷事件を契機にソウルの中国大使館前では市民団体が集会を開き、中国漁船の模型を潰すなど抗議。これに対し、中国のネット上には反韓デモの呼びかけがあり、北京の韓国大使館に金属球が撃ち込まれて窓ガラスにひびが入るなど両国民の反発は激しくなっている。

ロープで横一列に繋ぎ接近阻止
 韓国は中韓間の漁業協定に基づき、韓国EEZ内で昨年は1762隻の中国漁船に操業許可を出しているが、それに目を付けた無許可漁船が韓国旗を掲げ、韓国船を偽装して不法操業するケースが多い。前年の370隻を上回る472隻が拿捕されている。また、韓国警備艦の接近を察知すると、不法漁船を真ん中に挟んで横一列に隊列を組んでロープで繋ぎ、警備艦の接近を阻んだり、1隻をオトリにして逃走するなど摘発逃れも巧妙化している。こうした中で昨年11月6日、五島沖で中国漁船の船長逮捕事件が起きた。長崎海保の巡視船は五島列島の南西60キロの領海で、西から鳥島へ向かう11人乗り組みの漁船を発見。漁船は停船命令を無視し、ジグザグ航行をしながら約4時間逃げたが、鳥島の60キロ西で巡視船が追いついて横付けし,張天雄船長(47)を逮捕した。鳥島は日本の領海や日本EEZの基点になっている無人島で北岩、中岩、南岩の3島からなる。ここ数年、中国漁船が周辺に頻繁に現れることから,五島市の商工関係者らが10月、灯台や護岸の設置など領土として島を保全するよう国に求める会を作っていた。
(以下次号)