第256回(12月1日)選挙制度改革論議高まる 自・民主は2段方式
 1票の格差是正か。それとも抜本改革か――衆院選挙制度の改革を巡る1ヶ月に渡る与野党協議は暗礁に乗り上げた。最高裁が3月に出した「違憲状態」判決を受けて、自民、民主両党は今国会で1票の格差是正を先行して実現し、来年の通常国会で定数削減を含む抜本的な選挙制度改革を行なうという「2段構え」で臨んでいた。しかし、残る7野党は小党に不利な小選挙区制よりも比例代表制を重視した抜本改革の「一体論議」を強く求め、11月16日の与野党協議は結論を持ち越した。自民、民主両党は47都道府県に1議席ずつ割り振る現行の「1人別枠方式」を廃止して違憲状態を解消するため、線引き作業の中断を余儀なくされている衆院選挙区画定審議会(区割り審設置法)改正案を臨時国会で実現、法改正で再始動する区割り審の勧告を踏まえて次期通常国会に公選法改正案を提出する方針だった。民主党はこれにより衆院解散・総選挙の環境が整い、解散権行使の障害がなくなる。早期解散に追い込む自民党も大筋で民主党案に理解を示し、まずは違憲状態を解消してから他の問題を議論する「2段方式」に賛同している。一方、復興増税で国民に負担を求め、国家公務員の給与も削減する時だ。政治家が率先垂範し身を切ることを国民は望んでいる。解散風が日増しに募る中、政治家の命運を左右する選挙制度改革論議が熱を帯びてきた。

各党が格差是正と比例区削減案
 現行の衆院選挙制度は小選挙区300、比例区180で計480議席だが、各党の主張は自民が小選挙区「0増5減」の295、比例区30減の150で計445。民主党が小選挙区「5増9減」の296、比例区80減の100で計396と、小選挙区「6増6減」の300、比例区100で計400の2案を提示。公明党が比例代表連用制、現行の比例代表併用制、新中選挙区制の3案。みんなの党は小選挙区を廃止し180議席を削減、全国11ブロックの比例代表制を軸に300議席を検討中。共産党は全国11ブロックの比例代表制だけを求める。社民党は全国単一の比例代表制を主張。国民新党が比例区を廃止し選挙区も240議席に削減して、小・中選挙区制のみを検討中。たちあがれ日本が比例区を廃止し、中選挙区制を中心に400の総議席を想定している。小選挙区の「1人別枠方式」は47都道府県にまず1議席ずつ割り振った残り253議席を人口比で配分する方式で、単純配分よりも一票の格差は広がる。最高裁は今年3月、09年衆院選を違憲状態と判断し、1人別枠方式について「合理性があるとは言いがたい」と廃止を求めた。そこで、自民、民主両党は今国会でまず「1票の格差是正」を果たし、抜本改革は次期通常国会で決着を図ろうとした。他野党は「各選挙区一人しか当選しない小選挙区制は大政党に有利で少数政党には不利だ」と反発、2大政党と対決した。

2段構え法案の今国会提出断念
 そこで、民主党の樽床伸二幹事長代行は15日の各党協議会で①9日までの会期内に「1票の格差是正」法案を成立させる②法案の付則や衆院特別委の付帯決議に抜本改革や定数削減について「所要の措置を講ずる」と書き込む――との案を提示、自民党は賛同したが、「抜本改革、定数削減を担保するものではない」(公明)、「定数是正、抜本改革も一体で最後まで議論すべきだ」(社民)と拒否した。このため輿石東民主党幹事長は17日の記者会見で「数を持って決めていくものではない。結論が出ないのに法案を出せるわけがない」と述べて今国会提出を断念、次期国会に先送ることにした。こうした中で自民党の加藤紘一元幹事長や民主党の渡部恒三元衆院副議長らベテラン議員が中選挙区制の復活を目指す超党派の議員連盟「小選挙区制度を考える会」を同日に設立した。谷垣禎一自民党総裁は23日、党本部の対話集会で「自民党は05年の郵政選挙で300議席くらい取り、09年の衆院選挙では100議席に落ち込んだ。すぐ落選する人が沢山出て(政治家)は育たない」と指摘、「振幅が激しい制度は日本に向かない。中選挙区の方が死票も少ない」と超党派議連を後押しした。同議連の呼びかけ人には両氏と甘利明元経済産業相(自民)、中野寛成前国家公安委員長(民主)が名を連ね、公明党の富田茂之幹事長代理、たちあがれ日本の園田博之幹事長ら約50人が参加した。加藤氏は政界再編論者で、今後の動きが注目されている。

選挙改革に絡め政界再編加速か
 政界再編には他党も関心を寄せる。27日の大阪ダブル選挙は市長に橋下徹前知事、府知事に松井一郎前市長が当選し「大阪維新の会」が圧勝した。政治の閉塞感が強まる中で国民は既成政党に飽き、地域政党に変革を期待し始めたようだ。国民新党の亀井静香代表は選挙直前の25日、「野田政権が弱体化している状況では、オールジャパンで我が国力をアップする方策を考えないといけない」と記者会見で述べ、年内にも橋下氏や石原慎太郎都知事、大村秀章愛知県知事らと「第3極」の新党を結成する意向を表明。石原都知事は26日、みんなの党の渡辺喜美代表も27日夜に橋下陣営の応援に駆けつけ「橋下さんに大阪の命運だけじゃない、日本の命運を託して貰いたい」(石原氏)、「みんなの党と維新の会は一卵性双生児。国政ではすごいコラボ(連携)が出来る」(渡辺氏)とそれぞれ激励した。亀井氏は24日に石原氏、たちあがれ日本の平沼武夫代表、民主党小沢グループの内山晃元総務政務官らと会食。新党について意見交換したと言うが、取材陣に対して平沼氏は「亀井さんの1人芝居」と冷ややか。どうやら政党助成金締め切りの年末を目指し毎年現れる「新党お化け」のようだが、総選挙が来年あれば政界再編は加速する可能性がある。