北村の政治活動

 (平成13年12月18日) 石炭対策特別委 池島の閉山対策を質す

 長崎県西彼外海町の池島炭鉱は11月29日閉山した。昭和34年(59年)から始まった採炭に終止符を打ち、42年の歴史に幕を下ろした。これで九州からヤマの灯が完全に消えた。もう1つ残る北海道釧路市の太平洋炭鉱も、年明けに操業を停止する。戦後復興の原動力となった石炭産業が姿を消すことは極めて残念である。池島炭鉱を経営する松島炭鉱(福岡市)は従業員629人を全員解雇、下請け企業を合わせ離職者は約1290人に達するが、今後は雇用対策と観光開発を含めた地域振興策の策定が最大課題となる。

 一体的水産振興も

 私は12月3日午後に開かれた衆院石炭対策特別委員会でトップの質問に立ち、1.閉山交付金の給付方針2.炭坑離職者の雇用対策3.産炭地域振興財団基金90億円の有機的活用4.閉山周辺海域の一体的水産振興――など政府の閉山対策についてきめ細かく質した。
平沼赳夫経済産業相は「要望の強い炭坑技術移転5カ年計画は、地元の整備が整えば実施できるよう調整に全力を挙げている」と答え、坂口力厚生労働相は「全体的に雇用が厳しい時期だが、(閉山)地域に合った雇用対策に最大限の努力をしたい」と答弁した。
また、渡辺好明水産庁長官は「高島の南風泊のケースは非常に有望な新タイプの水産振興である」とし、地元の意向を十分に取り入れ、数カ年計画で漁港事業や人工魚礁造成などの施策を推進する考えを明らかにした。
 同委員会の質疑要旨は次の通り。

 北村誠吾 池島炭鉱の閉山という厳しい事態を迎える中で、内親王のご誕生という国民に明るいお知らせを受け新年を迎えることは、一条の光を与えて頂いた気がする。まずは皆様とともに祝意を表したい。
 池島炭鉱は10月12日、労組側に対し閉山の提案がなされ、同29日に閉山した。親会社は福岡市の三井松島産業、その子会社の松島炭鉱が池島炭鉱を経営している。所在は西彼杵郡の海上、離島の池島にある。石炭産業が徐々に整理、縮小、閉山が重なる時期に、三井松島は池島に有力な炭層を見出し、この42年間に4400万トンの出炭量を上げている。
 商業出炭をいたす前の池島には約350人が住んでいたが、石炭の開発により島の人口は今日で2300人だ。外海町の人口の大部分を占め、経済財政的にも大きな部分を占めている。70年には7700人が住み、主に炭鉱で働いていた。85年には最大の出炭量で153万トンの実績を上げたが、池島炭鉱の炭層は2メートルを優に超す、大変優秀な炭層を誇っていた。私も3度ほど海面下500メートルの池島鉱坑道に入り、西ドイツから輸入の最新鋭カッターで掘削するところを見たが、現場で非常に頑張る従業員、保安と安全に全力を尽くす会社側が労使一体として取り組んでいるのをつぶさに実感した。外炭が国内炭の3分の1というコスト差に挑戦する意気込みで今日まで頑張ってきた、と私は感じているが、色々な事情が重なり29日の閉山という苦渋の選択をしたわけだ。
三井三池の例もあるが、大手企業がリストラを進める中で、池島が荒廃しないよう、国の手厚い施策で失業や生活困窮をなくすために雇用の場を探し、1日も早く再出発を図れるようにしたいと思っている。クリスマス、正月、そして子供が新学期を迎える時期の突然の閉山である。地元自治体、長崎県挙げて対策に当たっているが、戦後の復興に大いなる働きをした石炭産業だ。九州は石炭産業を基に先端産業の技術あるいは資産、資本の形成をいたして今日に至っている。エネルギー政策の中で果たしてきた池島の歴史的役割を経済産業大臣はどのように考えているか。

 技術移転計画に全力

 平沼赳夫経済産業相 国内炭は戦後の復興期、経済の原動力として大変重要な役割を担ってきた。一時期は一次エネルギー総供給の4割を占め、わが国の経済産業が支えられた。今回の閉山は本当に残念だ。九州の石炭産業の歴史は江戸時期に始まる。三池炭鉱をはじめ長崎の高島、福岡の筑豊地域で多くの炭鉱が開発され、最盛期の昭和20年代半ばは470の炭鉱が存在し経済の原動力になった。しかし、昭和30年代以降、エネルギー革命を背景に閉山が相次ぎ、平成9年3月の三池炭鉱閉山後、九州唯一の池島炭鉱の閉山で130年の永きにわたった九州の石炭産業の幕が閉じた。昭和27年の開発着手から約半世紀、関係者の幾多の努力にもかかわらず今回閉山を選択せざるを得なかったことは担当大臣として本当に残念。炭鉱従業者の皆様とご家族、地方自治体関係者の心中を察する時、大変心の痛みを感ずる。経済産業省としては、企業および地域からの要望の強い炭鉱技術移転5カ年計画を、地元の整備が整えば実施できるよう必要な調整を今、全力を挙げて行っている。また、産炭地域振興関係各省庁等連絡会の場を通じ、雇用対策、地域対策等に最大限努力を傾けていきたい。

 北村 石炭鉱業で働いてきた人たちは、経営の厳しい中で25%の賃金カットも辞さず、労組一体となって厳しいコスト削減に応えることで血のにじむ努力をしてきた。それが管理部門から切り羽の先端まで行き届いている。安全対策には万全を期していたが、先般の不幸な事故があった。厚生労働大臣は離職者対策が最優先の課題という認識があろうと思うが、大臣の感想、決意を聞かせて頂きたい。

 最大限の雇用対策

 坂口力厚生労働相 石炭産業は戦後の日本を大変大きく支えてきた。エネルギーの一翼を担う大きな役割を果たしたが、池島炭鉱の皆さんが最後まで産業を何とかして支えたいとの思いで今日まで頑張られたお気持ちを十分にお察しすることができる。しかし、時の流れに抗することが出来ず、こうして最終を迎えたことは、大変寂しい限りだ。今日までの労使双方のご努力に敬意を表する意味からも、今後の皆さん方の再就職に万全を期していかねばならないと考えている。現在は全体的に雇用が厳しい時期で大変難しいが、細心の注意を払い、地元の皆さんや長崎県の方とよく連絡を取りながら、地域実情を十分踏まえて、その地域に合った雇用対策をやっていきたいと思っている。最大限努力するとお誓いする。

 北村 関係省庁連絡会で色々打ち出される施策も多かろうが、三井三池の例もある。経済産業省は池島の閉山対策について、国民にわかりやすく簡潔に答えてほしい。厚生労働省も離職者対策の具体的内容を、ポイントを絞って答弁してほしい。

 5億7千万円交付

 古屋圭司経産省副大臣 閉山で影響を受ける所の地域対策、中小企業対策を総合的に支援していきたい。まず労働者に対する退職金支払いのための閉山交付金を交付する。地域対策では外海町の財政支援のため産炭地域振興臨時交付金を閉山時に給付するが、大体5億7千万円で算定している。また、中小企業対策として、政府系金融機関を活用して頂く観点から支援する。他にも新産業創業等基金を活用、あるいは炭鉱技術移転5カ年計画を着実に実施して、地域の活性化と雇用対策に資していきたい。資源エネルギー庁だけでなく産炭地域振興関係省庁等連絡会の場を通じ、閉山対策に万全を期したい。

 北村 島の子供たちが転校するとかで、年度変わりに引越しすることもあり、閉山交付金をできるだけ早く交付してほしいとの気持ちがあると思うが、交付は何時頃か。

 広田博士資源エネルギー庁審議官 11月26日に松島炭坑から交付金申請があり、新エネルギー・産業技術総合開発機構が約千名を超える対象者1人1人の審査・算定作業を開始した。会社が所用の工事を完了したうえ、国の承認手続きを経て交付される。平成13年度中の交付を目指し、最大限努力をしたい。

 北村 長崎県に造成されている産炭地域振興財団の基金90億円は、法律がなくなった後、激変緩和のためにも、これまでに出来なかった対策などに有機的に使用することが可能ということで、非常に期待している。90億円が45億、45億という風にちょっと中身が違うというようにも聞いているが、これを活用して池島の閉山対策にもある部分使えるのではないか。また、45億は原資を取り崩して使うこともできると聞いているがどうか。 

 基金取り崩し可能

 広田審議官 産炭地域に新事業を創出する支援策として、平成12−13年度の2カ年をかけ、長崎県の産炭地域振興財団にこの基金を造成している。これまでの造成分に加え、今申した2カ年で45億円を追加して、合計90億円の基金を地元に造成した。この基金を地域活性化や雇用機会増に資する事業に積極的に活用されることを期待する。今お話の、最近2年間に造成した基金は、取り崩しも可能な仕組みで、積極的に活用し支援が出来る。

 北村 離島を念頭にこれからの外海町、池島を考える時、島が荒廃しないよう海を活かした水産県長崎ということで、政府に支援を頂きたい。もともと350人程度が内航海運の乗組員や漁業に従事していた島でもあり、漁業振興の観点から、藻場の造成、沿岸漁場の総体的な整備で、閉山対策と結びつく部分もある。先に長崎県は伊王島炭坑、高島炭坑の閉山時に農林水産省及び関係省庁の大変な協力で高島町は見事に閉山後の炭坑敷地、海岸を活用させてもらった。水産庁の支援も得て多くの交流人口を受け入れるような整備を完成し、とくに釣り堀、公園は県の内外から客を迎えている。高島は空気の取り入れ口を持ち、沖の島もある。もともとは伊勢エビの生息地だ。水産庁は県、町を支援して漁港の整備、漁港と沿岸漁場の海域を一体として整備、水産振興の希望ある施策を展開してほしい。

 漁業者の経営改善

 渡辺好明水産庁長官 地元から大変熱心な要望を頂戴しているが、お話にあった高島の南風泊のケースは非常に有望な新タイプの水産振興と思う。現在、黒崎、出津両漁港でそれぞれ漁港事業をやっているが、それ以外にも築磯の形成、人工漁礁の造成をやっている。いずれも数カ年かかる事業だが、地元にどういう水産計画があるのか、地元漁業者がどう経営改善をしたいかをよく伺ったうえで必要な措置を採りたい。

 北村 黒手帳、緑手帳から外れる方々の問題がある。池島炭坑の下請け及び関連企業は約22社あり、大半が閉山を機に廃業の予定だ。従業員は688人。数社が炭坑の存続に協力して、請負金額の約3割カットで協力してきた。そのうち今年の分だけでも何とか面倒見てくれないかと、下請け関係の皆さんがボーナス支給を巡って松島炭坑と交渉していると聞く。下請け、孫請けは一体となって池島炭坑を支えてきた仲間である。政府が閉山対策を講じる時、下請け関連企業22社の実状にも細かく目を配って愛情のこもった対策をやって頂きたい。今ひとつは、三井松島信用組合という金融機関が、閉山の事態を迎えて破綻のやむなきに至った。金融関係の常任委員会でも炭坑閉山の機会の不幸な事柄ということで、是非真剣に取り組んでもらいたい。最後に両大臣及び政府にお願いする。この石炭対策特別委員会が今後も適切な時期まで存続するよう要望し、是非、委員長が適切な取り扱いをするようお願い申しあげて私の質問を終える。