第222回(7月1日)成長に向け漁業者に訴える 燃油価格高騰などに対処
 「もう1回、誇りと自信に満ちた国造りを自民党が先頭に立ってやる。守るべきは守り、改革すべきは改革する。公約の柱は、経済成長、外交、財源確保の3つだ。あらゆる政策手段を動員して経済成長し、雇用を作る」――谷垣禎一総裁は全国を遊説し、こうブチまくっている。水産業界もあらゆる面で苦境に立たされ成長とは縁遠い。水産外交では大西洋クロマグロの禁輸騒動に続き、モロッコで開催された国際捕鯨委員会(IWC)年次総会が議長調停案の「商業捕鯨再開」の合意に至らず決着を持ち越し、6月25日に閉幕した。合意見送りで調査捕鯨は当面維持されるが、国内の鯨肉消費量は減り在庫が蓄積している。燃油高騰にどう対処すべきか資金手当問題も多い。私が部会長を務める党の水産部会は公約作りに努めてきたが、このほど、漁業者に訴える5分間スピーチと、水産業を成長産業に導く優先政策、重点骨子をまとめた。スピーチでは①燃油や養殖餌料の価格高騰に脅かされない安定した漁業経営の確立②栽培漁業を食料供給の社会的インフラ事業と位置付け、国直轄のフロンティア漁場整備や種苗放流事業も積極的に進める――などを強調した。漁業関係者に限らず、広く国民の皆様にも是非ご一読頂きたい。

安全ネットで漁業経営を安定
 【5分間スピーチ】漁業、水産業は水産物を消費者へ供給する産業であり、想像を絶する燃油高騰にも自らの身を切るコスト削減も厭わずさまざまな努力を重ねて多様な消費者のニーズに応えてきた。私どもはこの燃油高騰の経験を生かし、燃油や養殖餌料の価格高騰に脅かされることのない安定した漁業経営の確立を目指して、漁業経営セーフティ―ネット制度を漁業者の目線に立った柔軟な発動を行えるようにしていく。自然災害などで経営が脅かされることのないよう、漁済制度と積立プラスの加入要件を、意欲のある漁業者は誰でも加入できるように抜本的に見直して安心して漁業経営を継続して頂ける制度にしていく。多くの魚種で資源量が低迷しているが、水産資源の大規模な増産を目指して、漁場整備と栽培漁業を食料供給のための社会的インフラ事業と位置付け、地域の実情に応じた国直轄のフロンティア漁場整備や種苗放流事業も積極的に進めていく。

生産から消費へ受給調整事業
 想像を超える漁業被害を及ぼす大型クラゲなどの有害生物や頻発する赤潮被害については、研究機関、近隣諸国と密接に連携し、発生メカニズムの解明と早期の有害生物の撲滅など根本的な被害発生の防止と軽減対策に全力で当たって、有害生物の発生や駆除作業の情報を速やかに提供する体制を整備する。経営面から老朽化した漁船を使用している漁業者についても、省力・省エネなどエコに配慮した近代的な操業効率性に優れ、安全、居住性に配慮した代船建造ができる手厚い支援策を講じていく。消費者へ新鮮で安全な国産水産物の安定供給ができるように、生産から消費にいたるサプライチェーンを構築して、漁獲時期が集中した時に魚価下落が生じないよう需給調整事業などを柔軟に発動できる制度へ拡充しておくし、水産物消費拡大に取り組む水産加工業者に対しても原料確保、加工技術開発、販路拡大・販路促進など意欲的な経営ができるよう支援していく。

漁村集落直接支払制度を創設
 一番大きな問題である魚価の低迷については、多様な流通経路を構築し、高鮮度衛生管理などを積極的に進め、あわせて水産エコラベルの普及と水産物のブランド化を進めて、適正な浜値となるよう漁業者が魚の値決めに関与できるよう仕組みを工夫する。また、漁村集落直接支払制度を創設し、環境生態系保全など多面的機能の増進に努める活動を行う漁業者を中心とする漁村集落グループを支援していく。そして、漁業、水産業の基盤であり、漁業、水産業に携わる方々の暮らしの場でもある漁港、漁村については、地震や津波、台風などの自然災害に強く、高齢者や女性にも優しい、安全と安心に配慮した整備や施設の老朽化対策を進めていく。

漁業者関与の適正な浜値決定
  【成長政策】意欲と創意工夫を活かせる経営と、適正な浜値で漁業・水産業を成長産業へ!
1安心の漁業経営支援 漁済制度と積み立てプラスの加入用件などを抜本的に見直し、併せて。大規模な資源増産を目指し、漁場整備と栽培漁業を食料供給のための社会的インフラ事業と位置付け、フロンティア漁場整備などと種苗放流事業を地域の実情に応じて積極的に進め、我が国周辺水域の水産資源を低位水準から回復させ、安心して漁業経営が出来るよう支援する。
Ⅱ漁業者関与の適正な浜値決定 漁獲物を、自信を持って出荷できるよう、ブランド化、高付加価値化にも資する高鮮度衛生管理などを積極的に進め、併せて水産エコラベルの普及と水産物のブランド化を進め、適正な浜値となるよう魚業者が魚の値決めに関与出来る仕組みを工夫する。
Ⅲ生活環境の整った豊かな漁村づくり 自然災害に強い、高齢者・女性にも優しい、安全・安心に配慮した漁港の整備や施設の老朽化対策を進め、併せて、集落排水の処理など生活環境の整った豊かな漁村作りを進める。

重点優先政策を17項目に要約
  【優先政策骨子】①安心して漁業に取り組める所得を確保できるよう漁済制度、積立プラスの加入要件などを抜本的に見直す②必要資金を迅速、円滑に融通出来るよう無担保・無保証人で活用できる制度を拡充する③漁船漁業を資源管理と経営が整合するように再編、老朽化漁船の代船建造が出来る手厚い支援策を講じる④燃油や養殖餌料の価格高騰に脅かされない漁業経営を目指し、セーフティネット制度の柔軟な発動と過重負担をなくす自己負担上限基準を設定する⑤「漁村集落直接支払制度」を創設し、自主的な水産資源回復への取り組み支援など、漁業者中心の漁村集落グループを支援する⑥外食産業、消費者団体と連携し産地直送の多様な流通経路を構築し、未利用魚の活用、養殖技術の開発などを支援する⑦HACCPシステムの導入・普及を積極的に支援し、輸出に伴う検査・手続きを簡素化する⑧子どもが魚に親しむ食生活の普及に向け、学校給食など地産地消の取り組みや教育現場に体験漁業を導入する⑨外食産業、地域密接の水産加工業と連携し、サプライチェーンを構築する⑩水産物消費拡大に取り組む水産加工業者に原料確保、加工技術開発、販路拡大など意欲的経営が出来るよう支援する⑪卸売市場、水産物小売商が安定した経営が出来るよう情報・流通施設整備などへの支援を強化する⑫新技術導入を含め収益性重視の養殖漁業経営を支援する⑬急峻な地形と豊かな河川・湖沼での漁業環境改善など内水面漁業振興対策を進める⑭漁村で立ち後れた医療機関・福祉施設など、創意工夫により漁村と近郊都市のアクセス改善を支援する⑮大型クラゲ、トド、ザラボヤ、グミ、カワウなどの有害生物や赤潮被害などの撲滅について、漁業被害発生の防止と軽減対策に系る情報を速やかに提供する体制を整備する⑯日本海、東シナ海の暫定措置水域で、我が国漁業者が日韓・日中新漁業協定に基づき、公平で安全な操業が出来るよう政府間で交渉する⑰条約・ルールを守らない外国籍まき網漁船等の無法な操業に対し、断固とした対応を行い、我が国のリーダーシップで科学的調査に基づく国際的資源管理や捕鯨問題に取り組むなど毅然とした外交交渉を行う。