第209回(12月16日)衆院農水委質疑(上)予算削減 漁業振興策
 臨時国会終盤の11月25日、衆院農林水産委員会の理事である私は、同委で水産行政全般について新政権の政策を質した。野党質問に立つのは始めてである。質問では①来年度予算概算要求の行方②鳩山内閣の漁業振興策③麻生政権が策定した燃油高騰対策基金の継続性④エチゼンクラゲの来襲――などを取り上げた。赤松広隆農水相は「農業共済予算の削減は最終決定ではないから改善の努力をする」と述べるとともに、「世界で6番目に広い排他的経済水域を持つ我が国の水産資源管理、回復、漁業経営の安定、活力ある漁村の維持を中心に施策を進めてまいりたい」などと答えた。この日は与野党議員約10人が質疑を展開したが、私の後には加藤紘一元幹事長が立ち,農家への個別所得補償方式について多くの問題点を糺した。私が行った質疑応答の要旨を3回にわたり収録する。

<概算要求通り認める努力を>
北村誠吾委員 
 私の関係する農業共済関係の農家の皆さんから、先ほど来連絡があり、農業共済予算で1021億4500万円という概算要求をしているが、これを、しっかりと所要の額を確保するように頑張って頂くよう、もう1回確認の意味でお答え頂きたい。

赤松広隆農水相 
 先ほど申し上げたが、事業仕分けの中で、大変残念なことにも、共済事業について3分の1程度を削減、縮減しろという判断があった。これは最終決定ではないので、これをもとに親会議が30日に開かれる。それを受けて、財務省との交渉、そして最終的には大臣の交渉に入っていくわけだ。今回の中身は1と2に分かれていて、1つは人件費等の事務費を負担するもの、これが456億。もう1つは共済掛金の国庫負担金で、これは法律に定められたものだが、農業者の負担軽減のために国が共済掛金の2分の1を負担するということだけれども、これは法律で定められた544億だが、これの3分の1を減らせと言われても困るわけで、事務費の方は過去の例を見ると、2億減った、3億減った、これは法律事項じゃないので、それがあり得るとしても、特に共済掛金の方を減らせといっても、これはもう法律で定められた、2分の1負担ということが決まっているわけだから、これはできない。事務費についても、事実上、今までは2分の1の事務費、人件費等を負担してきたわけで、多少の縮減はあってもいいと思うけれども、これも基本的にはなくすわけにいかないということで、この中身についてきちっと説明する中で、関係各位の御理解を頂いて、ぜひこれを概算要求 どおり認めて頂くよう努力してまいりたい。

<高齢・過疎化の漁業振興策>
北村委員 
 各般にわたる農業関係者が現在の農業、農家経営において所得の補償、また次の年度の再生産、そのために頑張っていく手がかり、足がかりであるので、ぜひよろしくお願いしたい。さて、水産の関係だが、我が国は海に囲まれて、津々浦々に漁村がある。その漁業を生活の糧としている方々が漁村において地域社会を構成していることは言わずもがなだ。水産業は、国民に良質なたんぱく質を供給する大事な産業である。過疎化が進行し、疲弊が顕著な地方においては、地域社会を維持するためになくてはならない産業だ。漁業、漁村をめぐって、若者の流出によって高齢化と過疎化が急速に進行し、地域社会そのものの存続が危惧されている 状況だ。私どもは、国周辺の漁場に恵まれ、世界に冠たる水産国日本として、これまで脈々と受け継がれてきた稲作、魚食文化、地方の個性に基づいた地方独自の文化を絶やすことなく次の世代に引き継ぐことを私どもに与えられた大切な使命と考えて、燃油価格の高騰対策、あるいは魚礁の設置による資源管理対策、また水産振興対策から、高齢者にも優しい生活環境整備、漁村居住者の安全を守る防災対策、環境にも配慮した藻場、干潟の造成、消費者との信頼醸成に基づいた水産物の消費拡大など、対策にめり張りをきかせた色々な施策を講じてまいったところだ。今後、政府において、重要な産業である漁業、水産業、あるいは生産、流通の拠点並びに地域社会としての漁村、これをどのように位置づけ、どんな振興策をやっていこうと考えているのか。

赤松農水相
 御指摘のとおりで全く同じ考えだ。特に、世界で6番目に広い排他的経済水域を持つ我が国にとって、水産業は非常に高い潜在能力を有していると思う。加えて、国民の安全、安心の、しかも体にいい、健康にいい水産物を安定的に提供していくことは国の大きな役割だとも思っているので、特に水産資源の管理、回復、漁業経営の安定、活力ある漁村の維持を中心に施策を進めてまいりたいと思っている。なお、23年度からの所得補償制度実施に向けて、来年度は、色々な調査等についても見込んでおるところだ。

<燃油高騰対策基金は継続するか>
北村委員
 燃油高騰対策について尋ねる。国際的な規制の強化や水産資源の減少、後継者の不足、消費の魚離れ、こういった難しい問題が山積みしているけれども、投機マネーによって原油価格の高騰が起こった。他の産業に比べて経費に占める燃費の割合が高い漁業は、深刻なダメージを受けた次第だ。燃油高騰による経営コストの上昇分を価格に転嫁できれば漁業経営への打撃を弱めることができる。そういう考え方で、市場流通において価格の動向に敏感な流通の分野、さらに消費者などへの影響で価格への転嫁ができないという事情があるから、去年の7月には、漁業者が全国で一斉休漁に訴えるという現象も残念ながら発生してしまった。そこで、私どもは、省エネへの取り組みを行う漁業者が安心して操業ができるように、燃油高騰分の最大9割を補てんする制度を取り入れて事業をつくった。多くの漁業者に安心して操業に取り組んでいただいていると思う。原油価格は、一たん下がったけれども、現在、一時期ほどではないが、やはり右肩上がりで推移をしている。漁業者も省エネ型の漁船の開発や導入、省エネ型の操業への転換を目指して大変な努力を重ねているけれども、それぞれの個々の努力には限界がある。今後とも、国民に対する水産物供給の責任を果たし、地域社会を守り、漁業と漁村を振興していくためには、漁業経営を安定させ、漁業者に安心して漁業に取り組んでいただけるように、漁業用燃油の価格高騰時の影響を緩和することが大切だ。国と漁業者で拠出する基金でセーフティーネットをつくり、この基金を十分に活用することができるように大きくこれを育てていくことが必要と思うけれども、このごろ、基金についてはカットということがはやっているので、これらと一緒くたにされては大変困ると考えている。大臣、副大臣の所見を聞きたい。

山田正彦副大臣
 私も同じように大変心配している。先ほど赤松大臣が申し上げたように、2億円かけて漁業者の生産費の調査及び販売価格の調査等、概算要求を今年している。同時に、漁業所得補償ができ上がるまでの間は、何といってもこの燃油高騰、かつて30円だったA重油が今66円と倍以上になっているし、それに対する対応策が今一番大事かと思っている。今北村委員が述べたように、国と漁業者がそれぞれ出資し合って、1つのセーフティーネット、これをぜひ、かなりしっかりとしたものにさせて頂きたい。今、私ども、概算要求、事務費も入れて20億要求しているが、さらに、漁業者からも16億、国から16億という形で32億、これを元にしてこの燃油高騰対策というのを構築しているところだ。大きいイカ釣りだったら19トン以上の船とかじゃなく、小さな漁船漁業者に対しても平等にかかる燃費についての補てんを考えて取り組みたいと考えている。