第207回(11月16日)越前クラゲ来遊対策 三陸の被害を視察
 朝日新聞は7日の夕刊に、大量に発生した「エチゼンクラゲ」の影響で、千葉・房総の定置網漁が操業不能に陥っている――と報じた。クラゲに触れた魚は商品価値が落ちるうえ、クラゲの重みで網が破れ大変な被害が出る。房総沖がそれなら、三陸沿岸の被害は甚大だろうと、自民党水産部会長の私と山本公一前水産総合調査会長は、8,9の両日、岩手県宮古沿岸の被害状況を視察した。視察では、大型クラゲの来遊は過去に例がないほど早く、しかも大量で定置網1カ統当たり1万5千尾、最大3万尾にも達し、網の破れや操業中断、水揚げ作業に費やす時間と労力のロスは極めて大きいことが分かった。特に10月18日の台風18号襲来が重なり、同県北地区を中心に定置網は大量に入るクラゲの加重によって、12カ統に3億8千万円の破網被害が出ていることが判明した。地元からは①来年度以降は底引き網・巻き網などの沖合での洋上駆除を津軽海峡の西部と太平洋岸北部でも実施する②基本的には越前クラゲの発生メカニズムを解明し、幼子成育海域での駆除を行うことで生育発生を撲滅する――などの措置を講じて欲しいとの要望が出された。水産団体は水産政治力を結集するため水産政策協議会を立ち上げている。これに呼応し自民党も水産政策推進議員協議会(会長・大島理森幹事長)を設置した。私と山本議員は、11日に党本部で開いた同推進議員協議会の初会合で視察結果を報告、対策を協議した。

こんな大量のクラゲは初めて
 朝日新聞によると、南房総市千倉町の房州ちくら漁協(小滝季儀組合長)白子瀬戸支所は先月末、定置網に誘い込んだ魚を集めて引き揚げる箱網を解体した。エチゼンクラゲが掛かり過ぎ、漁にならないためだ。ソウダガツオ、メジマグロ、ブリ、ワラサなど回遊魚の漁期だが、水揚げできない状況が続いている。漁協自営定置事業部の長谷川繁男部長は「長年、定置網をやっているが、こんなに大量のクラゲは初めて」と話す。<略>エチゼンクラゲが網に入ると、接触した魚が傷んで変色し、価値が大幅に下がる。大量に入れば、潮の流圧で網が破れる恐れもある。<略>鴨川市の鴨川漁協など外房の定置網漁はいずれも事実上の休漁に追い込まれているという――。さらに、朝日は「先月30日、銚子市犬吠埼沖の海上で、小型底引き網漁船が転覆、乗組員1人が顔にけがをした。大量のクラゲが掛かった網を引き揚げる際、重みで転覆した可能性があると銚子海上保安部は見ている」とも報じている。越前クラゲは東シナ海で発生し成長しながら日本海を北上、津軽海峡を通って太平洋側に出て、三陸海岸を南下し、今年は外房から静岡県沖まで到達している。

秋サケ漁の最盛期に急激増加
 岩手県の秋サケ漁はこれからが本番。秋サケの回帰は11月下旬が最盛期だが、大型クラゲの大量来遊が続けば漁獲面の打撃ばかりか品質面でも影響が心配される。やはり大量発生の05年は、10月下旬に北部の網に1千~2千尾が入って南部に広がり、11月下旬にピークを迎え、12月下旬に終息した。週刊水産新聞によると、今年は9月下旬に北部で箱網いっぱいに入り、短期間に南部まで急激に増加した。サイズは05年が入網当初から傘糸90~100センチと大型だったのに対し、今年は時期が1ヶ月早まり、成長前に流れ着いたのか、50~70センチが多く、10月下旬から90~100センチに成長している。岩手県水産技術センター漁業資源部の後藤友明主任専門研究員は「日本海側を見ていても(出現)状況は変わらず、減る傾向は見られない。津軽海峡の南下モードも変わらず、輸送に適する状況。クラゲ来遊が減っていくとは考えにくく、11月下旬でも減らない可能性が高い」と述べている。田老町漁協の小林昭栄組合長は「秋サケは漁協の粗利の4割を占め比率が高い。4億5,6千万円を水揚げしたい。対策をしなければサケがもっと入るのだろうが、しなければ網を揚げられなくなる」と溜め息をついているという。

定置網の半分が461日休業
 我々の視察に対し、岩手県定置漁業協会の大井誠治会長理事は、①大型クラゲによる岩手県の定置漁業被害は深刻な事態だ②漁場調査では大型定置漁場87カ統の半分以上の49カ統が延べ461日(1カ統9日間)の操業中断を余儀なくされた③改良網(いわゆる仕切網)などの対策網は想定外の大量入網により効果は限界の域を超え、人海戦術では対応しきれない実態にある――など6項目を挙げ、来年度は沖合海域での洋上駆除の徹底、発生メカニズムの解明、幼子生育海域での駆除などを要望した。党の水産政策推進議員協議会は大島理森幹事長が会長、青木幹雄前参院議員会長が副会長、浜田靖一前防衛相が幹事長、河村健夫前官房長官が事務局長、山本公一衆院・鶴保庸介参院両議員が事務局次長を務めるが、11日の水産政策懇談会の初会合には大島幹事長、石破茂政調会長らが出席、私と山本議員から三陸沿岸の被害状況について視察結果を報告、対策を協議した。