政治活動第204回(10月1日)モナコが全面輸出禁止 マグロ資源保護へ

 食欲の秋だが、寿司や刺し身のマグロは日本の食卓に欠かせない。マグロにはビンナガ、キハダ、メバチなど色々の種類があるが、何と言っても王者はトロが多く取れる高級品のクロマグロ。08年の国内消費量は4万3千トンで、世界で捕れる約8割を日本で食べている。そのクロマグロの全面輸出禁止を欧州のモナコが言い出した。日本政府は全面禁止という最悪の事態を回避するため、資源管理機関「大西洋まぐろ類保存委員会」(ICCAT)は11月に開く会議で一層の漁獲枠削減を提案する方針だ。また、太平洋のクロマグロは現状の資源量に問題はないが、9月中旬に長崎市で開かれた「中西部太平洋まぐろ類委員会」(WCPFC )の北小委員会でも、資源保護(保存管理措置)について合意に達した。合意の保存管理措置は1年限りで、10年中に行われる漁について、沿岸の零細漁業を除いて02~04年の水準にとどめ、若いマグロ(0~3歳)の漁獲を減少させる。12月に仏領ポリネシアで開く WCPFC総会で勧告され、正式に採択される見通しだ。


ワシントン条約の規制求める 

 ICCATの推定によると、大西洋・地中海地域に生息している親魚ベースのクロマグロは、1974年の約30万トンをピークに減少、現在は8万トン弱に落ちているという。巻き網漁法で一網打尽に捕って、若い魚を海上の生け簀で育てて出荷する養殖がスペインなどで盛んになっていることが影響している。このため、モナコは7月、大西洋・地中海のクロマグロに絶滅の恐れがあるとして、野生の動植物の国際商取引を全面禁止するワシントン条約の付属書1の対象にするよう求め、日本など関係国に意見を求めてきた。輸出入を禁止すれば最大の打撃を受けるのは消費大国の日本であることから、水産庁の幹部は「ワシントン条約で取引禁止のシーラカンスやジュゴンとクロマグロを同列に扱うのは筋違い」と反発。日本かつお・まぐろ漁協組も「ICCATが既にクロマグロの漁獲量を国別に割り当てている。日本は2200トンの割り当てを順守しているが、欧州の漁業者の一部は必ずしも守っていない。各国が規制を順守することが先決だ」と抗議している。確かに、ICCATは昨年11月、地中海と東大西洋のクロマグロ漁獲枠を2011年に08年比で35%削減する規制強化を決めたばかり。禁輸などはとんでもない話だ。


欧州連合はモナコ提案支持

 モナコ提案は来年3月にカタールで開くワシントン条約の締約国会議で投票国の3分の2の賛成があれば国際取引の禁止が確定する。これに対し、欧州連合(EU)の欧州委員会は9月9日、年内にまとまる最新の資源評価結果や資源管理機関の決定などに基づいて最終態度を決めることを条件に、モナコ提案を支持すると発表。一時は加盟政府に賛成するよう求めていた。だが、イタリア、スペインなどクロマグロの漁業国を中心に反対意見が強かったため、同21日に開いたEU加盟27カ国の会合ではモナコ提案を否決した。地中海と東大西洋の漁獲量は2万8500トンだが、密漁や未報告の漁獲が多く、実際の漁獲量は6万~7万トンとも言われている。商取引の禁止が決まれば、8割以上を消費する日本の市場に出回るクロマグロの量が急減する。冷凍物の備蓄がかなりあって急激な価格高騰はないとしても、じわじわ高騰することは避けられない。日本政府としても「クロマグロの管理は、各海域の漁業資源管理機関で行うのが適切だ」とし、モナコ提案には反対する方針だが、全面禁輸という最悪の事態を避けるため、同条約の締約国会議で取り上げられる前に、別の場でクロマグロの漁業規制強化を提案しようとしている。


長崎でWCPFC北小委開く

 マグロの資源保護の取り組みではICCATのほかに前記の「中西部太平洋まぐろ類委員会」や「インド洋まぐろ類委員会」など5つの地域漁業管理機関があるが、地域管理機関は全会一致の決定が原則で、厳しい漁獲規制を決めるのは難しい。長崎市で開かれた日本近海を含む「中西部太平洋まぐろ類委」(WCPFC)の北小委員会は9月10日、北緯20度以北で回遊するクロマグロについて、2010年の漁獲量、隻数、操業日数などを02~04年の年間平均水準に規制することで合意した。また、近年漁獲量が増加傾向にあるヨコワ(クロマグロの幼魚)について、巻き網などで捕る漁法の自粛を決めて閉会した。引き縄漁業など沿岸の零細漁業は、資源量に大きな影響を与えていないとして、適用外とした。12月に仏領ポリネシアのタヒチで開くWCPFCの年次総会で正式に採択する見通しだ。国際資源管理機関による太平洋クロマグロの規制導入は初めてのケース。


保護と産卵からの養殖振興

 北小委員会は07年の会議から、日本の科学者らで構成する北太平洋まぐろ類国際科学委員会(ISC)の資源評価も踏まえ、規制導入を議論してきたが、蓄養が盛んでマグロ漁業を自国の発展に繋げたい韓国が管理措置に強く反対したため、当初目指していた3年間の適用を1年間に短縮したほか、韓国の排他的経済水域(EEZ)は適用外とすることで決着した。我が国でもクロマグロの蓄養、養殖が盛んになり、味も天然と変わらないものが市場に出回り始めた。日本の味覚・クロマグロが食卓から消えないよう、私は自民党の前水産部会長として、マグロ資源の保護、産卵から育てる養殖技術の開発など、農水産業の振興に力を注ぎたいと思っている。