第203回(9月16日)北村防衛副大臣答弁録(10)最終回
 政権交代で、残念ながら防衛副大臣の公務を去るので、答弁録は10回のこれを最終回とした。6月18日の参院外防委、同22日の参院決算委、7月9日の参院経済産業委、解散前の同10日の衆院海賊・テロ対策特委で審議したクラスター弾の条約締結承認案件、海賊対処法案に関する質疑内容で過去の答弁とダブル部分も多い。今後は得意の外交防衛、離島振興、農林水産関連の衆院委員会に席を置き、野党の立場から鋭く質問したい。次回以降はその速記録を要約して掲載するとともに従前のように日常の政治活動を取り上げる。

6月18日の参院外防委員会

風間直樹委員(民主党)

 恐らく国民は、国会議員であれば与党議員、野党議員を問わず国政調査権を基に政府に対して様々な情報提供を要請し、政府、官僚もそれに基づきいろんなデータを渡しているだろうと期待していると思う。しかし、事実は違う。我々野党には少なくとも、ほとんど自衛隊の海外派遣に際して本質的な重要なデータ、資料は政府から提供されていない。その中で、極めて重要な自衛隊の海外派遣の審議に際し、政府案に基づきそれを承認してくれと言われても、それに対してイエスと言うことは困難だ。同意をするのであれば、政府は、真に持っている情報、データをこの国民を代表する国会の場に出して頂きたい。情報公開に基づいて真摯な議論を行い、自衛隊を派遣するのであれば国会報告が適当なのか、あるいは事前承認が必要なのか、率直に議論したいと思う。
今回の海賊対処法に基づくP3Cの派遣だが、既にP3Cはソマリア沖に派遣されている。気掛かりなのは、この派遣に際してP3Cの整備あるいは警備のために、同時に陸上自衛隊の部隊も投入されているという点だ。この部隊は中央即応連隊といって、昨年3月に創設された。現在、宇都宮駐屯地に7百名の隊員が駐屯と聞く。今回、その中から確か50名がアフリカのジブチに派遣された。海上自衛隊を派遣する根拠法は海警行動であり、今後は海賊対処法案になることは分かるが、この陸上自衛隊の中央即応連隊を派遣した根拠法、これは一体何なのか、このことをまず尋ねたい。

北村副大臣 

 ソマリア沖・アデン湾の海賊対処のために派遣したP3Cが円滑に任務を遂行するためには、陸上で待機中のP3Cの近傍で監視あるいは巡回等の業務を行う必要がある。海上自衛隊だけでは派遣できる要員に限度があるから、陸上自衛隊の有する知見が活用できると考え、今回その業務を行うために陸上自衛隊の隊員を派遣することにした。これらの業務は、P3Cが海上で警戒監視、情報収集等の任務を遂行するために当然必要なものであり、自衛隊法第82条を根拠とし、海上警備行動命令により陸上自衛隊の隊員を派遣したものだ。

風間委員

 海警行動に基き派遣したというが、海警行動には、先ほど来、麻生総理が御答弁されていたように、国会関与規定が非常に薄い。今回、この中央即応連隊、陸自の部隊を派遣したことについては国会に報告がない。もし陸自の部隊を送るのであれば、自衛隊法82条、海警行動の条文にやはり何らかの国会関与規定を盛り込むべきではないか。
 P3Cの派遣、ソマリア沖・アデン湾で海賊対処を行うに際して、どこにどのような海賊船と思わしき船がいるか、それを上空からこのP3C哨戒機を使って探知し、海上にいる自衛隊の艦船に情報を伝達・連絡する、こういう目的だろうと思う。しかし、このP3Cの派遣にかかわる連絡官が、去る3月、そしてこの5月19日、海自の大佐2名が、バーレーンのマナーマにあるCMFに派遣をされている。このCMFは、第5艦隊の司令部が置かれている場所と同じところにある。かねがね国会でも議論になっているが、米軍第5艦隊の様々な業務、連絡あるいは指揮・系統、そこに海自から派遣された連絡官が入らないだろうかという懸念も実際にあるわけだ。この点を十分留意、認識されて、今後の連絡官の行動、対処に当たって頂きたい。さきに制定された補給支援特措法、今回成立しようとする海賊対処法案、この二つの法律、法律案に基づき、合計約9百名の海上自衛隊、陸上自衛隊の隊員がアフリカ沖、アラビア海に送られ、あるいは送られようとしている。ここに我が国の自衛隊のプレゼンスがこの規模としてあることを国民の皆様には是非御承知おき頂きたい。同時に、我々国会議員にも、事前承認を確認していきたいと思う。

 6月22日の参院決算委員会

塚田一郎委員(自民党)

 近時、北朝鮮がミサイルの発射をまた強行するのではないかという情報も多く流れている。実はアメリカ下院の外交委員会で17日に公聴会が開かれた。その席でアメリカの北朝鮮専門家のセリグ・ハリソン国際政策センター・アジア計画部長がこの公聴会でどきっとするようなことをしゃべっている。北朝鮮では反日感情の強い若手将校が影響力を強めており、北朝鮮が今回の制裁等の結果でもし戦争を始める場合、攻撃対象は韓国ではなく日本であろうという見解をこのハリソン氏は述べているという。ハリソン氏は今年に入ってからも北朝鮮に行ったという情報も入っている。信憑性はともかく、アメリカの外交公聴会で語られたということだから、大変に重要な一つの指摘である。もしかすると、本当に北朝鮮にとって今、日本というのはそうした対象になっている可能性がすごく高いのかな、と私自身は大変に危惧している。もしまたミサイルの発射実験が行われる場合、いろんなケースが今後考えられる。一つは、前回、4月のような長距離のミサイル、いわゆるテポドンの改良型を発射するケース。これは読売新聞だが、その場合にハワイ方面、グアム方面、沖縄方面等の3つぐらいのコースが考えられるという。ハワイの目指すコースが長距離のこのテポドンの改良型ではないかという予測が載っているが、この場合は我が国の青森の上空を通過するコースになると言われている。
 こうした状況の中で、一方で同時にノドンのような長距離までいかない、中距離型の我が国が射程に入るミサイルも同時に発射をする可能性も否定できない。そうすると、前回のようにテポドンの改良型だけをウオッチしていればいいわけではなくて、近い時間帯でいろんなミサイルが連発される可能性も出てくる。果たして我が国のMDシステムだけで対応できるのか。やはり、日米安全保障の機能を十分に生かして米軍との連携を強化して対処しなければいけないという局面にあるのではないかと思うが、防衛大臣に伺いたい。このような中距離、長距離のミサイルが連続的あるいは同時多発的に発射された場合のMDシステムの対応をどのように検討されているのか。

北村副大臣

 我が国の弾道ミサイル防衛システムは我が国全体を2、3隻で防護し得るSM3登載イージス艦による上層防衛と、拠点防御のためのペトリオットPAC3による下層防衛から成る多層の防衛という考え方を採用している。また、我が国のBMDシステムは特定の国、地域を対象としたものではないが、過去の試験の結果にかんがみると、我が国の領域に飛来する1千キロメートル級の弾道ミサイルの対処について技術的な信頼性は高いと考えている。SM3登載イージス艦及びペトリオットPAC3は多目標対処ということでたくさんの目標に対処することを念頭に置いて整備をしたシステムであって、これらによる多層防衛により、複数の弾道ミサイルが我が国に向けて発射された場合であっても対処できるということで臨んでいるところだ。

塚田委員 1千キロ級というのは多分ノドンのことを想定されていると思う。当然、日本のイージス艦のSM3、まあPAC3等で十分な対応ができるということだと思うが、引き続きいろんなケースを想定して日米できちっとした防衛体制の強化を行って頂きたい。実はこれもBMDの予算に関連してなんだが、今21年度以降の予算はどのように今後見込まれるのか。併せて、日米で新型のSM3の開発をされているやに伺っている。この研究はどのように進んで、今実用化の見込みはどうなっているのかを併せてお伺したい。

7月9日の参院経済産業委員会

藤末健三委員(民主党)

 現在保有しているクラスター爆弾の種類と数について、衆議院の審議では、条約が発効するまで配備しているものについての数などを発表できないという答えを頂いた。しかし、一方、イギリスは数量の発表を行い、破棄作業を行っている。また、イギリスを含めベルギーやカナダ、フランス、ドイツ、オランダ、ノルウェー、スイスという8か国は、条約署名の開始の前に独自に破棄を進めている状況だ。是非とも我が国も条約に署名した精神を生かして、発効を待たずにクラスター爆弾を配備から外し、数量を発表し、破棄を開始して頂くべきではないかと考えるが、北村副大臣、いかがか。

北村副大臣

 昨年12月に署名を行ったクラスター弾に関する条約の趣旨を踏まえると、防衛省としては条約の発効前であってもクラスター弾の使用は極力慎むべきであると考えている。しかし、我が国に対する武力攻撃等の事態に際しては、国際法規を遵守しながら国民の生命と財産を守るため、なし得る限りの対処をすべきことである。だから、条約の発効前からクラスター弾の廃棄を行うことによって、万やむを得ずクラスター弾を使用する、この可能性を完全に排除することは適切でないと考えている。このため、ただいまの時点では我が国防衛のための装備品であるクラスター弾の保有数についても我が国の防衛能力にかかわるものであるから、答えは差し控えさせて頂きたい。他方、条約が発効すれば180日以内にその保有しているクラスター弾の数、廃棄の計画などの状況について国連事務総長に報告することになっているから可能な限り速やかに報告したいと考えている。

7月10日の衆院海賊・テロ特委員会

佐藤茂樹委員(公明党)

 海上警備行動で自衛隊が出動する場合の武器の使用だが、これは警察官職務執行法第7条を準用することになり、例えば正当防衛、緊急避難等に当たる場合を除き、人に危害を与えてはならない、そういうルールが、この第9条に基づく出動がたとえ自衛隊にあったとしても、そういう制約が当然かかってくるというように私は理解をしているが、まず、防衛省の見解を伺っておきたい。

北村副大臣

 海上警備行動において自衛官が武器を使用する場合は自衛隊法第93条1項において準用する警察官職務執行法第7条の規定で、正当防衛、緊急避難等に該当する場合を除き、人に危害を与えてはならないとされる。当然、当該規定を遵守することになる。